令和4年12月
更新日：2023年1月1日
「十二月に想う」 地域にあたたかく包まれて
市内の様々な場所で、美しく飾られたクリスマスツリーを目にしたり、クリスマスソングを耳にしたりする季節になりました。世の中がクリスマスムードで華やぐ時期は、心がウキウキする子どもがいる一方で、逆になんだか寂しさを感じる子どももいるのではないかと思います。私自身の幼い頃の記憶をたどれば、兄弟がいないこともあり、年末は家族も仕事の忙しい時期であわただしく、学校が休みの日は特に、一人孤独を感じることがあったように思います。さて、今月は、子どもの育ちについて考えさせられる機会がありましたので、紹介させていただきます。
11月21日（月曜日）の午後、たかまつ子ども食堂ネットワークの方々が定期的に集まる会の座談会に参加させていただきました。以前から、市内に15か所以上の子ども食堂があるということは聞いていましたが、この日は、実際に子ども食堂に関わる方々が、どのような思いで運営をされているのか、どんなことを大切にされているかを直接お聞きすることができ、新しい発見が数多くありました。それぞれの代表者の方々のお話を伺うにつけ、市内の子ども食堂は、活動内容や目的が少しずつ異なるものの、食を通して子どもたちや子育て世代の人々がつながる、子どもにとっても大人にとっても本当に大切な居場所になっていることが分かりました。
子ども食堂は、放課後や休日に家に一人で居るのではなく、友達と過ごせる楽しい場所。学校には行けないけれど、ここには来られるという場所。親や先生以外の大人と出会える場所。いろいろな世代の人が一緒に、わいわいガヤガヤ集まれる場所。嫌いな食べ物も、つい食べちゃう食事の場所。学校では言えないような、ありのままのことが言える、ホッとできる場所。・・・など、お世話になっている子どもたちにとっては、無くてはならない場所であることを知りました。
また、コロナ禍で活動が制限される中、感染症対策に十分気を配り、集まることが困難な時期には、お弁当に切り替え、子どもたちが持って帰って食べられるようにするなど、心を砕きながら活動されていること。「一人でも多くの子どもたちのために」という熱い思いと深い愛情をお持ちのこと。そして何より、子ども食堂に関わる皆様のエネルギー、明るく前向きな考え方に心を動かされ、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
中学校で学級担任として勤務していた頃、「深刻な悩みを抱えた、この子どもを、どうしたらいいのだろうか。何とかできないものだろうか。」と思い悩んでいた時、手を差し伸べてくれたのは、同僚や管理職の先生に加え、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーなどの専門職の方々、児童相談所などの関係機関の方々、そして子どもを取り巻く地域の皆様でした。チーム学校ということが言われるようになって久しいですが、一人の教員だけでできることは限られているけれど、少し視野を広げると、学校以外にも子どもたちを支えてくださる様々な方々がいることに気づきます。
子どもは、家庭ではぐくまれ、地域の中で成長していきます。数年前に、県教育委員会が行った調査では、子育て中の実に7割以上の保護者の皆さんが、子育てに何らかの悩みや不安を抱えているという結果が出ました。学校も家庭も、子どものことに関しては、自分一人で頑張って教育や子育てを完結しようとしがちです。しかし、ふと周りを見渡してみると、地域には、子どもたちを支えてくださる、子どもたちのために労をいとわず手を差し伸べてくださる多くの方々が居るのです。地域に温かく包まれて子どもたちが健やかに成長していくことは、地域にとっても明るい未来につながります。「地域とともにある学校づくり」「学校を核とした地域づくり」を目指し、学校、家庭、地域が連携、協働して、みんなで子どもたちを支える仕組みができたらと思う今日この頃です。
座談会でお聞きした話では、子ども食堂に通う子どもたちは、自分たちの担任の先生や校長先生が様子を見に来てくれたり、一緒にご飯を食べたりできるのをすごく喜んでいるそうです。幼いころの私のような、ちょっぴり寂しさを感じている子どもに出会ったときには、保護者にも一声かけて、先生も一緒にお近くの子ども食堂を訪れてみてはいかがでしょうか。
●高松市内で開設する子ども食堂について、詳しくはこちらから
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