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高松さんぽ(令和3年度)

更新日:2022年4月1日

春の胎動(3月号掲載分)

 令和2年1月中旬に国内で初めて新型コロナウイルス感染症の感染者が確認されてから、2年余りが経過しました。しかし、コロナ禍はまだまだ収束の気配を見せていません。それどころか、この原稿を書いている2月上旬においても、なお、新規感染者数が過去最多を更新するなど、これまでにない急激なスピードと規模で感染拡大が続いています。
 厳しい冬の時代ですが、暦の上では、春はとっくに来ています。「立春」は2月4日。その前日の3日が「節分」でした。ご承知の通り、節分には「鬼は外、福は内」と掛け声をかけながら豆をまく風習があります。新春を迎える前に目に見えない悪いものを鬼になぞらえ、追い払おうとしたものだそうです。この節分の豆まきに倣って今みんなが直ぐにでも追い払いたいのは、「新型コロナウイルス」という目には見えない厄介な鬼でしょう。
 鬼と言えば、高松市は、鬼ヶ島と呼ばれ、鬼の灯台のある女木島や桃太郎伝説の残る鬼無地区を有し、また、JR高松駅前や観光地では「親切な青鬼くん」のモニュメントが出迎えてくれるなど、鬼とはなじみのある土地柄です。だからと言ってコロナウイルスに居座られては困りますが、完全な退治は難しく、暫くはウィズコロナで鬼と共存の道を探らざるを得ないかもしれません。
 また、今年の干支は「壬寅(みずのえとら)」。物の本によると、その意味するところは、「陽気を孕み、春の胎動を助く」とあります。冬が厳しいほど春の芽吹きは生命力に溢れ、華々しく生まれる年になるということです。節分に期待する季節感にぴったりだと思います。ただ、十二支で例えられる動物は、どう猛な「虎」です。虎の尾を踏んだり、春の氷に乗ったりすると命を落とすこともあるという危険なことのたとえで「虎尾春氷」という言葉もあります。
 新型コロナウイルス感染症という現代の「虎尾春氷」を正しく恐れつつ、社会経済の維持を図りながら、ポストコロナで真に華々しい春の胎動が訪れる。そんな年になることを祈りたいと思います。

高松DAPPYからの提案(2月号掲載分)

 魅力的なネーミングの近未来の地域社会における10の先端的サービスが挙げられています。高松市のスーパーシティ構想です。
 本市では、ICTを活用して人口減少、少子・超高齢社会においても持続的に成長し続けるまちづくりを実現する「スマートシティたかまつ」の取り組みを更に発展させるため、スーパーシティ型国家戦略特別区域の指定を目指しています(令和4年1月10日現在未指定)。その構想の中で先端的サービスとして7つの分野で10のユニークな事業の提案を行っています。
 例えば、バスとタクシーの利点を掛け合わせた持続可能な公共交通システムを目指す乗り物としての「バタクス」の導入。タクシー事業に相乗りと変動料金制を同時に導入し、郊外部における住民の足を確保しようというものです。また、離島でドローンなど最新デジタル技術を使ったアクティブな活動を子供達に提供して、より逞しい人材育成を図っていこうという「せとうちちょいスクール」という提案もあります。これは、ちょっとした学校という意味と、賢い選択と言う意味の「チョイス クール」を掛けています。それから防災の分野では「逃げ遅れゼロ」。災害時において、被害の発生をいち早く予測できるようにするとともに、災害の状況を知らせるだけではなく、支援が必要な人の情報が周囲の人に伝わることで、地域住民が手を取り合って避難ができるようにするためのサービスです。
 これらネーミングを含めてユニークな事業が提案できたのは、若手職員を中心に20名弱の高松市スーパーシティ準備チーム(愛称:高松DAPPY)を設置し、前例や現行制度、組織の縦割りにとらわれず検討を進めてきた成果だと思っています。ちなみに、「DAPPY」とは、「ポテンシャル(可能性)、力強さ、若さを備えたデジタル同盟」を意味する英語の頭文字をとったもので、「DAPPY=脱皮」と掛け合わせています。   
 今後、国指定の有無にかかわらず、各事業についてより具体的な検討を行い、デジタル技術を中心に未来をいち早く取り入れた、有用で市民に喜ばれる先端的サービスを展開して参りたいと思っています。

高松観光再生の年に(1月号掲載分)

