平成29年6月
更新日:2018年3月1日
教育長ひと言
教育長が、教育に関する想いを「この月に想う」と題して綴ったコラムです。
「六月に想う」 運動会、「抜かず、離れず」で高まる意欲
五月から六月の時季には、保護者の皆様はもちろんのこと、地域の方々も大勢参加しての運動会が開催され、週末になると市内の多くの学校や幼稚園から子どもたちの元気な歓声が聞こえてきていました。
運動会に向けては、学習の成果の発表でもある表現種目に、練習時間の多くを使いますが、学校では、表現の動きのすべてを教員が創るのではなく、何か所かを子どもたちに任せ、子どもが学習経験などから創り出した動きを取り上げて構成しています。そうすることで、練習が子どもたちにとって自らのものになり、より意欲を持って取り組むようになります。
しかし、残念ながら、その意欲は、いつも右肩上がりではありません。練習の過程では必ずスランプの時期が訪れます。この時期の子どもの対応について、私には苦い経験があります。それは、子どもの意欲が停滞しているのにもかかわらず、本番間近の自分の焦りもあり、指導というより、指示ばかりに熱が入り、さらなる意欲の低下を招いたことです。そうしたことから教員には、子どもたちよりは熱くならず、常に、当初に抱いた子どもたちに任そう、子どもの状態に寄り添おうという気持ちをもって指導するよう話していました。
リレーもまた、運動会では大いに盛り上がり、走る人も、応援する人も、会場全体が一つになる種目です。教員も、リレーチームを作り、子どもたちと一緒に走ったことがありました。その教員チームには大切な使命があります。中学生にもなるとなかなか難しいですが、ゴールが子どもたちと優劣がつかないぐらいに、僅差となるように入念な準備が求められるのです。だからといって、スピードを調節しながら走るのではなく、全力で走った結果がわずかな差となるようにし、リレーを盛り上げ、子どもに達成感を味わわせ、次へのさらなる意欲を高めるのです。
そのために、予行演習等でのゴールの様子から計算してスタート位置をずらしたり、子どもの走路より外側のコースを走る方法を工夫します。こうしておいて僅差で負けるか、勝利するかはその時次第でしょうが、いくら教員が無我夢中になっても、子どものほんの少し後ろを、子どもの背中を見ながら走ることこそが、大事だと思ってリレーを見ていました。
子どもたちが意欲をもって運動などに挑戦している時、徐々に、周囲にいる親や教員など大人が夢中になってくることがあります。時には、その夢中さが、子どもの意欲を追い越してしまうことさえあります。しかし、いくら意欲をもって挑戦していても、その成長の過程ではスランプや成果が上がらない試練の時期が誰にでも来ます。そうした時に、熱くなっている大人が叱咤激励してしまうことで、子どもは大人のためにやっているようにさえ感じ、意欲をなくしてしまうことがよくあります。
どのような時にでも、リレーの教員チームのように、ほんの僅かな後ろを、そして、ちょっぴりの冷静さをもって、子どもを視野に、子どもの意欲の度合いに沿ったサポートをすることが大切です。
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