2020年度第3期常設展
常設展
2020年度 第3期常設展〔常設展示室1〕 不安とともに
町田久美《深夜帯》2005年
不安とはなんでしょうか。恐怖が明確な原因や対象に抱くものとされる一方で、不安は理由がはっきりと分からないものとされ、その不確かさが特徴といえるでしょう。それゆえに対策が難しくやっかいな感情です。今も私たちは新型コロナウイルス感染症に起因するさまざまな不安を世界と共有し、あらゆる場面で不安や恐怖が表面化しています。ネガティブな感情は瞬く間に伝播・増幅し、人々を悩ませます。
本展では美術作品に表された「不安」に着目します。風間サチコはマンションの広告からバベルの塔を連想し、増殖する人間社会の崩壊を予感しました。大木裕之の《木(ム)》には、希望と不安が入り混じる日常の一片が記録されています。木村光佑や佐藤敏の作品に漂うのは、人間存在そのものに対する不安です。また、草間彌生やフランシス・ベーコンは自身の内で膨らみ続ける不安を作品に昇華させた作家です。本展では12作家21点の作品を紹介します。アーティストたちが不安と向きあって生み出した作品の数々をご覧ください。
大木裕之《木(ム)120311》は、オンライン会場(外部サイト)でも展示します。(オンライン展示は終了しました)
大木裕之《木(ム)120311》
2003~2011年
風間サチコ《バベル》
2019年
2020年度 第3期常設展 〔常設展示室2〕 うるみ会 ~明日の漆芸をめざして~
明石朴景《漆 松樹 屏風》1954年
香川では江戸時代末に讃岐漆芸が確立され、発展・継承を続けましたが、時代の変化を受け、昭和の初め頃には伝統とマンネリズムの狭間に立たされました。うるみ会はそれまでの漆芸にマンネリズムを感じた明石朴景(1911~1992)をはじめ、明日の工芸を目指した若い漆芸家たちを中心に昭和24年(1949年)に結成された工芸グループです。
「新しい泉を掘ろう」をスローガンに立ち上がった彼らは、切磋琢磨し新しい表現に挑みます。初期には先輩作家たちに白い目を向けられ、ひっそりと活動したといいますが、昭和27年の第8回日展では多くの入賞者を出すなど、その名を広めていきました。新しい漆芸を目指した彼らは幾何学模様や西洋美術の様式を取り入れた斬新な表現を生み、漆パネルなどの新しいジャンルにも活路を見出しました。本展示ではうるみ会メンバーの在籍時の作品を中心に11作家17点紹介します。漆芸の可能性を信じて邁進した彼らの軌跡をご覧ください。
大島唯史《深秋図 飾盆》1957年
撮影:高橋章
真子実也《或る日》1961年
撮影:高橋章
展覧会基本情報
会期:
2020年9月26日(土曜日)~12月27日(日曜日)
会場:
1階常設展示室
休館日:
月曜日
(ただし、11月23日(月曜日・祝日)開館、11月24日(火曜日)休館)
開館時間:
午前9時30分~午後5時
(ただし、特別展開催期間9月26日~10月18日、10月31日~12月13日の金曜日・土曜日は午後7時まで)
主催:
高松市美術館
観覧料:
【一般】 200円(160円)
【大学生】150円(120円)
【65歳以上・高校生以下】無料
※( )内は20名以上の団体料金
※身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳所持者は入場無料
※高松市キャンパスメンバーズ制度に加盟する大学等の学生は、学生証提示で観覧料免除
※共通定期観覧券についてはこちらから
お問い合わせ先:
高松市美術館
電話:087-823-1711
関連イベント
ギャラリートーク
開催日時:
2020年12月5日(土曜日)午後2時~
会場:
1階常設展示室
聴講料:
無料(ただし観覧券は必要です)