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教育長ひと言

教育長が、教育に関する想いを「この月に想う」と題して綴ったコラムです。

「 三月に想う」   キャリア教育って何だろう

   
市内の保育所、幼稚園、こども園、小・中学校では、卒業(園)式に向けて準備が始まっていることと思います。卒業式は1年間で最も大きな学校(園)行事の一つで、学び舎を巣立っていく卒業生にとって、思い出に残る感動的な式となるよう、各校(園)で趣向を凝らした内容を考え、練習を重ねていることでしょう。


 さて今月は、皆様も最近よく耳にされるキャリア教育について書かせていただきます。キャリア教育という言葉が最初に言われるようになったのは、1999年ごろで、1990年代後半に、バブル崩壊後、フリーターやニートと呼ばれる若者が急増し、働く目的意識の希薄化が社会問題化したことを受け始まったと言われています。文部科学省ではキャリア教育を、子どもが将来社会の一員として自立し、自分らしい生き方や働き方を実現するために必要な能力や態度を発達段階に応じて育成する教育活動全般としています。

   
        
 小学校では、様々な職業を知るために地域の方々等にインタビューをしたり、中学2年生では職場体験学習を実施したりしているのもキャリア教育の一環です。これらの取組は、市内の数多くの事業所の方々のご協力をいただき、実施できているものです。また、小・中・高等学校の12年間において、自分の成長の足跡をふり返りながら現在の自分自身を見つめ、自分の将来や就きたい仕事、生き方を考えるきっかけとなるよう自らの学習や体験などを記録する「キャリアパスポート」を、どの学校でも活用しています。年間の学校行事で心に残った出来事や友達との交流を記録することで、自分の足跡を残す活動を行っています。中学校や高等学校を卒業する際に、自分のキャリアパスポートを見て、小学校の頃からの体験や考え方の移り変わり、成長など、何か感じることもあるでしょう。

     
 では、大学ではどうでしょう。以前、香川大学のキャリア教育の一環で、様々な職業人を招いて年間数回講話を聴くという授業があり、依頼を受け、数年間講話を担当したことがあります。経済、法学、教育、創造工学部など全ての学部の200人余りの1・2年生の学生が受講している中、たまたまその年は、ちょうど医学部の学生が70人前後で最も多く居たので、このような話をしたことを覚えています。

 『医学部の皆さん、あなたは将来何になりたいですか?・・・「この人、何言ってるの?自分は当たり前に医者ですよ。」と思った方、たくさん居ますよね。では、あなたは、どんな医者になりたいのですか?・・・内科?小児科?外科?そのようなことだけを言っているのではありません。例えば、大学病院の医者?開業医?へき地の孤島の小さな診療所の医者?世界の命の危機に直面している人々を救う国境なき医師団の医者?それとも山中教授のように医学分野の研究を極める医者?どうですか?』

 このような投げかけをすると、学生は頭を抱え始めました。「どのような医者?」と言われても・・・。『そうですよね。「まだ1・2年生だから専門の勉強を頑張らないと。」と思っている方がほとんどでしょうが、もちろん大学時代に専門性を身に付けることは第一です。ただ、授業で学ぶことに加え、学生生活では、たくさんの人と出会って、できるだけ様々な体験をするといいと思います。そうすると、自分が何を大切にする人間なのか、どんなことに喜びや幸せを感じたり、感動したりする人間なのか、自分の中の価値観が少しずつ分かってくるかもしれません。』

 そのあと、私が以前出会った小児科医の先生の話をしました。難しい精密検査結果を小学生の子どもにも理解できるよう、わかりやすく丁寧に笑顔で説明し、安心感を与えてくれたその先生の話を取り上げ、患者さんの立場に立ったコミュニケーションの大切さや、ひいては人間力も医者には求められるのでは・・・というお話をした記憶があります。

    
    
 偉そうに、そのような講話をした私自身も、自分のキャリアについて、ふと振り返ったことがあります。昨年、高松市美術館で開催された山下義人さんの展覧会を訪れた時の話です。


 山下さんは重要無形文化財「蒟醬」の保持者(人間国宝)であり、私のお知り合いでもあります。展覧会では、山下さんが漆芸の道を志し、これまでに丹精を込めて制作してこられた素晴らしい作品の数々が過去から現在に至るまで並べられているのを一つ一つ鑑賞しました。それぞれの作品の色合いや美しさ、技法に見とれるとともに、漆芸家として歩んで来られた足跡が、しっかりと形になって残されているのを見るにつけ、ふと「自分は教員という仕事を通して、いったい何を残せたのだろう。」という疑問が湧いてきました。そんな疑問を小声で口にした私に、隣にいらした山下さんが「いやー、先生には、たくさんの教え子たちがいるじゃないですか。目に見える形には残らなくても、彼らに、残したものがありますよ。」と言ってくださいました。しかし、それからも、私の自問自答は続いています。「果たして自分は、子どもたちに何を残せたのだろう・・・」と。

      
 学校を卒業してから、生きていく上では、多くの時間が仕事をすることに費やされます。そしてその道は、いつも穏やかでまっすぐな道ばかりではありません。むしろ、曲がりくねった、でこぼこ道のほうが多いかもしれません。今も仕事をしながら、キャリア教育というのは、本当に奥深い教育だなぁと、しみじみ感じています。

     

      

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