令和5年8月
更新日：2023年7月25日
「八月に想う」 育てるということ
自宅前の畑で家庭菜園を始めて、ちょうど2年になります。今の時期は、キュウリ、なす、トマト、唐辛子、ピーマン、オクラ、パプリカからバジルまで、夏野菜の収穫期で、毎日、出勤前に20分ほど畑で過ごすことが多くなりました。新しい表情の野菜たちに出会うのが楽しみで、毎朝必ず見に行きます。
毎朝、感心させられるのは、それぞれの野菜の成長ぶりです。ほんの小さなキュウリが、たった一日で驚くほど成長するのを眺めるたびに、「自分は昨日よりも一歩進めているかな。」と思わず自問自答してしまいます。
これまで、プランターで少しの野菜を育てたことはありましたが、今回は、全くの素人が畑仕事を始めたものですから、当初は、週末、早朝に畑で作業をしていると、見るに見かねた近所の年長の方が「和代ちゃん。うねは、もうちょっと高く、大きめに・・・。」「堆肥を入れたほうがいいよ。」「ジャガイモの茎は4本くらいまでにするんやで・・・。」など、その都度、通りがかりにアドバイスをしてくださいました。時には、車を停めて、わざわざ降りて教えてくださる方もあり、有機野菜作りの知識がどんどん増えました。子どもの頃から慣れ親しんだ方々に囲まれて、この年齢になっても地域の方々に温かく育てられていることを本当にありがたいと感じています。
もちろん、失敗もあります。育てるという意味では、少し教育と相通じるところがあり、このくらい大丈夫かな？と思って油断をしていると、水切れを起こして枯れてしまったり、逆に水をやりすぎると根が腐ってしまったり、肥料の与え方なども、それぞれの野菜の日々の変化に気を配りながら、その野菜が、今最も必要としているものを観察して見極め与えることが、豊かな収穫につながるようです。
もう一つ、今、この原稿を書いている教育長室や自宅で、育てているものがあります。胡蝶蘭の鉢植えです。花を楽しんだ後も、何年間か花を咲かせようと、これまでも何鉢か育ててきましたが、こちらは、元の枝の形にこだわって枝を無理やり捻じ曲げたり、自分の思う方向に育てようとするとポキッと折れてしまったり、きちんと生育しなかったりして失敗することがありました。一方、どちらの方向に新たに芽を出しても、しっかり水の管理と栄養を与えていれば、毎年、花を咲かせない鉢はなく、どの茎から咲く花も、自分らしい咲き方で、白く美しい花を咲かせています。
子育ても同じかもしれません。子育て四訓をご存じでしょうか。諸説ありますが、アメリカの先住民の言い伝えと言われています。
◎乳児は、しっかりと肌を離すな。
◎幼児は、肌を離せ、手を離すな。
◎少年は、手を離せ、目を離すな。
◎青年は、目を離せ、心を離すな。
子どもの発達段階に応じて、その都度、成長の様子を見ながら、決して過干渉にならず、必要なところはしっかりと支えていくことの重要性をうまく言い表している四訓だと思います。しかし、なかなか実行に移していくのは難しく、私自身も子育て中は、「あー、ちゃんと見ておけばよかったなぁ。」「う、言わなくていいことを言ってしまった！」と、つぶやくことの繰り返しだったような気がします。
子育てに対して、うまくいかず自己嫌悪に陥っているときに、言われた言葉があります。「初めての子どもが小学校1年生なら、親も子育て1年生。最初からそんなに完璧にできる親なんて、居ませんよー。肩の力を抜いて、子どもと一緒に成長すればいいんですよー。」少し楽な気持ちになれたことを覚えています。
さて、夏休み最初の10日間が過ぎました。この時期、我が家でも「小学生の子どもの読書感想文の宿題をどうしよう。」と悩んでいた頃の昔の自分を懐かしく思い出します。日々成長している子どもたちに向き合い、子育てに奮闘されている保護者の皆様を心から応援しています。
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