 澄みきった東の空に、月が地球の影に入る部分月食が見られた去る11月19日の夜。幻想的な雰囲気の中で、令和3年度高松市観光大使研修会が、リニューアルされた「れいがん茶屋」を拠点に、屋島山上と各観光大使の自宅などをインターネット回線で繋いで行われました。
 高松市観光大使とは、本市の観光PRの制度として、国内外で活躍されている本市とゆかりのある方々に、観光や物産など、本市の魅力を紹介していただこうとの趣旨で設けられているものです。現在約160名の方に大使を委嘱していますが、その方々に高松の観光の現状等を認識していただき、大使同士の親睦を深める目的で研修会を開催してきました。それが昨年度はコロナ禍の影響で中止。今年度も開催が危ぶまれましたが、初の試みとしてWEB会議形式で実施したものです。
 コロナ禍で本市の観光も大きな痛手を被りました。特に外国人観光客の激減は深刻です。令和元年に外国人の延べ宿泊者数約77万人と多くのインバウンド観光客で賑わった香川県において、令和2年はその1割程度となる厳しい状況となっています。国内観光客を合わせても宿泊者数が前年の半分に減少しました。
 令和4年という新しい年が始まります。コロナ禍の状況は心配ですが、明けない夜はない。色々と工夫をしながら高松市の観光再生に向けてのエポック・メイキングな一年になればと願っています。
 3月には5回目となる高松国際ピアノコンクールが開催されます。そして同じく5回目となる瀬戸内国際芸術祭2022が春、夏、秋の三つの会期で105日間開かれます。四国四県を舞台とした全国高等学校総合体育大会(インターハイ)もあり、高松市では、バスケットボールやフェンシングなど4競技が開催される予定です。屋島では、四国村が春にリニューアルされ、夏には屋島山上交流拠点施設も供用を開始して、世界に向けて文化観光のアピールを行います。
 研修会の夜に月食が見られた屋島の東の空に、元旦には高松観光再生の年の幕開けにふさわしい、輝かしい初日が昇ってくることを期待しています。

金のポストと青のカップ(12月号掲載分)

 10月中旬、JR高松駅の駅前広場に金色の珍しい郵便ポストがお目見えをしました。国と日本郵便などが進める「ゴールドポスト」プロジェクトで設置されたものです。この夏に開催された東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会において、金メダルを獲得した日本代表選手にゆかりのある地域の郵便ポストを金色に塗り替え、その栄光をたたえるとともに、選手等を輩出した地域を盛り上げていこうというものです。
 高松駅前の「ゴールドポスト」に名前が刻まれたその人は、フェンシング男子エペ団体の宇山賢選手。本市の出身者では初めてとなるオリンピック金メダリストです。高松駅を利用する多くの人たちが、この金色のポストを見て、宇山選手のオリンピックでの活躍を思い起こして元気をもらい、「頑張ろう」という気持ちになれれば良いと思います。また、このポストに手紙やはがきを投函すると良いことがある、と信じていただけるような都市伝説ができることを、勝手に期待しています。
 宇山選手には、高松市市民栄誉賞も贈呈しました。これは、本市市民あるいは本市にゆかりの深い個人または団体で、郷土の誇りとなり、広く市民に敬愛される方を表彰し、その栄誉をたたえることを目的に平成12年に創設された賞です。宇山選手はその時に受賞された中西太氏以来、21年ぶり2人目の受賞者となりました。
 表彰に際して、台座が庵治石で、上部のカップの部分が庵治石の粉をガラスに溶かし込んだ「庵治石ガラス」により作成された記念品をお渡しいたしました。これは、宇山選手が、庵治石の産地である五剣山の麓にある高松北中学校及び高松北高等学校に通いながらフェンシングに励まれたことに因んだものです。庵治石ガラスの透き通るような青色に瀬戸内海を重ね、郷土高松を感じていただきたいと思います。
 このように、宇山選手の偉業を地元では金のポストと青のカップでお祝いしました。スポーツの分野に限らず、今後、宇山選手に続いて、世界に羽ばたく人材が、本市から数多く輩出されることを願っています。

和泉正敏さんを偲んで(11月号掲載分)

