平成29年4月
更新日:2018年3月1日
教育長ひと言 平成29年4月
教育長が、教育に関する想いを「この月に想う」と題して綴ったコラムです。
「四月に想う」 微笑の桜から期待の若葉へ
瞳に映る季節は、桜から、青葉、若葉となってまいりました。
今年の桜は、学校の新年度の始まりである始業式や入園式、入学式ごろに見時を迎え、新しい春を迎えた子どもたちを、微笑むように見守ってくれました。
桜、その中でもソメイヨシノは、幾本かを寄せて植えられていることが多いようですが、私が、春になると必ず訪れていたのは、以前の職場近くにあった大きな樹冠を持つ独り立つ桜でした。その根元は、わずかに土の部分を残すのみで、周りはアスファルトに固められていましたが、独り立つその桜は、それにめげることなく黒ずんだ太い幹から出たごつごつした枝に、薄桃色の可憐な花を「咲くら」と呼ぶにふさわしく無数に咲かせた、それは見事な、そして、どこか健気にも思える姿でした。
その桜を見るたびに、私はどんなに辛いこと、苦しいことがあっても、この桜のようにひたむきに、懸命に歩まなければならないと励まされていました。
子どもたちにとって、桜の花とともに迎えた新しい年度は、育ちゆく中での大きな節目の一つです。新しい学年になった子どもたちはもちろんのこと、新しい学び舎に通うことになった子どもたちみんなの、新しい生活が始まっています。
そうしたこのときに、子どもたちは、子どもたちなりに、それまでの自分を省みて、新しい希望を持っています。「私は、弟の面倒を見て、お母さんを助けたい。」、「ぼくは、家で宿題しかしなかったけど、五年生になったから先生に言われなくても自主勉強をする。」、「今年こそ、部活でレギュラーになる。」などと、それぞれの子どもが、それぞれに希望を抱いた四月を迎えています。
大人にとって、自分の子どもを見ますと、できていないことばかりが目について、過去を引きずり、どうしても注意することが多くなります。しかし、私たち大人もそうですが、子どもも「忘れたい。」、「あのことは終わりにしたい。」ことがあるのです。新しい年度を迎えた今が、その時で、子どもは子どもなりに、前を見つめて歩もうとしていると私は信じています。
せめてこの時期だけは、できていないことをとやかく詮索し、注意するより、これからに希望を抱かせ、期待に胸を膨らませて、健気に、新しい環境の中で様々な葛藤を胸に秘めつつ懸命に毎日を過ごしている子どもたちを、私たち大人がしっかりと見守り、桜のように温かい微笑をかけてほしいと願っています。
きっとそうすれば、次は、期待を寄せる瑞々しい若葉の季節がやってきます。
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