讃岐遍路道　－曼荼羅寺道　善通寺境内　根香寺道　大窪寺道－

指定区分　　国指定史跡

指定年月日　平成25年10月17日

所在地　　　高松市中山町　

解説
　四国八十八ヶ所霊場を巡る遍路道は、四国4県にまたがる空海（弘法大師）ゆかりの寺院を巡る1400キロメートルにおよぶ壮大な巡礼道で、古来より人々の往来や文化交流の舞台となり、数多くの石造物等の文化財が残されている。また、札所寺院や庵、遍路道では、地元住民が遍路に対して食べ物を提供したり、必需品を提供したりする「お接待」という行為が行われており、この「お接待」と呼ばれる心の文化も民衆が長い歴史の中で創り上げたものである。このように遍路道には物心両面にわたり、人びとによって今日まで受け継がれてきた巡礼に関する文化財や習俗が残っている。
　四国八十八ヶ所霊場を巡る遍路の始まりについては定かではないが、第80番札所国分寺本堂には永正10年（西暦1513年）の落書に「四国中辺路、同行只二人納申候」の墨書銘が残されており、遍路の歴史が中世末までさかのぼる可能性がある。
　香川県には22ヵ所の札所寺院とそれらをつなぐ約185キロメートルの遍路道があり、そのうち第71番札所弥谷寺から第72番札所曼荼羅寺間の遍路道である「曼荼羅寺道」と第81番札所白峯寺から第82番札所根香寺間の遍路道である「根香寺道」の一部の他、善通寺境内、大窪寺道が史跡指定されている。このうち「根香寺道」は高松市と坂出市にまたがる五色台にあり、歴史的な面影を残し、道沿いには道標・丁石(ちょうせき)等の石造物が残っている。道標は、主に白峯寺から根香寺の遍路道と別の札所寺院へ遍路道が分岐する場所に設置されている。丁石も道標と同様に重要な構成要素で、白峯寺から根香寺間の遍路道沿いに約109メートル間隔で50基設置されていたようで、現在も41基が確認できる。
　承応2年（西暦1653年）の澄禅(ちょうぜん)による『四国遍路日記』には「白峰ヨリ五拾町往テ根香寺ニ至ル」、貞享4年（西暦1687年）の真念(しんねん)による『四国遍路道指南(みちしるべ)』には「これより根香寺まで五十町。」とあり、現在の丁数と合致しており、少なくとも江戸時代前期には現在の遍路道が使われていたことがうかがえる。
　以上のように、讃岐遍路道－根香寺道－は歴史的な面影を色濃く残し、江戸時代前期までさかのぼることが確認でき、歴史的価値が十分ある。