3 策定の背景

（1）国際社会における取組み
　20世紀において、人類に大きな惨禍をもたらした二度にわたる世界大戦の反省から、世界平和を希求して1945(昭和20)年10月に創設された国際連合は、1948(昭和23)年12月に人権の国際的基準として「世界人権宣言」を採択しました。
　そして、その理念を実効性のあるものとするため「国際人権規約」をはじめ多くの人権に関する条約や宣言を採択してきました。
　こうした中、1993(平成5)年、世界人権宣言45周年を契機にこれまでの人権活動の成果を検証し、現在直面している問題や今後進むべき方向を協議することを目的として、ウィーン（オーストリア）で開催された「世界人権会議」では、すべての人権が普遍的であり、人権尊重が国際的関心事であるとして、人権教育の重要性が確認されました。
　これを受けて、1994(平成6)年、第49回国連総会において、1995(平成7)年から2004(平成16)年までの10年間を｢人権教育のための国連10年｣とする決議が採択され、各国において人権教育を積極的に推進するよう行動計画が示されました。

（2）国及び県における取組み
わが国では、日本国憲法において基本的人権を尊重するとともに、国際連合が採択した国際人権諸条約に加入し、国際社会の一員として、人権尊重社会の形成に努めてきました。
「人権教育のための国連10年」に関しては、1995（平成7）年12月、「人権教育のための国連10年推進本部」が設置され、1997（平成9）年7月に国内行動計画が取りまとめられました。
　また、2000(平成12)年12月には、「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」が施行されました。この法律では、人権教育・啓発に関する国、地方公共団体及び国民の責務が明記されるとともに、人権教育・啓発に関する基本的な計画の策定が国に義務づけられ、2002（平成14）年3月、国の基本計画が策定されました。
　一方、香川県においても、1998（平成10）年3月、「香川県人権教育のための国連10年推進本部」を設置して、1999（平成11）年3月、「人権教育のための国連10年香川県行動計画」を策定しました。
　2000（平成12）年6月には、「香川県新世紀基本構想」を策定し、施策体系の一つである「ささえあい、安心して暮らせる社会」の実現のための重要な柱として、「人権が尊重される社会の構築」を位置づけています。
また、2003(平成15)年12月に「香川県人権教育・啓発に関する基本計画」を策定し、学校や職場はもとより家庭や地域のあらゆる場において実施される人権教育・啓発を通じて、人権尊重の理念を正しく理解することにより、人権が尊重される社会を構築し、すべての個人が自律した存在としてそれぞれの幸福を最大限に追求することができる平和で豊かな社会の実現をめざすことを基本理念として、人権教育・啓発を総合的かつ効果的に推進することとしています。

（3）本市における取組み
本市においては、1993(平成5)年に「人権尊重都市宣言」を行い、1995(平成7)年には「高松市人権擁護に関する条例」を制定するなど、人権尊重の都市づくりを進めてきました。
また、1999(平成11）年7月に市長を本部長とする「高松市人権教育のための国連10年推進本部｣を設置し、2000（平成12）年3月に、本市における人権教育の基本方針と施策の方向を示す「人権教育のための国連10年高松市行動指針」を策定しました。
　2000(平成12）年度にスタートした「新・高松市総合計画」では、「笑顔あふれる人にやさしいまち・高松」をめざすべき都市像として位置づけ、施策体系の一つに「心豊かな生活のための場と人づくり」を掲げ、その中で、すべての市民がお互いの人権を大切にできる社会、すなわち「基本的人権を尊重する社会の確立」を進めるため、同和問題をはじめとする人権問題に積極的に取り組んでいます。
　今後においては、国や県の人権教育・啓発に関する基本計画の積極的な推進を図るとともに、本市の基本指針に沿い、総合的かつ積極的に対応することとしています。
4 さまざまな人権を取り巻く現状と課題への対応へ