 去る9月13日、職人らしく言葉少なで、はにかんだ笑顔が魅力的だったイサム・ノグチ日本財団前理事長の和泉正敏さんがご逝去されました。謹んでご冥福をお祈りいたします。
 私が和泉さんと初めてお会いしたのは約二十年前、島根県勤務の頃でした。病院の解体跡地の公園に庵治石のモニュメントを制作するために松江を訪れられた折、亡父と懇意にされていたご縁で一緒に食事をさせていただきました。イサム・ノグチ氏の牟礼のアトリエをそのまま保存し、庭園美術館として開館したばかりで、苦労話などをお聞きしたことを覚えています。
 和泉さんの人生の大半は、当時の金子正則知事やのちに県技監を務めた山本忠司氏に引き合わされた世界的彫刻家イサム・ノグチ氏の半生に捧げられたと言っても過言ではないでしょう。和泉さんと少し長話をすると、毎回と言って良いくらいこの三人の傑人との思い出話が出てきました。特にイサム・ノグチ氏について、「この人はもしかしたら、宇宙人かなと思う時もありました」と尊崇の念をこめて述懐されていました。
 和泉さんがイサム・ノグチ氏と出会ったのは東京五輪が開催された昭和三十九年。その頃、石の町である庵治、牟礼辺りに一つの「芸術村」を作ろうという構想があったそうです。このエリアに世界の著名な芸術家を呼び、アトリエを構えて住んでもらおうというのです。その第一号が彫刻家の流政之氏であり、イサム・ノグチ氏も制作拠点のアトリエを作りました。今で言う「アーティスト・イン・レジデンス」ですが、六十年近く前の大掛かりな話に驚かされます。
 10月5日、イサム・ノグチ庭園美術館前の石材工場跡地に「高松市牟礼源平広場」が落成し、オープニングセレモニーが行われました。和泉さんが完成を心待ちにされていただけに、一緒にお祝いが出来なかったのはまことに残念です。でも、きっとイサム・ノグチ氏と並んで、あのはにかみの笑顔で温かく我々と新しい広場を見守って頂けていると思っています。
(参考)
・月刊「カーサブルータス」特別号2004 vol.47「a century of ISAMU NOGUCHI」
・「高志低居」(金子正則先生顕彰会編)

姉妹都市提携60周年に当たって(10月号掲載分)

 高松市とアメリカ合衆国フロリダ州セント・ピーターズバーグ市が姉妹都市提携を締結してから、この10月5日で60周年を迎えます。セント・ピーターズバーグ市は、サンシャイン・シティ(太陽の輝くまち)と言われるほど気候が温暖で活力ある都市です。タンパ湾に面した美しい海岸線には、ホテルやヨットハーバーがあり、訪れる人を開放的な雰囲気で迎えてくれます。また、世界で有数のコレクションを持つダリ美術館を始めとしたアートが街全体に息づく「アートのまち」としても有名です。
 姉妹都市の調印がされたのは、1961年(昭和36年)です。1ドルが360円の時代、まだ日本では自由に海外渡航することは認められておらず、海外旅行は庶民の夢。そんな時代に、日本からはるか遠いフロリダ州の都市と姉妹都市提携をしたのですから驚きです。記録を見ると、昭和32年に日米首脳会談で「日米新時代来る」の共同声明が発表され、 高松市でも青少年に海外研究の機会を与え、夢を持たせようという機運が高まりつつあったことが後押しをしたとのことです。関係者の未来を見据えた英断に敬意を表します。
 その後高松市では、1988年にフランスのトゥール市と姉妹都市提携を、1990年に中国の南昌市と友好都市提携を、2017年に台湾の基隆市と交流協定を結んで、状況に応じて各種国際交流事業を展開しています。
 「国際化」と言う動きは、「高齢化」や「情報化」と共に「三化(サンバケ)」と言われ、我が国社会(自治体)を取り巻く環境変化の流れとして、1980年代から今日にかけてずっと続いています。そして、その概念はグローバリズムや多文化共生の要素を加えながら発展して来ました。
 ただ、残念ながら昨年来の新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、人びとが互いに往来する国際的交流は、ほとんど見られなくなっています。反グローバリズムの流れも顕在化しています。アフターコロナの時代に「国際化」や「グローバル化」がどちらに向かうのか。国際社会にとっても、地域にとっても大きな問題です。

オリンピックの顔と顔~多様性と調和(9月号掲載分)

