このページの先頭ですサイトメニューここから
このページの本文へ移動
  • くらしの情報
  • 観光・文化・スポーツ
  • 事業者の方
サイトメニューここまで

本文ここから

第28回菊池寛ジュニア賞最優秀賞受賞作品

更新日:2020年6月18日

小学校の部

「先生からの贈りもの」 高松市立国分寺北部小学校 六年 井上 紬

 私は幼稚園の三年間、登園拒否をしていた。小学校に入学してももちろん、行きたくなかった。毎朝五時には、目が覚めてしまい、母に「今日はお休み?」「行きたくない」と訴え、家族に心配をかけていた。
 そんな私の将来の夢は小学校の先生になることである。この話をすると幼なじみや昔からの知り合いの人たちは、「あんなに泣いとったつむちゃんが!!」と口をそろえておどろく。
 私が小学校の先生になりたいと思った理由は、ある先生との出会いからだった。
 小学校に入学してからしばらくは、給食がのどにつっかえ、家では食べられるものも学校では食べられなかった。特に牛乳は、200mlもあるパックを見ただけでも戻しそうになった。先生は、マイコップを持ってくるように言ってくれた。そこにほんの一口の牛乳を入れ「これだけ頑張ってみな」と言った。あとは先生が飲んでくれた。気持ちがすごく軽くなった。その日は母に「こんなに少しの牛乳なら、私にも飲めたんよ」とうれしそうに話したものだ。
 しばらく経つと入れてくれる牛乳の量が少しずつ増えていった。
 私の様子を毎日観察してくれていたのだろう。だんだん慣れていき、牛乳の量がたいして気にならなくなってきたが、私は増やされたくなかったので、だまっていた。先生は「そろそろもうちょっと飲めるやろ」と鋭いところをついてきて、私の頑張ろうと思えるタイミングぴったりに合わせて量を増やしてくれた。
 一気に飲み干すと「飲めるやん」とサラリとほめてくれた。私はほっとするとともに嬉しい気持ちになった。そうしたやり取りが続き、二年生になるころには、200ml全部飲めるようになっていた。
 今思うと牛乳が嫌だったのではなく、新しい環境に不安で仕方なかったのだ。そんな私の気持ちをじっくり観察して、私のペースを見て付き合ってくれた先生は素晴らしいなあと思った。
 先生が大好きになり、先生となら安心して過ごせるようになった。しかし、友達とはほとんど関わりを持とうとしない私だった。すると、今度は私がなじめるように、友達と協力してするような頼みごとをしてきた。「ももちゃんと手紙を取ってきて」「給食の食器を一緒に運んできて」など、友達と関わるようにしてくれた。手伝うことがきっかけとなり、だんだん友達と仲良くなっていった。
 これまでずっと集団生活になじめなかった私を心配し続けていた家族も、先生に信頼を寄せた。最初の懇談では、気持ちが暗くなっていた母に、「この子は、力を持っているからすぐに発揮してくれると信じている」と力強く言ってくれたそうだ。毎日迷惑をかけているのに、まったく気にしない様子でいてくれたのである。
 先生が担任ではなくなるころには学校が楽しくなり、自信をもって生活できるようになっていった。それから私は、友達関係などに悩んだときは先生のクラスに足を運んだ。そのたびに特にアドバイスをもらうわけではないが、顔を見ると、何だか元気が出た。
 ある日、先生が他の小学校へ異動になったと聞いた。言葉が出なかった。家に帰って母に話すと思わず涙が出た。存在が心のよりどころになっていたのだ。
 家でお別れの手紙を書いていると、感謝の気持ちと共に私も先生のような一人ひとりの子どもと向き合っていける、その子の成長を後押しできる先生になりたいと強く思った。
 いつかどこかで私も先生のようになって一緒に仕事がしたいと書いた。お返事には、「大人になったとき私を見てがっかりされないようにそれまで精一杯努力をしていくね」と書かれてあった。心の底から嬉しく思い、これからの目標ができた。
 私は今、素敵な先生になるために勉強時間を増やしている。きちんと理解できているか解き方を父に聞いてもらい、人に教える力が付くように練習している。また、学校では一年生の教室へ行き、一緒に遊んだり、困っていることについてたずねたりしている。泣いている子の気持ちは人一倍分かるので、泣き止んでくれるように自分がしてくれてうれしかったことをするようにしている。
 毎日通っているうちに泣き止んでくれたり、手紙をくれたりしたことは、私の喜びになっている。これからも、夢に向かって努力を惜しまず、人の気持ちを感じ取れるようになりたい。
 そして大好きな先生と一緒に働くことができる日を楽しみにしている。

お問い合わせ

このページは文化財課が担当しています。
〒760-8571 高松市番町一丁目8番15号本庁舎7階
電話:087-839-2660  ファクス:087-839-2659

(高松市埋蔵文化財センター)
 住所:〒760-0017 高松市番町一丁目5番1号
 電話:087-823-2714  ファクス:087-823-2715 

(高松市歴史資料館)
 住所:〒760-0014 高松市昭和町一丁目2番20号(サンクリスタル高松4階)
 電話:087-861-4520  ファクス:087-837-9114 

(高松市石の民俗資料館)
 住所:〒761-0121 高松市牟礼町牟礼1810番地
 電話:087-845-8484  ファクス:087-845-5693 

(高松市香南歴史民俗郷土館)
 住所:761-1402 高松市香南町由佐253番地1
 電話:087-879-0717  ファクス:087-879-1818 

(高松市讃岐国分寺跡資料館)
 住所:〒769-0102 高松市国分寺町国分2177番地1
 電話:087-874-8840  ファクス:087-874-8840 

(菊池寛記念館)
 住所:〒760-0014 高松市昭和町一丁目2番20号(サンクリスタル高松3階)
 電話:087-861-4502  ファクス:087-837-9114 
 
<文化財課>
電話:087-839-2660
ファクス:087-839-2659

Eメール:bunkazai@city.takamatsu.lg.jp

本文ここまで

サブナビゲーションここから

便利ナビ

  • 結婚 離婚
  • 妊娠 出産
  • 子育て
  • 入園 入学
  • 引越 住まい
  • 就職 退職
  • 高齢者 介護
  • おくやみ

このページを見ている人はこんなページも見ています

情報が見つからないときは

よくある質問

菊池寛記念館

サブナビゲーションここまで

以下フッターです。

高松市

〒760-8571 香川県高松市番町一丁目8番15号
電話:087-839-2011(代表)
法人番号1000020372013
Copyright © Takamatsu City, All rights reserved.
フッターここまでページ上部へ