このページの先頭ですサイトメニューここから
このページの本文へ移動
  • くらしの情報
  • 観光・文化・スポーツ
  • 事業者の方
サイトメニューここまで

本文ここから

令和5年11月

更新日:2023年10月19日

「十一月に想う」  子どもが育つ教室

 教育長室から見える瀬戸内ブルーの海の景色にも、秋の気配が漂っています。
 さて、今年の学校訪問も終盤に差し掛かりました。毎年、市内70校の小・中・高等学校を訪問することにしていますが、毎回、驚きや感動、微笑ましい場面、また自分自身が教えられたり考えさせられたりする場面に出会います。
 学校現場は、様々な教職員の皆さんによって支えられていますが、現在の高松市内の教員年齢構成を見ますと、50歳代後半と20歳代、30歳代前半の教員が多く、近年の大量退職が続く中、これまで高松の学校や先生方が培ってきた良き教育文化をいかに継承していくかが重要になってきています。
 今回は、学校訪問中に私が思わず足を止めて授業中の子どもたちのやり取りに見入ってしまった、小学2年生の学級担任をされているベテランの先生の授業の様子を御紹介したいと思います。

 工夫を凝らした朝の活動のあと、授業が開始され、2年生のクラスに差し掛かりました。一人の児童が立ち上がり発表をしようとしています。
 「間違っているかもしれないけど、言ってもいいですか?」他の児童たちが「いいですよー。」、その後、「○○さんの意見に付け加えます。」と次々と自分の席や時には黒板の前に出て、自分の考えをクラスのみんなに伝え、その都度、自然に拍手が沸き起こります。子どもたちが対話を進めるように授業が展開していき、先生は笑顔で意見の整理をしていきます・・・。
 途中、姿勢が大きくずれた児童に対し、先生が声をかけると思いきや、全く別の席の児童に対し「○○君の姿勢は100点ですね‼」の発言。最初の姿勢が崩れかけた児童は、すかさずきちんと座りなおすという光景が見られました。多様な子ども一人ひとりを大切にしたいという温かい担任の思い、また何よりも学級の子どもたちの支持的風土に感心させられました。学級が本当に安心できる、みんなが認められる居場所となっているのです。
 
 幸運にも、この学級の様子を再び見る機会がありました。子どもたちが目標設定をした「3つの数のひっ算を考えよう」の算数の授業で、先生からの「このやり方は、どうしたらいいんかなぁー。できる?」という投げかけに対し、最初は「わからん・・・」と口々につぶやいていた子どもたちでしたが、「無理だったら、言ってくれたら教えますよー。」と先生が言った瞬間、子どもたちから次々に「ダメダメ、自分たちでできる‼」の反応があり、ここから課題解決が始まりました。

 その後の児童のつぶやきを拾ってみました。
 「何それ?」「んーわからん。」「まって!もうちょっと時間ちょうだい。」「なんでやろー。」、グループ活動では、「ヒミツがあるはずや。」「たぶん・・・」「○○君と似てるけど・・・」「例えば・・・」「あ、わかった!」。
 また、声の小さな友だちの発言に対し、「聞きたいので、もう一度お願いします。」、授業の終盤には、「まとめを言っていいですか?」などと、子どもたちの思考の流れで授業が進む、文字通り子どもが主役の授業です。自然に学び合いが始まり、ある時は席を離れて友達に質問したり、教え合ったり、自由だけれどもみんな必死に課題に向かって取り組む授業。考えていない児童が一人もいない・・・。思いやりにあふれる、主体的で対話的で、深い学びの姿がそこにありました。
 

 一方で、先生の言葉を拾ってみますと「○○さん最高!」、「○○さんのノートには、もうちゃんと書けているねー。」、「この考えどうですか?」、「どこがいいですか?」、「○○さん、よく見えているねー。頭がくるくる回転しているね。」、「4人で知恵出して考えてすごいねー。」、「あー、いい考えやねー。」など、称賛の言葉に子どもたちの表情が自信に満ち溢れます。授業の開始から、一人で考える時間、グループで考える時間を確保しながら、先生は子どもたちから出た考え方を整理して黒板に書いていきます。決して大きな声を出すことはなく、むしろ小さな声、優しい話し方で授業が進められていきます。途中で鼻血を出す児童や忘れ物をした児童、ちょっとした揉め事があるグループ・・・、数々のハプニングもある中で、子どもたちを誰一人取り残さない、包み込むような接し方でした。
 また、授業の最後には、それまでとは打って変わって、学級全体が一斉に静かになり、自分自身のノートにまとめを書きます。振り返りの場面では、「グループの友達に教えてもらったことを参考に問題が解けて、うれしかった。」という感想を聞くことができました。

 経験豊富な先生の授業を拝見し、私の頭をよぎった言葉は、「子どもが育つ教室」でした。教員はついつい、自分がきちんと教えなければならないという考えが先に立ち、私も過去にはそうでしたが、「子どもを育てよう育てよう」としがちになります。一方で、子どもたちの力を信じ、どうすれば子どもたちが自分の力で伸びていけるのかを考えることも重要です。
 これからの予測困難な時代を生き抜いていかなければならない今の子どもたちに対し、「先生の説明をひたすら静かに聞き理解する」という受け身の姿勢ではなく、「課題を捉え、自ら積極的に考え、周囲の様々な友達と対話を重ね、共に解決に向けて努力しようとする力」を身につけることができる土台づくりの授業を見た思いがしました。
 また、一人一台端末を活用しながら授業を進める姿も見られ、経験年数や得意・不得意に関係なく、新しい環境を受け入れ、子どもとともに学び続けようとする先生の後ろ姿こそが、「子どもが育つ教室」の秘訣ではないかと感じました。
 
 秋は、各教科等の研究会や研究授業が市内各地で開催される時期です。教職経験が浅い先生方は、他の多くの先生方の授業を参観し、自分が取り入れられそうなことを一つからでも導入してみることも大切です。「学ぶ」の語源は、「まねる」からきているという一説もあります。「子どもが育つ教室」を目指して、一人でも多くの校内外の先生方の授業を参観してみてください。
 
 

お問い合わせ

このページは教育局総務課が担当しています。
〒760-8571 高松市番町一丁目8番15号本庁舎10階
電話:087-839-2611
ファクス:087-839-2615

Eメール:kyoikusomu@city.takamatsu.lg.jp

本文ここまで

サブナビゲーションここから

便利ナビ

  • 結婚 離婚
  • 妊娠 出産
  • 子育て
  • 入園 入学
  • 引越 住まい
  • 就職 退職
  • 高齢者 介護
  • おくやみ

このページを見ている人はこんなページも見ています

情報が見つからないときは

よくある質問

サブナビゲーションここまで

以下フッターです。

高松市

〒760-8571 香川県高松市番町一丁目8番15号
電話:087-839-2011(代表)
法人番号1000020372013
Copyright © Takamatsu City, All rights reserved.
フッターここまでページ上部へ