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令和5年3月

更新日:2023年2月16日

「三月に想う」  ふつうって なあに?

  
 早春の梅の花が美しい季節となりました。学校では、今年1年間の一人ひとりの子どもの成長を振り返るとともに、保護者の皆様も「やっと〇年生も終わるなぁ。」と学年の節目を実感されていることと思います。
  
 昔の話になりますが、私が学級担任をしていたとき、保護者懇談会の際に、何人かのお母さんから、「先生、兄弟でも、この子はお兄ちゃんとは、いろんな面で全然違うんですよー。」という言葉をお聞きしました。若い頃は「そうですか・・・。どんなふうに違っているのですか?」とお話をうかがうだけでしたが、自分が二人の男の子を育ててみて、「本当にそのとおりだ!」と実感したことがあります。
  
 兄弟を育てていると、下の子も上の子とおそらく同じように成長していくのではないかという固定観念で子どもと接してしまうことがあります。例えば、算数の学習の進め方にしても、長男は決められた公式に従って、何の疑いもなく淡々と計算を進めていき、正解にたどり着くタイプ。次男は、大元の公式の原理の部分にこだわって、「なぜ?なぜ?」と追及し、納得できるまでは前に進まないタイプです。そんな違いに親として少し気づきかけたある日、こんなことがありました。次男が学校から持って帰った算数のテストの間違った部分を指摘した私は、思わず「こんなの普通に考えて解いたら、すぐ答えが出るのとちがう?なんで間違うの?」と言ってしまったのです。その時、即座に次男が発した言葉は「お母さんの言う、ふつうって、なに?」でした。その時の厳しい口調と、ハッとした自分の気持ちを今でも覚えていますが、今になって冷静に分析すると、きっと私の心の中には、「そんなこだわりを捨てて、先生に教えてもらったとおりに解けば、間違えないのに、深く考えすぎて損をしているのでは?」という気持ちがあったのだと思います。その後、何度か同じような場面があり、わが子の発する言葉にドキッとさせられ、親としての自分の中の凝り固まった考え方を反省することがよくありました。
  
 同時に、このことを学校教育の視点で捉えると、兄弟でも何でもない全く異なる環境で育ってきた子どもたちの個性に対し、自分だけの物差しを押し当てて、「なんで普通にできないの?」と求めることは、何と愚かなことだと気づかされたことを覚えています。これからの時代を生きる子どもたちを育てるためには、それぞれの子どもの、できていない部分に視点を当て続けるのではなく、できている部分に目を向け、さらにその子にしかない良さを最大に引き出す教育が特に必要ではないかと思います。
  
 こんな昔の出来事を思い出している折に、NHK for Schoolのサイトで、「ふつうってなんだろう?」という教員向け動画を見つけました。2分程度の動画ですが、多くの示唆を与えてくれます。落語家の柳家花緑(かろく)さんは、子どもの頃、文字を読むのが大の苦手で、学校の学習では、たいへんご苦労をされたようですが、口伝えと話すことが中心の落語との出会いが人生を変えたそうです。人にはそれぞれ個性があり、誰しも凸凹した部分、苦手なことも、得意なこともあります。しかし、周囲の大人に、自分の良いところを見つけてもらい、それを伸ばしていけることで、人の人生は大きく変わります。
  
 息子たちの話に戻りますが、文系、理系と全く異なる進路に進み、大人になって職業人となった二人を見るにつけ、「人間の可能性っておもしろいなぁ。」と考えさせられます。長い目で子どもの成長を見守ることの大切さとともに、子どもの成長を信じて待つことの大切さを感じる今日この頃です。
  
  
  
 

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