旅の風景II展
高松市塩江美術館平成25年度第1期常設展
塩江美術館では、「旅」をテーマとし、香川町出身の画家・伊東義久(1917~2003)と塩江町出身の洋画家・熊野俊一(1908~2005年)の作品展を開催しています。
水彩画家の伊東義久は、香川郡香川町浅野(現高松市)生まれ。早稲田大学商学部を卒業後、帝国銀行、第一銀行、第一勧業銀行に勤務しました。また、大手商社での代表取締役社長や相談役などの重役を退職した後、ドイツの文豪ヘルマン・ヘッセを敬愛しながら絵画の制作活動を始めました。そして、1999年に出版された『ヘッセのように描く水彩画』では「自分に忠実に、素直な気持ちで描く郷愁の風景」と題した画集を発表します。この画集では、全国各地の懐かしい日本の風景が透明感のある水彩画で描かれています。晩年は、東京都保谷市で過ごし、四季折々の風景画を描き続けた画家として親しまれています。
塩江町出身の熊野俊一は、東京に在住し、生涯に12回の渡欧・滞在を重ねてヨーロッパで制作を重ねた画家です。太平洋戦争時下の1943年には、画家の荻須高徳や岡田謙三の勧めにより、日本にはない風景を求めて従軍画家として満州に渡ります。満州熱河地方で、その透明な空気の中で見る風景に心を奪われ、夢中で筆を走らせました。その後、55歳となる1963年に初めての渡欧を果たし、ヨーロッパの乾いた空気の中に溢れる色彩を発見します。なかでも、ルノワールやマティスなど多くの画家が訪れた南仏のカーニュ=シュル=メールでは、住民の温かさに触れ、その地の光の下に映える鮮やかな色を自らの理想と考え、長く滞在して数多くの作品を遺しました。
開催期間: 平成25年4月26日(金曜日)~8月25日(日曜日)
開催場所: 塩江美術館常設展示室
開館時間: 午前9時~午後5時(入館は午後4時半まで)
入館料: 一般300円、大学生150円
(企画展観覧料含む/団体は20名以上2割引)
高校生以下、65才以上の方(長寿手帳等が必要)、障害者手帳等の所持者は無料
休館日: 月曜日(ただし、休日と重なる場合はその翌日)
主催: 高松市塩江美術館
