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史跡高松城跡での「ゼロカーボンシティたかまつ」に資する取組

更新日:2022年9月20日

- 枠工(わくこう)-

tennshudai


史跡高松城跡は築城から430年以上の歳月が経過しており、石垣には石材の割れ、抜け落ち、孕み出しといった現象が多く見られました。
なかでも天守台の石垣は崩落の可能性が高いと判断されたため、平成17年度から石垣の解体・積み直し修理を実施しました。
この石垣解体修理工事の際に選択された工法の一つが枠工です。


▲枠工詳細図


▲枠工の施工状況

天守台石垣周辺の地盤補強のために採用された枠工


枠工は、地盤に深く松杭を打ち込み、杭同士をつないで枠を作り、枠の中に石材を充填して地盤を一体化させる伝統的な工法です。17世紀初頭から狭山池や大坂城、高槻城等で使われており、有効な地盤補強対策であると考えられています。

平成23年度に高松城跡天守台石垣周辺の地盤を補強するため、この枠工を採用し、石垣の根石前面に施工しました。普段は水面下で空気に接しないことから、長期にわたり木材が腐朽せず良好な状態を保持できることを期待しています。


それでは、高松城跡天守台周辺で行った枠工について紹介します。
まず、杭は等間隔で千鳥に配置し、次に板材で杭の頭部をトラス状に連結して、杭間の隙間に割れ石や栗石を詰める構造としました。杭及び板の材質は腐朽しにくいクロマツとし、板材の抜けを防止する込み栓にはクリを使用しました。この工法で期待される効果は、杭の打ち込みによる地盤の締固めと、杭を板で連結することによる地盤の拘束一体化、砂を石材へ置換することにより、下層地盤に対して載荷重をかけることです。また、置換部分の液状化も防止することができます。


今回は高松城跡天守台で報告した枠工の取組を紹介しましたが、桜御門復元整備工事にも多くの木材を利用しています。旧来の工法や材料に極力忠実に施工される歴史的建造物の再現は、木材による長期間にわたる炭素の貯蔵につながり、高松市の目指す「ゼロカーボンシティ」に資する行動例の一つでもあるのです。

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