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令和3年11月

更新日:2021年11月12日

教育長ひと言

教育長が、教育に関する想いを「この月に想う」と題して綴ったコラムです。

「十一月に想う」 すべての「うちの王様」に幸あれ

 ある日の新聞に載った「うちの王様」と題する子どもの写真を見ると、どの子も、愛情一杯に大切に育てられ、子どもとの時間が、家族みんなを幸せにしてくれていることが分かる。
 しかし、新聞で再び見た「うちの王様」に負けないほどの、あどけない男の子は、親によって命を絶たれた。今年の8月の終わりに、大阪府で3歳の男の子が、同居の男性に虐待を受けて死亡したという報道があったが、その写真は、それから2か月近く経って、母親も逮捕されたという記事にあり、再び多くの人の涙を、無念さを誘った。
 3歳というと、何をしても可愛い年頃ではないか。無邪気な笑みを浮かべた写真を見て、目頭を押さえた。この子が受けた虐待は、言葉にするのもためらう残忍なものであった。母親の行為も、母親とは思えないほど残酷なものであったという。子どものSOSが誰にも届かず、このような結末になったことが、そして、同様な事件が、何度も何度も繰り返されていることが悔しい。
 私はこれまで、何件かの児童虐待の事案に出会った。体に残る傷からは、叩かれたものであると容易に分かるのだが、どの件も、子どもは、親にされたと自ら言うことは決してなかった。ある小学2年生は、叩かれただろう指の跡が赤く腫れて残る頬を、何度聞いても「堅い所で寝ていてなった。」と言う。しかし、親に連絡して様子を聞くと、「言うこと聞かんので私が叩いた。」と話した。小学1年生が、額に傷して登校してきた件でも、「弟と喧嘩をしてなった。」と説明したが、父親が殴り、家具で額を打ち付けたものだった。6、7歳の子どもが、健気に、親をかばうのである。どの件も、通報し、関係機関を含めて保護者と面談をすると、「この程度のことで」とか、「躾でやったことまで、こんなに大げさにして」と言われた。
 また、ある子は、いつもお腹を空かせていた。汗の臭いのする汚れたシャツとズボンに中底のラベルが分からないほど黒くなった靴を素足のまま履いていた。朝、担任が起こしに行き、やっとのことで登校していた。給食以外には、満足に食事をしていない状況であったから、学習に打ち込めるはずなどなかった。保護者に何度か会い、生活の改善をお願いしたが、返事だけで実行されずにいた。子どもに、「お母さんに、何か食べる物を買っておいて。」とお願いするように伝えると、「お母さんは忙しいから。」とうつむくだけだった。
 夏休みに、「一時預かり」をすることになった施設を訪れて驚いた。顔の生気と言葉の力、目の輝きが、まるで違っていた。共に生活をする子たちと、施設の長い廊下の雑巾がけをしていたが、だれよりも早く拭けるのだと言って、見せてくれた。そして、帰りがけに、「ぼく大丈夫やから。」と一言つぶやいた顔には、これからの困難に打ち勝とうとする意志が見えて、思わず抱きしめた。
 子どもは、子どもなりに身なりや自分の生活に欠けているものが気にはなるが、けっしてそれを親のせいにはしない。その懸命に努めるさまに応えるために、食事と、風呂、そして、洗いざらしでいいので洗濯をした服と温かい寝床さえあれば、子どもは子どもらしく育つのだが、私は無理なことを願っているのだろうか。
 今月は、「児童虐待防止推進」月間である。全国の児童相談所における令和2年度の児童虐待に関する相談対応件数は、前年度より1万件以上増え、約20万5千件であった。親を信じ、涙し、命を落とす危機にあるすべての子どもを救いたい。子どもはみんな「うちの王様」だから。

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