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令和2年2月

更新日:2018年3月1日

教育長ひと言

教育長が、教育に関する想いを「この月に想う」と題して綴ったコラムです。

「二月に想う」 学ぶ過程に喜びがあることを教えてくれたわが恩師

 今年の成人式でも、成人の皆さんの中学時代や高校時代の恩師が、ビデオレターを通して出演してくださり、エールを送ってくれました。式の後半に登場した高校の恩師の皆さんのメッセージを見ていて、もう半世紀近く前になりますが、自分の高校時代に地理を教えていただいた、素敵な笑顔の裏に、深い考えを持った先生の授業を思い出しました。
 それは、高校に入学してすぐに受けた、それまでに経験したことのない授業でした。教科書では、世界の各地域の気候や産業などを、順を追って学ぶように構成されていましたが、先生の指導は、学級をいくつかのグループに分け、世界各地の地域を選択させて調べ学習をして、そのすべてを一冊の本にまとめ、後は自主学習を行うというものでした。私は、日本からの移民の多い南アメリカを選択しました。長い時間をかけて、自分たちであれこれ調べていく学習は、見知らぬ地に置きざりにされたようで戸惑いました。
 まず、一般的な方法である図書館へ行き、参考となる本を借りました。それを読み、グループで相談して農業に関する課題を設定し、その解決にヒントとなることを探し、手当たり次第に書き写しました。そんな私たちに先生は、「おもろないなあ、現地の人々の気持ちが、全く伝わってこんなあ。」と、私たちの愚かさを面白がるように言いました。私は、むっとして、先生に、「それでは、行ってくるしかないじゃないですか。」と反論をしました。しかし、「行く暇も、金もない。じゃあどうする。」とあっさりと返され、渋々考え出した方法は、行けないのなら、行ったことのある人に聞くことでした。友達の知り合いから情報を得て、移民として現地で暮らしたことのある人を探して取材をしました。その人の話からは、思いがたくさん伝わってきて、素晴らしい内容でしたが、限られた範囲のことで、すぐに行き詰ってしまいした。
 そこでまた先生は、「逆に来ている人もいるかもしれないなあ。」と他人事のように(つぶや)いたのです。それを耳にした私たちはすぐに、日本にある南アメリカの各国の大使館に手紙を書きました。ほとんどの国から返事が返ってきました。また、現代国語の先生からは、私たちの取組を知り、ブラジルへの移民の過酷な生活を描いた第1回芥川賞受賞作品の石川達三さんの「蒼氓(そうぼう)」という本を教えていただきました。その頃になると、それまでの授業で味わったことのない自分が汗する手応えがとても心地良く、地理の授業時間だけでなく、放課後はもちろん、休日返上で仲間と報告書作成に精を出しました。みんなで調べた成果は、一冊の本にまとめられました。セピア色の表紙に、紫かかったインクで印刷された手書きの本が、今も私の本棚にあります。
 学ぶ内容ももちろん大事ですが、それを得る過程が力となるような学習を構成することも、学校での授業だからこそ大切にして考えておかなければならないことです。「学ぶ」とは、課題に直面した時に、どのような方法で立ち向かうかといったストラテジーを身に付けることが重要な要素であり、それを駆使しながら、感じ、思い、考え、知識や技能を得る過程であり、そこに喜びがあることを先生は教えてくれたのです。

 ※ストラテジーとは、ある目的を達成するために、総合的に進められる計画や運用方法

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