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教育長ひと言

教育長が、教育に関する想いを「この月に想う」と題して綴ったコラムです。

「七月に想う」   食べることは生きること


  
 市役所10階から見える瀬戸内の海が、夏色の瀬戸内ブルーになり、本格的な季節の到来を知らせてくれています。夏至を過ぎ、日の出の時刻もかなり早くなった中、最近では毎朝、家庭菜園で夏野菜の収穫の後、食事の用意という流れです。

    
 遠い昔、中学校で勤務しながら子育てに奮闘している頃に、食事をしている幼い我が子のようすを見ながら、ふと考えたことがあります。「この子は、大人になるまでに、何回私が料理したものを食べるのかな?」そこで、ある日、好奇心からこのような計算をしてみたのです。人は毎日3回の食事をしますが、子どもは幼稚園や学校で給食を食べるので、1日2食分の料理をすると計算すると、1日2食×365日×18年=13,140食で約1万3千回。子どもが成人するまでに家庭で食事をする回数です。これに高校生の頃のお弁当作りを加えると、料理の回数はさらに増えることになります。
 


 正直に言いますと、その時、こんなにも料理をしなければいけないのかと思うと、気が遠くなる一方で、自分の頭をよぎったフレーズがあります。「あなたの体は私の料理したものでできている・・・。」次の瞬間、「じゃあ、他のことはさておき、毎日栄養バランスの取れた食事の用意(料理)だけは頑張ろう!」と決意をしたことを覚えています。
 振り返れば、子育てで自慢できるようなことはほとんどありませんが、食べることだけには気を配ってきたことぐらいでしょうか。そして、そのことが仕事を持ちながら子育てをする秘訣の一つだったのかもしれません。

 

 今年の5月末に「食育基本法の一部を改正する法律」が施行されました。食育基本法というのは平成17年に議員立法により制定された法律ですが、この度の改正法は、農林漁業に関する教育の促進、大人向けの食環境改善を含む新たな施策や体制の構築等が求められていることに応え行われたものです。

  
 高松市内の小中学校では、学校給食を食育の生きた教材として、望ましい食習慣や食に関する正しい理解を高めるとともに、多くの学校で、「弁当の日」や「マイランチの日」を設定し、子どもたちが自分でお弁当づくりや夏休みの昼食づくりに挑戦する取組が長年にわたって行われてきています。そのルーツをたどると、全国的に展開している「子どもが作る弁当の日」の提唱者である竹下和男先生に行きつきます。竹下先生は、高松市内の中学校の校長先生をされていた方で、私も先生の著書やご講演を拝聴したことがあります。「食べることは生きること」は竹下先生が長年の実践の中で実感された言葉です。

  
 先日、高松市PTA連絡協議会が主催するファミリー読書感想文コンクール2025の最優秀作品に触れる機会がありました。以前、この教育長ひと言でもご紹介した内田美智子さんの著書「いのちをいただく ~みいちゃんがお肉になる日~ 」を親子で読み、肉料理が苦手だった子どもさんが、お母さんとスーパーで合いびき肉を買い、初めて家で一緒にハンバーグを作るという経験をします。最後には、「たくさんの命をいただいて、元気に育っている自分の体と心をもっと大切にしていきたい」と締めくくられています。子どもたちは、何かを体験することで、たくさんのことに気付いたり、学んだりするのだとつくづく感じることができました。

   
 さて、夏休みまであと一か月を切りました。親子で時間が取れる日には、一緒に台所に立って、子どもさんがお気に入りの料理や時には苦手な食材の料理をすることを、ぜひおすすめします。きっと、子どもさんにとっては、貴重な忘れられない体験になることと思います。
    
      

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