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令和8年6月

更新日:2026年5月29日

音楽の力

 バラの花が美しい季節になりました。今年は5月初旬に自宅の庭に新たに紫式部という名称のバラを植えました。少しずつ花が咲き始め、最近では毎朝出勤前に、うす紫色の可憐な花を見るのが楽しみになっています。
   
 さて、今年も5月18日(月曜日)から学校訪問が始まりました。幼稚園・こども園2園、小学校49校(分校2校)、中学校24校(分校2校)、高松第一高校の合計76の園、学校を訪問しますが、毎回、子どもたちがどのような表情で学校生活を送っているのか、どのような教育活動が展開されているのか、楽しみにして各園や学校を訪れています。
   
   

 初日に訪れた中学校の渡り廊下を歩いていると、静寂の中、ふと遠くの音楽室から、この時期の訪問でよく耳にするメロディーが流れてきました。

 ♪ 夏が来れば思い出す はるかな尾瀬 とおい空

 霧のなかに うかびくる やさしい影 野の小路 水芭蕉の花が・・・♪

そうです。「夏の思い出」です。なんと美しい日本語、滑らかなメロディー、きれいな歌声でしょう。音楽室の中を覗いてみると、歌唱の実技テスト中でした。周囲の同じクラスの生徒たちも、友だちの歌声に耳を傾けながら静かに学習を進めていました。

 そのあと訪れた小学校では、音楽専科の先生が、リズムや旋律に合わせてリコーダーやピアノ、オルガンや木琴などの合奏の授業をされていました。どの子も真剣な表情で演奏しています。そして、その日最後に訪れた幼稚園では、幼児が「できるかな?」という明るい曲に合わせて、ペンギンやゴリラ、キリンなど、いろいろな動物になりきって踊るという表現あそびをしていて、みんな元気いっぱいです。

 
 音楽の時間の子どもたちは、明るく、いい顔で授業に臨んでいます。こうした時間は、心満たされる時間なのかもしれません。その背景には、音楽の専門性を持った指導者の工夫があり、つくづく「音楽の力」について考えさせられた一日でした。

    
    
 高等学校に話題を移しますと、市立の高松第一高等学校には音楽科があり、毎年の卒業式で流れる音楽は、すべて代表生徒による生演奏で、その演奏が式を盛り上げ、心揺さぶられます。また、式の最後には記念演奏があり、今年は吹奏楽部が「カンタベリー・コラール」の演奏を、また合唱部が「輝け、彼方へ」の男声合唱を卒業生へのはなむけとして披露してくれました。参列していた卒業生、在校生はもとより、来賓の方々、保護者の方々も大絶賛でした。

   
   
 その後3月20日に、第43期音楽科の卒業生有志の皆さんが開催した「Brillante 20歳記念演奏会」に参加させていただきました。高校卒業の後、進路は様々ですが、現在東京芸術大学でプロを目指して学んでいる卒業生、音楽の教員や指導者を目指して音楽大学で学んでいたり、また、音楽を専攻してはいないけれど、いつも生活の中に音楽があり、ずっと自分の専門の楽器や歌唱に触れている卒業生、一人ひとりのすばらしい演奏から、若さと希望、夢が伝わってきました。そして、当日演奏はしないけれど旧友の演奏のために、裏方で準備をしてくれている同級生の姿も印象的でした。

 演奏会の最後にクラスみんなで合唱した「群青」という曲は、東日本大震災によって離れ離れになった生徒たちを思い、当時の音楽の先生と生徒たちが作り上げたという曲でした。私は初めて聴いた曲でしたが、歌声を聴きながら涙が出てきました。

 

♪ ああ あの街で 生まれて 君と出会い  

たくさんの想い抱いて 一緒に時をすごしたね

 今 旅立つ日 見える景色は違っても

遠い場所で 君も同じ空 きっと見上げてるはず・・・(略)

 あれから2年の日が 僕らの中を過ぎて

 3月の風に吹かれ 君を今でも想う・・・(略)

 きっとまた会おう あの街で会おう

 僕らの約束は 消えはしない 

群青の絆 また会おう 群青の街で ♪

 後日、この43期の皆さんは、高校時代の卒業記念演奏会で、この「群青」を合唱していたことを知りました。歌詞のとおり、卒業後2年の月日を経て、歩んでいる道は一人ひとり違っているけれども、こうして再びふるさとの街、高松に戻ってきて、お互いの友情を確かめ合えたことでしょう。

 

 
 そんな音楽の魅力について考えていると、先日、四国新聞で、国立療養所大島青松園の入所者である東條高さん(95歳)についての記事を目にしました。東條さんの伸びやかな歌声は、私も2024年のスマイルフェスティバル in Takamatsuで、お聴きしたことがあります。16歳の時に大島青松園に入所された東條さん。新聞に掲載されていた、「音楽があったから 生きてこられた」とおっしゃった重みのある言葉こそが、「音楽の力」を信じさせてくれる言葉そのものでした。

 

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