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2025年度 コレクション展4

〔常設展示室1〕未来をひらく「美術」-戦後香川と高松市美術館

コレクション展


猪熊 弦一郎《緑陰》 1946年 ⓒ公益財団法人ミモカ美術振興財団

 近年香川は、優れた近現代建築や個性的な美術館の数々、そして昨年6回目の開催を迎えた瀬戸内国際芸術祭など、この地に息づく多彩なアートの資源により、多くの人々を魅了してきました。
 このような香川におけるアートの隆盛の源流の一つに、1949年の旧・高松美術館(現・高松市美術館)の開館があります。終戦の翌年、戦争から復員し高松に戻った漆芸家・明石 朴景(あかし ぼっけい)(1911-1992)は、焼け野原の中に栗林公園のみが森として残された光景に驚かされ、その時に美術館建設を決意したことを契機として、美術館建設プロジェクトが始まりました。明石のほかに、戦中に故郷高松へ疎開した彫金家・北原 千鹿(きたはら せんろく)(1887-1951)や、復員した作家たちを救済するために大同工芸美術社を設立した漆芸家・磯井 如真(いそい じょしん)(1883-1964)らを中心とする地元作家たちにより、日本画、洋画、工芸、彫刻、書道の5部門からなる「香川県美術会」が美術館建設への協力を企図し、結成されました。そのほか、作家たちの願いに共鳴した市議会議員の奔走などにより、1949年11月3日、高松美術館は名勝・栗林公園の敷地内に戦後最初期の公立美術館として開館することとなりました。建築は、当時在京の画家・猪熊 弦一郎(いのくま げんいちろう)(1902-1993)の紹介により、モダニズム建築の名手である建築家・山口 文象(やまぐち ぶんぞう)(1902-1978)が手掛け、直線を基調に構成された白くモダンなその建物は、新鮮な魅力をたたえたものでした。
 本展では、戦前渡欧した猪熊 弦一郎、柏原 覚太郎(かしわばら かくたろう)(1901-1977)らの戦後の活動や、明石 朴景らによる戦後の工芸運動等を中心に紹介するとともに、2025年に急逝した香川にも縁深い映像作家・大木 裕之(おおき ひろゆき)(1964-2025)が東京・香川・中国などで撮影した《木(ム)120311》(2003-2011年)も併せて特別上映します。14作家による34点の作品や資料の紹介を通して、戦後香川のアートシーンと高松市美術館の(つな)がりを振り返ります。

〔常設展示室2〕讃岐漆芸の美


玉楮 象谷《堆朱 御篳篥筥》1851年 撮影:高橋 章

 讃岐漆芸が、香川県の代表的な伝統産業に発展したのは、江戸末期に登場した(たま)(かじ) (ぞう)(こく)(1806-1869)の功績によるものです。象谷の作風は、極めて多彩で、中国伝来の存清、彫漆、南方渡来の籃胎蒟醤(らんたいきんま)などの影響を受けながら、独自の漆工技法を完成させました。これらの「蒟醤・存清・彫漆」は今日では「香川漆器の三技法」と呼ばれています。
 象谷の死後、弟の藤川 黒斎(ふじかわ こくさい)(1808-1885)が技法を受け継ぎ、全国に蒟醤・存清漆器を紹介しました。しかし、漆器産業の一部で、粗製濫造によって信用を落とし、明治末期には存清や蒟醤は次第にその姿を消してしまいました。それに代わり産業の主流となったのは、木彫に色漆を施す讃岐彫りであり、これらを商う店「百花園(ひゃっかえん)」とその周辺からは石井 磬堂(いしい けいどう)(1877-1944)、鎌田 稼堂(かまだ かどう)(1896-1957)など彫りの名手が輩出され、優品を残しました。
 さらに、1927(昭和2)年帝展に工芸部が設置されると、磯井 如真(いそい じょしん)(1883-1964)や音丸 耕堂(おとまる こうどう)(1898-1997)は、卓抜した意匠と造形で近代感覚あふれる作品を発表しました。如真は、象谷や黒斎などの作品を通じて研鑽し、1913(大正2)年、印刷物にヒントを得た点彫り蒟醤を創案しました。東京へ転出した音丸 耕堂は、昭和初期に開発されたレーキ顔料を用いた中間色や鮮明な色漆を使って豊富な色彩表現を可能としました。
 1955(昭和30)年に重要無形文化財制度が制定され、重要無形文化財保持者、いわゆる人間国宝が誕生しますが、彫漆では音丸 耕堂が、翌年には蒟醤で磯井 如真が認定されています。その後、磯井 正美(いそい まさみ)(1926-2023)、太田 儔(おおた ひとし)(1931-2019)、山下 義人(やました よしと)(1951-)、大谷 早人(おおたに はやと)(1954-)が、蒟醤の豊かな色彩表現と多彩な表現領域を確立したことにより、重要無形文化財に認定されています。また、存清では、1962(昭和37)年に香川 宗石が香川県指定無形文化財保持者に指定されています。
 本展では、讃岐漆芸の祖である玉楮象谷や石井 磬堂などの彫りの名手や、人間国宝による作品他33点の漆芸作品を通じて、讃岐漆芸の魅力を探ります。

展覧会基本情報

会期:
2026年1月6日(火曜日)~2026年3月29日(日曜日)
※常設展示室1は3月14日(土曜日)から29日(日曜日)は「第43回日本伝統漆芸展」を開催。

会場:
1階常設展示室

休館日:
月曜日(ただし、1月12日(月曜日・祝日)・2月23日(月曜日・祝日)開館、1月13日(火曜日)・2月24日(火曜日)休館)
※3月12日(木曜日)、3月13日(金曜日)は展示替えのため休室。

開館時間
午前9時30分~午後5時
(ただし、特別展開催期間中の金曜日・土曜日(1月31日~3月29日)は、午後7時まで)

主催:
高松市美術館

観覧料:
【一般】200円(160円) 
【大学生】150円(120円)
【65歳以上・高校生以下】無料
※( )内は20名以上の団体料金。
※身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳所持者(または障害者手帳アプリ「ミライロID」提示)は入場無料
高松市キャンパスメンバーズ制度加盟大学等の学生証所持者は無料
※共通定期観覧券についてはこちらから

お問い合わせ先:
高松市美術館
電話:087-823-1711

関連イベント

ギャラリートーク

開催日時:
2026年2月7日(土曜日)午後2時~

会場:
1階常設展示室

聴講料:
無料(ただし観覧券は必要です)

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電話:087-823-1711 ファックス:087-851-7250
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