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平成30年1月

更新日:2018年3月1日

教育長ひと言

教育長が、教育に関する想いを「この月に想う」と題して綴ったコラムです。

「一月に想う」異なることから学ぶことが成長につながる

 新しい年を迎え、私は、今年こそは、この世の中を生きるすべての人たちが、偏見や差別を受けることなく、互いに認め合い、尊重し合いながら生活していくこと、そして、だれもが孤独になることなく、思いやりをもち、寄り添い合いながら生きていく社会になることを心から願いました。
 このことについて、私は、かつて自分の心の未熟さを感じる出来事があり、それを県教育委員会事務局東部教育事務所が発行していた事務所便りの平成20年2月7日号に綴りました。
『とても嬉しいことがあった。通勤の途中によく見かける名前も知らない中学生の笑顔を、今朝、初めて見ることができた。
 彼女を最初に見かけたのは、梅雨時の朝だった。歩行が大変困難そうな状態で、汗をかきながら、懸命に歩いていた。大きく左右に揺れる傘は、彼女の体半分を濡らしてしまっていたが、そんなことには構わず歩いていた。暑い陽射しが照りつける夏も、爽やかな風の秋も、そして凍えそうな冬も、顔を赤らめながら、黙々と学校への道を歩んでいた。他の生徒に先を越されても、特別製のように見える靴を履いて懸命に歩いていた。私は、車から、ただ見つめるだけだったが、いつも独りのその姿がとても気になり、いつのころからか、朝、その辺りを通るたびに彼女を探すようにさえなっていた。
 そんな彼女が、きっと同級生だと思うが、長い髪を二つにくくった女生徒と、今朝は、楽しそうに言葉をかけ合いながら、笑顔でいつもの道を学校に向かって歩いていたのである。額に汗しながら懸命に歩く姿は一緒だったけれども、少し照れたようなかわいい笑顔は初めてだった。どうした訳かは知る由もなかったが、「よかった」と私の心が微笑んだ。
 その時、ふと、自分はもし、彼女の近くにいる者であったら、私のいつもと同じように見つめるだけだっただろうかと思った。かわいそうにと手を貸したり、慰めの言葉をかけたりしたのではないだろうか。もっと近い者だったら、いつも送っているのではないだろうかと・・・。それとも、今朝、一緒に歩いていた女生徒のように、さり気なく歩みを合わせながら、対等な心で接することができただろうかと自分に問うてみたが、いい答えは返ってこなかった。(後略)』
今、市役所にある私の机の傍に、第36回全国中学生人権作文コンテストで受賞された太田中学校の藤村勇斗さんが書いた「パン一つ買えない日本」と題する作文を、いつも目にできるよう掲示しています。私の心への戒めです。かつて出会った彼女らと、同世代の中学生が書いた人権作文に強く教えられたのです。
 藤村君は、作文の中で「一人一人がもう少し心に1センチでもいい、異なるものを受け入れるすき間をつくってほしい。・・・認め受け入れる広い心が一人一人にあれば、この青い空の下もっと多くの笑顔と笑い声が聞こえてくるはずだ。」と訴えています。10年前に出会った懸命に歩いて登校する彼女と、長い髪を二つにくくった女生徒の笑顔は、正にこの広い心が生んだ笑顔なのだろうと思いました。
 中学生の言葉に、そして行動に、応えられる大人としての振る舞いを誓った初春です。

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