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令和3年2月

更新日:2021年3月10日

教育長ひと言

教育長が、教育に関する想いを「この月に想う」と題して綴ったコラムです。

「二月に想う」  一人の教師が授業中に流した涙

 厳しい寒さが続く二月を迎えました。一年に十二ある月の中で、一番短く、新春の一月と草木の芽が膨らむ三月に挟まれ、これまでは、寒さもあって、寂しささえも感じる月でした。しかし、今年は124年ぶりに季節を分ける節分が二月二日、そして立春が二月三日と話題になり、宇宙に浮かぶ地球に思いを巡らせたり、建国記念の日だけであった祝日に、天皇誕生日が加わり、日本の古を思ったりする、身の引き締まるような月になりました。この凛然とした、草木の再生する如月、二月に、心と体をしっかりと鍛え、肌刺す寒さに耐えてこそ、心豊かな春を迎えられる大事な月のように思います。
 卒業を控える小学六年生も、心を鍛え、心を豊かにしようと、この時期には、人権学習に取り組む学校が多くあります。小学校の学習の締め括りとして、様々な人権問題の解決のために、一人一人が他人事ではなく、自らの課題として人権問題に向き合う、とても大切な学習です。この時季になると、こうした人権学習の様子を、特によく参観し、多感な時代の一年間を共に過ごした仲間が集う学級で、子どもたちが自分の心を自分の言葉でさらけ出し、互いに学び合い、深く考えている姿に成長を感じ、大変たのもしく嬉しく思ったことが記憶に蘇ります。
 そのような中のある授業のことです。その授業の最後の学習活動において、それまでに学んだ思いを、より強くするための手立てとして、主人公である女の子と、その祖母が書いた手紙を提示し、子どもたちに学級担任が読んで聞かせる場面がありました。もちろん、担任は事前に読んでいたのですが、それにもかかわらず読み始めて少し経った辺りから、担任自らが、その内容に心を動かされ、徐々に声が詰まってきたのです。目に、うっすらと涙を浮かべ、声を震わせながらの朗読になりました。担任の、読む声に合わせて手紙の文字を目で追っていた子どもたちは、思いがけない担任の姿に気付き、驚いたその瞬間は、戸惑うような視線になりました。しかし、その後すぐに、担任の声だけが響く教室で、どの子どももが深く澄み切った瞳になったのです。きっと、担任が流した涙によって、より強く、女の子と祖母の手紙の内容が胸に響き、二人の思いに心を寄せることができたのでしょう。私も、手紙の内容から込み上げて来るものを感じていましたが、二月の空気のような子どもたちの凛とした姿に、また違った涙を感じるほど、主人公に思いを寄せた素晴らしい授業となりました。
 人間が人間を教え、共に学ぶ関係の中にある授業の場面では、教師も胸に迫り、涙することがあるのは自然な姿だと思います。涙する教師も、それを受け止めた子どもたちも、共に素晴らしい関わりが生まれた時間でした。
 まだまだ厳しく凍てつくような寒さの続く二月ですが、相手に思いを寄せることで、一人の学級担任が流した涙や、その様子に自ずと共感する子どもの姿に、私の目が潤んだような光景が多く見られれば、心温まる二月になるに違いありません。
 いつもより一日だけ早い、暦の上の春を迎えましたが、本当の春も近いような気がします。
 
  

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