 五輪史上初めて一年延期された東京2020オリンピック競技大会が閉会しました。一方、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)は、感染拡大と終息傾向の波を繰り返しながら、まだまだ収まる気配を見せておりません。そんな中でのオリンピックでした。開催自体に賛否両論があった上に、感染対策をどこまで徹底できるかなど、運営を巡っても様々な議論が飛びかい、加えて関係者の不祥事も取り沙汰されて混乱が広がる異例の展開となりました。開幕後も東京都のみならず、都市部を中心に全国的に感染拡大が加速化して、オリンピック継続の是非論まで出てきました。それでも、本市出身のフェンシングエペ団体宇山賢選手の金メダル獲得など、日本人選手の予想以上の活躍があり、世界のトップアスリートが繰り広げる熱き戦いは、コロナ禍で気分が沈みがちな多くの国民の感動を呼び、元気を与えてくれたように思います。
 競技は一部を除いて無観客で行われました。せっかく自国で開催しているオリンピックなのに、基本はもっぱらステイホームでのテレビ観戦です。生で競技を観られないのは残念でしたが、感染拡大の状況も考え併せると、仕方ないことでしょう。
 そんなことを思っていた時、ふと三波春夫さんが歌った前回東京大会のテーマソング「東京五輪音頭」のサビの部分を思い出しました。「オリンピックの顔と顔 ソレトトントトトント顔と顔」という歌です。前回昭和39年に開催された東京オリンピックは、様々な顔を持ったアスリートが世界中から我が国に集い、人類の多様性を一般国民レベルで実感した最初の機会であったように思います。そして、今回の東京大会のコンセプトも「多様性と調和」というものです。テレビ越しではありましたが、世界中の様々な「顔と顔」が付き合わされ行われた真剣勝負を通じて、多様性を尊重し、社会的調和を図っていくことの大切さを、多くの国民が実感できたオリンピックであったと願いたいと思います。

生まれ変わる「市民の台所」(8月号掲載分)

 高松市中央卸売市場の再整備を進めています。「高松市民の台所」とも称される市民生活に欠かせない生鮮食料品等の流通拠点が時代にあわせて新しく生まれ変わります。
 ホームページのうたい文句に、「全国から四季折々の新鮮な魚介、青果、花が集まります。なかでも天然の生簀と言われるほど少量多品種で必ず旬の魚がいる瀬戸内海の地魚、温暖少雨な瀬戸内式気候で太陽の恵みをたっぷりうけたフレッシュな郷土野菜や香川オリジナル品種の青果・・・が自慢です。」とあります。ただ、「うみまち商店街」と名付けられアートで注目されている関連商品売場棟も含めて、青果部、水産物部の建物は、築40年以上が経過をしており、老朽化が進み、早急な再整備が求められています。そこで、平成27年に基本構想、基本計画を策定し、青果棟を約5キロメートル離れた朝日町に移転再整備することとし、水産物棟等を現青果棟跡地も含めた現市場エリア内に整備すること、水産物棟の跡地などについても利活用を図ること、との基本的な方向性を定め、事業を進めています。
 まずは新たな青果棟の移転再整備です。朝日町において、雨天時にも濡れずに品物の積み下ろしができるよう、全国的にも珍しい、通路や荷捌き場のほとんどを屋根や庇で覆う設計となっています。そして、単に流通拠点としての機能を果たすだけでなく、敷地内に農園の整備など市民に開かれた場所となることを目指します。
 水産物棟については、再整備、跡地利用も含めて新しい観光スポットとしての賑わい創出を検討します。高松駅から約2キロメートルしか離れておらず、交通の利便性が高い上に、海に面したまとまった敷地が確保できる稀有な場所であり、船の利用も考えると非常に大きなポテンシャルを秘めたエリアです。民間の資金や技術、経営ノウハウを活用することにより、より良いサービスの提供ができる手法の導入を視野にいれながら、インバウンドを含めたユニークな観光の受け皿となるさまざまな可能性を検討して参りたいと思います。

5月の紫陽花(7月号掲載分)

