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令和5年10月

更新日:2023年10月26日

「十月に想う」  すてきな本と出会う秋

 10月になりました。学校訪問で市内の小・中学校を訪れると、校内掲示や廊下にも秋の気配が漂っています。時間がある時には、図書室にも足を運んでみるのですが、図書館指導員の方々の創意あふれる掲示やレイアウトのおかげで、今の時期に読みたくなる本や新しい本、話題の本が所狭しと並べられていて、思わず手に取りたくなります。
 また、図書室だけでなく、校舎内の廊下の片隅やわずかなスペースを活用して、子どもたちが、ちょこっと座れる椅子と本棚が置かれている学校も見受けられます。友だち同士で好きな本を囲んで、楽しく語らう様子を見ていると、私までうれしくなってしまいます。

 さて、家庭では、いかがでしょうか。最近では、スマートフォンやタブレットの普及で、保護者の皆さんが子どもの頃に比べると、家の中で子どもたちが本に触れる機会が減ってきているかもしれません。
  
 お子さんが小学校入学前や低学年の保護者の方の中には、「読み聞かせは子どもにとって良いことは分かっているけれども、実際、家庭で子どもに絵本を読むときには、どんなことに配慮すればいいのかな。」と思っている方もいらっしゃることと思いますので、少し、ヒントを御紹介したいと思います。
  

 私自身、子育てを振り返ってみますと、そんなに偉そうには語れません。なるべく寝る前には本を読んであげたいと思いつつ、仕事や家事で疲れていた日には、読み聞かせをして寝かしつけるはずが、いつの間にか、自分が寝かしつけられることもしばしば・・・。こんな本もあんな本もと思うのですが、なぜか子どもはお気に入りの同じ本を毎日読んでほしいと言い・・・、何度も何度も繰り返し読んだこともありました。『かみさまからのおくりもの』や『しょうぼうじどうしゃじぷた』、『ぐるんぱのようちえん』、『かいじゅうたちのいるところ』などは、今でも一部は暗唱できるほどです。
  
 読み聞かせにどれほど効果があったかなどと振り返る暇もなく、あっという間に子どもたちは大人になりました。これは、子どもの頃の読み聞かせなど、自分自身も忘れてしまっていた頃の出来事です。
  
 長男は就職のあと数年後、結婚が決まり、新しい家に引っ越すことになりました。ある日、家を出るために自分の部屋の片づけをしていた長男の部屋を、ふとのぞいてみると、ほほえましい後ろ姿を見ました。子どもの頃に読んだ多くの絵本の中から、もうぼろぼろになったお気に入りの本を、大事そうに、新しい家に運ぶため小さな本箱に並べていたのです。将来出会う自分の子どもに読んであげたいと思ったのかもしれません。その光景を目にした瞬間、子どもが小さかった頃のことをなつかしく思い出しました。
  

幼児期の本の読み聞かせは、大好きな人に本を読んでもらう一生の宝物になると言われています。また、人の気持ちを理解し、自分の気持ちを表現する力を育み、絵本の美しい色彩や多彩な表現との出会いが豊かな感性を育むとも言われています。

 この秋も、子どもたちが「すてきな一冊」に出会えることを願っています。
 保護者の皆様にとっても、心に残る本との出会いを、どうぞ大切に・・・。
 

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