令和2年3月
更新日:2018年3月1日
教育長ひと言
教育長が、教育に関する想いを「この月に想う」と題して綴ったコラムです。
「三月に想う」 子どもの笑顔と歓声があふれる春を待つ
3月、「弥生」の由来は、草木がいよいよ生い茂る月「木草弥や生ひ月(きくさいやおひづき)」が詰まって「やよひ」となったという説があります。弥生は、旧暦の3月を指しますことから、由来にあります草木が生い茂るほどの時季ではありませんが、光が柔らかくなり、間違いなく、春はもうすぐそこまで来ています。
そのような春を待つ、希望を抱く3月が、新型コロナウイルス感染症によって、辛さを抱く3月になってしまいました。
先月下旬、この時期に流行するインフルエンザが、やや落ち着き始めていましたが、新型コロナウイルス感染症の広がりが懸念されていましたから、子どもたちや教職員の健康に引き続き気を配らなければならないと思っていた矢先の、2月27日の夕刻に飛び込んできたニュースに、耳を疑いました。内閣総理大臣が、「各地域で子どもたちへの(新型コロナウイルス)感染拡大を防止する努力がなされているが、ここ1、2週間が極めて重要な時期だ。」と述べたうえで、「何よりも、子どもたちの健康・安全を第一に考え、多くの子どもたちや教員が日常的に長時間集まることによる大規模な感染リスクにあらかじめ備える。」と言われ、3月2日から全国すべての小学校・中学校、それに高校と特別支援学校について、春休みに入るまで臨時休校とするよう要請する考えを示されたのです。長く教育に携わってきましたが、もちろん初めて経験することでした。
今年度も、本市のすべての小中学校を訪問し、各教室に入り授業を参観しましたが、どの学校においても落ち着いた充実した教育活動が展開されていることを見てきましたから、これから始まる締めくくりの、そして、別れの3月を、子ども同士、子どもたちと教職員が、ご家庭や地域の皆様に温かく見守られながら充実した、いい時間を過ごしてほしいと望んでいただけに、大変、残念に思いました。しかし、何より子どもたちの健康・安全を第一に考え、感染リスクに予め備えることが重要でありますので、子どもたちを取り巻く多くの人たちの心情をおもんばかるに、大変悩んだ判断でありましたが、教育委員会、そして、関係者との協議を経て、3日からの臨時休業とすることにいたしました。
その後、全国では子どもへの感染もあるものの、この決定は、特に、それぞれの学び舎の最上級生である卒業を迎える子どもたちの3月を台無しにしてしまったのではないかと、今でも申し訳なさでいっぱいです。
そうした中、3月4日に、高松第一高等学校で卒業証書授与式が行われました。跡を継ぐ全在校生の参列はなく、来賓祝辞や恒例の合唱部と吹奏楽部の祝賀演奏も省かれ、例年より時間が短縮された式でしたが、卒業生代表の答辞の一言、一言に、こうした状況下でも前を向き、しっかりと歩み出そうとしている決意と覚悟に、励まされているようにさえ感じ、胸が熱くなりました。
本来の弥生、3月ではなく、皆さんが辛さを抱きながら過ごしていますが、一日も早く子どもたちの笑顔と歓声が、また学校に満ち溢れることを願って、今を皆さんとともに乗り越えたいと思います。
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