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令和2年4月

更新日:2020年4月1日

教育長ひと言

教育長が、教育に関する想いを「この月に想う」と題して綴ったコラムです。

「四月に想う」 今こそ、桜のような、私たちの和合の美しさを

  四番丁スクエアの一角にある満開の桜の横を通り、通勤しています。この時期、うつむきがちになる私ですが、この場所だけは顔をあげ、沈む心を桜に和ませてもらいます。
 桜の木は、少し離れて眺めると、全体が一つの美しい景色を作り出しています。それは、美しい一つ一つの花が寄り添い集まって作り出す、和合の美しさではないでしょうか。
 その桜のつぼみが膨らみかけた3月3日からの臨時休業では、ただただ、子どもの健康を祈るような気持ちで過ごしました。そして、全国的には大都市を中心に感染の拡大が見られてはいましたが、新しい年度の打っ立てである始業式や入学式を行い、再度休業になっても、学級担任も分からない、同じクラスの友達も知らない、新しい教科書も手にしていないなどでは、子どもたちを更に不安にするだけだと考え、学校再開に踏み切りました。しかし、全面再開ではなく、午前中授業とし、再開後の状況を慎重に見極めたうえで、その後の対応を判断することとしました。
 その間、リスクの軽減をより図るために、国が学校再開ガイドラインに示したチェックリストを更に細かくした対策を講じるとともに、子どもたちの栄養状態も気になっていましたので、給食も再開しました。そして、4月6日、久しぶりに子どもたちの笑顔と歓声が学校に戻ってきました。学校には、子ども一人一人に声をかけ、状態をきめ細かく把握するように伝えてありました。痩せた子はいないか、表情がさえない子は、顔色は、言葉遣いはなど、様々に子どもを観察した教員が感じたのは、子どもに励まされた、元気をもらったということでした。
 当初の予定通りに始業式や入学式を行い、ぞれぞれの学級の教育活動もスタートすることができましたが、再びの臨時休業となりました。新しい友達との学校生活を楽しみにしていた子どもたちには申し訳ない気持ちでいっぱいです。また、ご負担を再びおかけするようになった保護者の皆様にも大変、申し訳なく思います。
 今、私たちは、新型コロナウイルス感染症との戦いの渦中にいます。緊急事態宣言も出され、どうしても悲観的な情報が子どもたちの耳にも入ってきます。子どもは、子どもなりにこうした状況を敏感に感じます。すぐに笑顔になったり、明るく振舞ったりはしますが、心の中には、大人が感じる以上の不安を抱えていることだと思います。しかし、人間は、過去の大きな災害や争いからたくましく立ち上がってきました。こうした状況下での生活を強いられていると感じ、不安を抱くだけではなく、ここから学べること、改めて気付くことがたくさんあるのではないでしょうか。
みんなで守るべきことを、しっかりと守っていく社会の大切さや、感染を防ぐことは、自分と周囲の人を守り、ひいては社会を守ることになること、マスクの着用の意味である自分の咳や発声時の飛沫を相手にかけないためであるという相手意識に立つこと、さらには、手洗い、うがい、換気などの日常の衛生習慣など、学ぶべきこと、再認識することがたくさんあります。そして、日常の有難さや、慎ましく生きることへの価値を感じることなどを考える機会にもできるのではないでしょうか。
 今こそ、一人一人の自制した行動に価値を見出すことによって、桜の和合の美しさのような人間の調和を生み出し、この難局を共に乗り越えていきましょう。

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