平成30年12月
更新日:2018年3月1日
教育長ひと言
教育長が、教育に関する想いを「この月に想う」と題して綴ったコラムです。
「十二月に想う」自尊感情を高める合唱コンクールと、大人の言葉
師走を迎え、2週間余りで新しい年を迎えます。今年、1年を振り返ってみると、先月も中学生の活躍を書きましたが、眩いほどいい表情の中学生に多く出会うことができた年でした。
10月から11月にかけて、ほとんどの中学校で行われた合唱コンクール(合唱祭)でも、中学生のひたむきな姿を見ることができました。学級ごとに、自分たちで選曲し、指揮者や伴奏者も自分たちの中から選び、共に練習に励み、ステージで披露するというものです。そのステージも、高松港近くにある大きなホールのステージに立つ学校もあります。また、成績を競わず、合唱を楽しむ学校など様々でありますが、それに掛ける中学生の思いは同じであります。
この時期に学校を訪れると、始業前にもかかわらず、どこからともなく歌声が聞こえてきます。放課後は、部活動などがあって、なかなか全員が揃わないので朝練習をしているとのことでしたが、校舎に響く中学生が奏でるハーモニーに、その表情は見えなくとも、一途な思いが伝わってくるようで、朝から心地よくなったことが度々ありました。朝の練習をしようと言い出したのも生徒ですし、練習自体も生徒だけで行っています。不満足な点、上手くいかない箇所があれば、みんなで考え、相談し、修正していきます。日頃は、「歌なんて、合唱なんて」と取組に真剣ではなかった生徒が、ある時「もう1回、そこんとこやってみよう。上手くいってないわ」と叫び、クラスのみんなが驚いたというエピソードも聞きました。本気で言い合える関係が、練習の中で生まれ、学級というチームだけでなく、個人を強くしていっているのだと思います。「いい演奏をしよう」という高い意識をもって、やらされる練習ではなく、やる練習に、みんなで考え取り組むことが、子どもたちを大きく、つながりを強くしていきました。
さあ、迎える本番です。高校、大学と合唱部に籍を置いた私としては、ぜひ、ステージを見たいと思い、ある中学校の合唱コンクールを聞きに行きました。1年生の部しか聞く時間がなかったのですが、行って良かったと心から思いました。本番前の緊張感を味わい、スポットライトを浴び、指揮者の体全体を使ったタクトに合わせて、仲間とともに、それこそ息を合わせて、表情豊かにハーモニーを奏でる一心な中学生の姿に、とても感動し、大きな拍手を送りました。ステージから降りてきた紅潮した顔の生徒は、みんな満足そうでした。そして、この後、学級担任などからかけられた言葉によって、この時の心情がさらに価値付けられていったに違いありません。
今年度の全国学力・学習状況調査の児童生徒質問紙調査で、本県の生徒は、これまで全国と比較して低いとされてきた「自分にはよいところがあると思いますか」、いわゆる自尊感情の項目について、肯定的に回答した割合が、約8%上昇し、本市の中学生も昨年度を大きく上回りました。もちろん、合唱コンクールの効果だけではありませんが、このような取組の延長線上にある結果であり、きっとこうした子どもたちの姿にかける大人の声が、その数値を引き上げているのだと思います。
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