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令和元年11月

更新日:2018年3月1日

教育長ひと言

教育長が、教育に関する想いを「この月に想う」と題して綴ったコラムです。

「十一月に想う」 いつまでも、そのように生きたいと憧れるわが恩師

 先だって、小学校時代に担任をしていただいた先生に、久しぶりにお会いした。大勢の人が集まった会であったが、遠くの席に座っていらっしゃる先生の姿をすぐに見つけることができた。お元気な様子にとても嬉しく思うとともに、変わらぬ佇まいに何かほっとし、優しい空気に包まれたような感覚になった。
 先生との出会いは、もう半世紀を優に超えるほど前のことになる。4年生になり、クラス替えの発表のために集められた講堂で、白いブラウスが眩しい先生が目に留まった。その瞬間、「あの先生が担任だったらいいのに。」と淡い希望を抱いた。発表された学級担任は、私の願いどおりその先生だった。思わず、拍手をしそうになるほど嬉しかった。小学生時代に教えていただいた、教師になったばかりの先生だった。もちろん、その当時は教師になったばかりなどと知る由もなく、後で知ったことだったが、胸元にリボン結びの付いた白いブラウス姿の印象とともに始まった、私の忘れられない思い出がある。
 ある日、下校した後、忘れ物に気付き、学校に取りに行った時のことだった。教室の前の戸を開けようとすると、中から先生の歌声が聞こえてきた。澄み切った美しい声だった。「先生が歌っている。」不思議な感覚で、しばらくその場から動けずにいた。歌が終わり、私が戸を開けた時の、先生の驚いたような、そして、少し恥ずかしそうな顔は、今も記憶にある。
 クラブ活動の時間だった。私は、科学クラブに入った。もちろん先生が担当していたからだ。その時間になると、先生は颯爽と白衣に身を包んだ。顕微鏡やビーカーを扱う姿は、とてもかっこよかった。夏休みの自由研究に、「オカダンゴムシの研究」を勧められた。先生とダンゴムシの似ても似つかぬイメージの違いに戸惑った。
 2年間、学級担任をしていただいた先生は、結婚をされて学校を去ることになった。それを知った時、私は布団の中で泣いた。その後、年賀状を欠かさず出し、返事もいただいた。手書きされた先生の文字を見るのが好きで、記された言葉も胸に刻んで生きた。
 私は、先生の影響を受け、教師を目指して大学に進んだ。そこで、先輩の卒業論文を整理していて、
その中に先生の名前を見つけた。時を隔てて、同じ学び舎の同じ研究室に居る縁に心を動かされ、手紙を
書いた。
 教師になり、幾度か先生にお会いする機会に恵まれた。歳月を重ねても、子どもの頃に抱いた先生への憧れにも似た想いは、今も少しも色あせてはいない。
 先日の会の後で、先生に声をおかけしなければと思いつつ、他の人との挨拶に気を取られていた私に、先に言葉をかけていただいた。直立不動する私に、「くれぐれも、健康に気を付けてね。」とあの時と同じように、優しく諭してくれた。
 私も、先生のように、子ども時代に抱いた師の姿を裏切らないような生き方をしたいと、私を導いていただいた恩師のためにも、そして、自分の教え子のためにも、心に誓っている。教師というものは、そうあらねばならないし、そうあると信じている。

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