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2026年度 コレクション展3

コレクション展

〔常設展示室1〕都市と自然

風間サチコ《バベル》2019年
撮影:森田 兼次

平子雄一《Lost in Thought 246》2026年
ⒸYuichi Hirako

 昨年度に作品が収蔵された平子 雄一(1982年生)は、観葉植物や街路樹、公園に植えられた植物など、人によってコントロールされた植物まで「自然」と呼んでいることへの違和感をきっかけに、現代社会における自然と人間との境界線を、作品制作を通して追究している美術家です。今回の第3期コレクション展では、平子の違和感を糸口に、私たちが広義に使う「自然」と「都市」というワードを両軸とし、自然と人間との境界線を見つめていきます。

 現代都市を象徴するひとつ、マンションの完成予想広告に感じた不気味さを作品にした風間サチコ(1972年生)。その木版画には、崩壊を予見しても天空を目指し続ける創世記の〈バベルの塔〉の物語が重ねられます。また、切り立った崖の上に建てられた中世の要塞都市カルカータ(イタリア)をモチーフにした篠田守男(1931-2026年)の抽象彫刻では一切の「自然」が排除され、緊張感と堅牢さが湛えられています。
 蟻という「自然」が国境間を自由に移動し国旗の姿が変容していくことで「個人と国家」の問題を提示した柳(ゆき)(のり)(1959年生)、木材を原料とする日用品トイレットペーパーの芯を用い、清楚な装いの森を再生させつつ資本主義社会を批評する照屋勇賢(1973年生)の他、早くから環境問題を憂い、私たち人間も自然に帰り、自然を手本にしてもともとの自分を取り戻すことが大切だと訴え続けたフリーデンスライヒ・フンデルトワッサー(1928-2000年)など、それぞれの表現には「都市」に生きる私たち現代人に突き付けられた課題が様々に見えてきます。
 また、戸外で油彩画を制作する際、描く対象の周りにテントを設置し、時間をかけて丹念に描き出す本田(たけし)(1958年生)や狩猟に随伴した経験から鹿の骨や角を素材に植物の姿を彫りおこす橋本 雅也(1978年生)からは、境界線に身を置いた現代人の「自然」や「命」とのある種の向き合い方が感じられます。
 15人の美術家による作品16点の展示によって、自らも自然の一員であるはずの私たち人間がより良い未来に近づくための手がかりを見つけることになれば幸いです。
 また、逝去された草間 彌生氏(1929-2026年)を追悼し、同氏の作品を特別展示します。

〔常設展示室2〕文字をしたためる―文箱、硯箱、色紙箱など

磯井如真《彫漆 合唱之圖 硯箱》1954年 
撮影:高橋章

辻照二《乾漆彩色蒔絵短冊箱》1993年
撮影:高橋章

 中国で前漢時代(紀元前202-後8年)に発明された紙は、推古天皇時代の610年に高句麗の僧・(どん)(ちょう)によって日本に渡来しました。大変貴重な紙には和歌、物語、手紙など文字がしたためられ、用途に応じて様々に装飾を施した箱に収められました。また紙とともに、(すずり)、墨、筆は「文房四宝」として大切にされてきました。
 この度のコレクション展3では、古来、文房具が収められた箱の形に注目し、それらを<文庫・料紙箱・文箱>、<硯箱>、<筆箱>、<色紙箱>、<短冊箱>といった5つのジャンルに分けて紹介します。
 <文庫・料紙箱・文箱>では、讃岐漆芸の祖・(たま)(かじ)(ぞう)(こく)(1806-69年)の三男である玉楮 雪堂(1837-99年)の、明治期の典型的な特産品であった《蒟醤文庫》に始まり、「(ちょう)(しつ)」で初の重要無形文化財保持者に認定された音丸 耕堂(1898-1997年)の重厚な《彫漆双鯰之圖料紙箱》などと書籍や料紙、書状を入れておく多彩な箱を展示します。<硯箱>と<筆箱>では、「蒟醤(きんま)」で重要無形文化財保持者となった磯井 如真(1883-1964年)の筆箱と、その義娘で弟子でもあった太田 加津子(1934年生)の硯箱に共通するモチーフ「アカシヤ」の可憐さに心惹かれることでしょう。また色紙を収める平たい箱<色紙箱>では、象谷が編み出した讃岐漆芸の三技法の一つ「(ぞん)(せい)」を使った香川 宗石(1891-1976年)の華麗な作品や、竹を網代に組んだ素地「(らん)(たい)」を現代に蘇らせた太田 儔(1931-2019年)の仕事などが際立っています。短冊を収める長方形の箱<短冊箱>では、「(つい)(しつ)」「乾漆(かんしつ)」「蒔絵(まきえ)」といった技法を駆使した讃岐漆芸の豊かな表現をご覧いただけます。
 19名の漆芸家による30点の文箱や色紙箱などの作品を通して、現代に至る約100年間の文字にまつわる箱のバリエーションをお楽しみください。

展覧会基本情報

会期:
2026年9月30日(水曜日)~2026年12月27日(日曜日)

会場:
1階常設展示室

休館日:
月曜日(ただし、10月12日(月曜日・祝日)・11月23日(月曜日・祝日)は開館、10月13日(火曜日)・11月24日(火曜日)休館)

開館時間
午前9時30分~午後5時
(ただし、特別展開催期間中の金曜日・土曜日(10月10日~11月29日)は、午後7時まで)

主催:
高松市美術館

観覧料:
【一般】200円(160円) 
【大学生】150円(120円)
【65歳以上・高校生以下】無料
※( )内は20名以上の団体料金。
※2026年12月3日(木曜日)「香川県民の日」は無料
※身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳所持者(または障害者手帳アプリ「ミライロID」提示)は入場無料
高松市キャンパスメンバーズ制度加盟大学等の学生証所持者は無料
※共通定期観覧券についてはこちらから
 
お問合せ先:
高松市美術館
電話:087-823-1711

関連イベント

ギャラリートーク

開催日時:
2026年10月3日(土曜日)午後2時~

会場:
1階常設展示室

聴講料:
無料(ただし観覧券は必要です)

おしゃべり鑑賞会(子ども参加も可) 

内容:
おしゃべりしながら、作品をじっくり見て楽しみます。

開催日時:
2026年10月17日(土曜日)、11月14日(土曜日)、12月12日(土曜日)、12月19日(土曜日)各日午後1時30分~(約40分程度) 
※ただし、11月14日(土曜日)のみ午後3時30分~

会場:
1階常設展示室

参加費:
無料(ただし観覧券は必要です)※予約不要

おとなのためのアートで遊ぼう!

内容:
カードゲームなどしながら「見る・考える・話す・聞く」を楽しみます。

開催日時:
2026年11月28日(土曜日)
午後1時30分~(約90分程度) 

会場:
1階常設展示室 ほか

参加費:
無料(ただし、観覧券は必要です。)※事前申込制(電話にて)

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