亀水町の弓射
更新日:2025年10月2日
伝承地
亀水町の弓射
高松藩家老・木村黙老著「聞くままの記」(1830~1840代頃)にも記載されている。地元では、阿波から伝わったと言い伝えられている。
流儀は公卿流であり、
モモテ(神事)を取り仕切る人は特定の家の者があたる。『聞くままの記』では3家ほどに限定されていたようであるが、今は1家(高橋家)だけである。
地元の高橋家が代々公卿流を継いで来ているという。
弓射を行う人は令和3年現在15人程度、構成は20歳から80歳。
加茂神社のモモテまつりは、亀水地区の五穀豊穣、無病息災、家内安全、豊漁を祈願する神事である。また、亀水地区の厄年の人の厄払い行事でもある。
神社拝殿の北側に射場が設けられている。『聞くままの記』では神前にて南側に矢が落ちるとあるが、現在は北向きに射る。神社の改修などに伴い射場はこれまでに何度か変わっているという。
『聞くままの記』では弓は塗弓もあるが、白木弓が多いとある。現在は塗弓が多い。
『聞くままの記』では的は網代の大的で中に6・7寸の小的をかけて、その小的が「当たり」とあるが、現在は網代の的に紙をかぶせ、中心に墨で直径24センチメートルの円を書いてありその部分が「当たり」である。昔は黒く塗る前に「敵」と書いたそうである。
『聞くままの記』ではモモテの前に組頭が日記をつけ2組に分け、家柄の順に上座から座り、酒を飲むとあるが、それらの順序が現在は異なる。最初に参加者全員の矢を集め1束にする。
『聞くままの記』では各自がモモテを取り仕切る人に片膝をついて弓を渡していたが、現在は代表者が集めた弓を渡す。
『聞くままの記』に記載されたように束ねた矢を後ろ手にして、一本一本交差するように順に置く。この際、弓の上下によって上矢(うわや)・下矢(しもや)の2組に分けられ、置いた順番によって矢を射る順番も決まる。
モモテを取り仕切る人が弓と矢を受け取り、御神酒を飲み、最初に神様に奉るために矢を射る。『聞くままの記』では鏑矢と雁股の矢を射るとなっているが、通常の矢を射る。以前は『聞くままの記』に記載されているように山の方に向かって打つこともやっていた。
その後、上矢の人が並び御神酒を飲む。下矢の人も最初に射る前に御神酒を飲む。
上矢、下矢の順番に矢を射る。上矢が2回射ると下矢と交代。それを5人ずつ繰り返す。これを「神の的」と呼んでいる。
『聞くままの記』に記載されたように記録をつける人がいて、上矢・下矢の組分け、射る順番を記入する。また、当たり外れの記録も行う。
「神の的」の終わりには『聞くままの記』に記載されたとおり、神事を取り仕切る人は射る場所の少し前で弓を頭上に持ち弓を前へ3回出すようにし、また一人が的を持ち、的を前へ3回倒すようにする。
「神の的」の後は四六子(シロッコ)と呼ばれる早当競争が行われる。このことをモモテとも呼んでいる。四六子とは4寸6分の的の意味。「神の的」と同じように上矢・下矢の順に2回ずつ射る。当たりが出るまで続ける。『聞くままの記』の勝負の的のことと思われる。
最後に表彰式を行う。昔は四六子賞だけだったが、最近は「神の的」についても当たりの数を競い、賞を出すようになった。
地元の人は猪肉入りの豚汁、巻きずし、酒、お茶などを用意し、飲食しながら観覧している。昔は娯楽があまりなかったので、地元以外にも香西や生島の方からも見に来ていた。
井上祭は、300町歩の山林を亀水地区に寄贈し、弓の名手でもあった井上さんの命日に行っている。
七面神社のモモテは七面大明神の世話人からの依頼により行っている。
モモテ前日に南原家の人々(日蓮宗:錦町泉立寺門徒)がオカンキを行い、当日も昼ごろから神社内に集まり、豆腐汁を食す。
南原家の人々(主に女性)がお経を唱える。住職等は呼ばず、地域の人だけで行う。
お経を唱えながら護摩焚(卒塔婆などを燃やす。)。
仏事が進行する中、モモテも始まる。
モモテを取り仕切る人の最初の所作は加茂神社と同じである。
地の神・海の神・天の神にささげるため3度構えなおしてから射る。弓を3回引いてから射る。現在は的に向かって射るが、かつては天に向かって射ていた。弓の先に半紙でくるんだ5円玉をつけて射て、かつてはそれをみんなで取合った。
神社の一段下がった場所が射場で、北から南へ向かって射る。的は網代の大的である。距離は加茂神社より遠い。
加茂神社と同じように上矢が順番に矢を射る。2回目を射ると下矢と交代。それを5回繰り返す。
その後、地域の厄年の人数分の矢を射る。「バラバラ」と呼んでいる。
射終わると上矢の1番(式者)と下矢の最後の人が弓を頭上に持ち弓を前へ3回出すようにし、また一人(誰でもよい)が的を持ち、的を前へ3回倒すようにする。
3回終わると、「ウオー」と叫ぶ。「的上げ」と呼んでいる。
厄年の人が家族にいる人は、観客全員に餅をふるまう。盆の上に厄の人の名前を書いた半紙を置き、その上に餅を置いて配る。また、豆腐汁もふるまっている。
その後、加茂神社と同じように四六子(シロッコ)が行われる。
当り外れの記録をつけており、同じ数の当たりを出した人は、最後に1矢ずつ射て、的の中心に近い人が勝ちの「競射」を行い、順位を決める。
最後に、加茂神社と同じように表彰式を行う。
弓、矢は個人持ちで、『聞くままの記』では射手は麻の上下や羽織袴を着て、革製手袋もはめたり、はめて無かったりとバラバラである。10年程前に弓道衣装を作った。高橋家は上下黒の袴姿、他者は上白に黒袴姿である。
モモテの弓射は神事であり、以前は競うことはせず、弓の練習はせず、ぶっつけ本番であった。
基本情報
実施主体 |
亀水組の中の弓射組 |
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実施日 |
モモテ祭り(加茂神社2月第1日曜日) |
実施場所 |
加茂神社、七面神社 |
加茂神社のマーカーリスト
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