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令和5年12月

更新日:2023年11月28日

「十二月に想う」  言葉の力

  
 落葉を踏みしめて歩く肌寒い季節になると、なぜか子どもの頃の心温まるほっこりとした記憶がよみがえってきます。私を育ててくれた祖父母は、他界してしまったのですが、思い出は、今でもずっと心の中にあります。
  
 この時期、一番に思い出すのは、小学校低学年の頃、家の手伝いをしようと、冷たい水を流しながら食器を洗っていた時のことです。うっかりお皿を落として割ってしまったことがありました。当時は、台所の流しもタイル張りで、食器を滑らさないように、よほど気を付けていたのに、一瞬にして私の気持ちはすぼんでしまいました。ひび割れてしまったお皿を見つめ「おばあちゃん・・・ごめん。割ってしもうた・・・。」とつぶやいた時、返ってきた祖母の言葉が、「お皿も割れんかったら唐津屋(食器店)が儲からんやろ。だいじょーぶや。」。その言葉と笑顔に、明るい気持ちになれました。
  
 中学校時代、小規模校に通っていた私は、バレーボール部や生徒会、合唱に英語のスピーチコンテストの練習にと時間に追われる中、「肝心の勉強する時間がないー!」と困っていると、「若い時の苦労は、買うてでも、しなさいという言葉があるよ。」と言った後、祖母が若いころ大阪の紡績工場で働いていた頃の苦労話から始まり、最後はサクセスストーリーで終わるドラマのような話を語ってくれました。しんどいと思っても、自分が今、与えられている機会を精一杯楽しむ気持ちが大切だと教えてくれました。
  

 
 その他にも、私の中での祖母の名言は数々ありますが、今思うと、その言葉自体がすごいのではなく、何よりも、言葉を受け取る相手の心情や思いに寄り添った愛情あふれる言葉だったのだと気づき、こんな言葉をかけながら育ててくれた祖母には今更ながら感謝の気持ちが湧いてきます。
  
 さて、学校ではどうでしょう。学校を訪問しますと、子どもたちが言葉について考える時間を設けている機会に出会います。「ふわふわ言葉」と「チクチク言葉」の道徳の授業後の掲示や「友達のいいところ見つけ」の掲示など、その中には、心温まる言葉をたくさん発見します。一方、子どもたちは、毎日の生活の中で、つい相手を傷つけてしまう言葉を発することもあります。
  
 教員として担任をしていた頃、クラスの中でよく乱暴な言葉を聞くことがあった時、星野富弘さんの詩を題材に道徳の授業をしたことがあります。「鏡に映る顔を見ながら思った もう悪口をいうのはやめよう 私の口から出たことばを いちばん近くで聞くのは 私の耳なのだから」。(星野富弘「鈴の鳴る道」より)当時中学1年生だった子どもたちは、この詩について考えるとともに、真剣に自分と向き合ってくれたことを思い出します。
  

 言葉の大切さ、言葉の力・・・子どもにかける一言は、子どもの成長にとって大きな影響があります。教員からの一言で、子どもは励まされ、救われ、時には傷つきもします。教員の言葉は、子どもたちにとって大切な教育環境の一つだと思います。
  
 冬の澄みきった夜空の月を見上げ、昔のことを一つ一つ思い出しながら、長かった教員生活を振り返り、自分は、あたたかい言葉を子どもたちに、かけることができただろうかと反省する毎日です。
 

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