 観測史上最も早い梅雨入りだそうです。去る5月15日に四国地方が梅雨入りしたと発表されました。平年と比べると、21日も早いということで、新緑が眩しい陽春を楽しむ間もなく、梅雨と夏が突然一カ月前倒しでやってきた感じです。地球温暖化による気候変動を実感しています。
 季節の植物、花にも変化が見られます。この原稿を書いているのは5月下旬。まだ6月になっていないのに、路地裏の紫陽花が早くもいくつか花を咲かせています。紫陽花と言えば雨に似合う6月の花という印象が染みついています。最近では母の日に紫陽花を送る方も多いそうで、咲いた月にこだわる必要はないのかもしれませんが、「5月の紫陽花」と聞くと、どうしても違和感を覚えます。
 そういえば、今年は、春先のぽかぽか陽気に誘われて高松市での桜(ソメイヨシノ)の開花も統計開始以降最も早い、3月15日でした。平年に比べて13日も早かったとのことです。陽気のせいか、いつもより鮮やかな花を咲かせていたように思える今年の桜でしたが、コロナ禍の渦中の為、花見の宴は控えられ、昨年に引き続き充分にその可憐な花を楽しむ事ができなかったのは残念でした。
 そして、それから2か月経過しての5月の半ばの梅雨入りと下旬の紫陽花の開花です。いつもなら静かに移ろいゆく日本の四季の情緒がコロナ禍を早くくぐり抜けたいが如く、息をきらして駆け足で通り過ぎようとしているように感じます。
 雨にぬれて鮮やかな色彩のグラデーションを見せる紫陽花ですが、よく知られる花言葉は、「移り気」、「冷酷」というもの。あまり良いイメージではありません。しかし、早咲きの今年の紫陽花はいつものものとは違うはず。そうであれば、温かみのある花言葉である「団らん」や「和気あいあい」、「家族」を当てはめたいと思います。コロナ禍で、人と人とのつながりに大きな制約がある今だからこそ、紫陽花の花に癒されたいと思うのです。

桜の馬場の祝事と桜御門の復元(6月号掲載分)

 玉藻公園の桜の馬場で、去る4月18日の夕刻、東京2020オリンピック聖火リレーの締めくくりのセレブレーション(祝事)が行われました。その前段、内堀に浮かべた和船に、リレーランナーと高松松平家ご当主が乗りこみ、聖火を船で運び、その後ろを高松市指定無形文化財水任流の保存会の人達が日本泳法で追従しました。夕日に映えた天守台の石垣の前を行く和船と水任流のゆったりとした泳ぎが作るお堀の水の縞が、高松のこれまでの歴史の流れをなぞっている様にも見えました。高松のまちの歴史は、16世紀後半に生駒親正がこの地に城を築いたことに始まります。その築城当時から桜の馬場と三の丸を繋ぐところにあったとされるのが、現在復元整備中の桜御門です。
 来たる6月6日、その桜御門の上棟式(棟上げ)が行われます。柱・棟・梁などの骨組みが完成した段階で執り行う行事で、無事に工事が進んだことへの感謝と、完成を祈願する儀式です。余談ですが、私は「棟上げ」と聞けば、「餅投げ」を思い出します。上棟の儀式と併せて行われる、柱の上から餅や菓子、清酒の木札などが撒かれ、それを目当てに集まった人が、我先にと取り合う行事で、子供の頃の楽しい思い出です。
 ところで、桜御門は、昭和19年に国宝に指定されることが決定していました。それが翌昭和20年の高松空襲により焼失してしまい、国宝指定も水の泡となりました。今回の復元整備は、言わば戦災復旧事業でもあるのです。そして、この復元により、大手(城の正面)の旭門から入り、桜御門をくぐり、御殿へ進むという往時の景観と城の雰囲気が再現できることの意義は大きく、期待がふくらみます。
 文献によると、桜御門は節句などの特別な日には桜の紋章の幔幕で飾られていたようで、完成後は史実に従い、これを再現するとのことです。聖火リレーの祝事には間に合いませんでしたが、これから桜の紋章が何度も見られるよう、目出度い日が多くあることを願っています。

はらにきゃべつ(5月号掲載分)

 タイトルは、「はらにきゃべつ」です。障害福祉サービス事業所ほのぼのワークハウスのメンバーによるバンド「ほのぼのオールスターズ」の「ワレワレハホニュウルイ」に続く第2弾CDが発売されています。いずれも妙に印象に残り、思わずニヤッとしてしまう題名ですね。
 本市では、障害福祉サービス事業所等へアーティストを派遣することで、より多くの障がいのある人たちが継続的に芸術活動に携わることができる「障がい者アートリンク事業」を実施しています。絵画や陶芸、ダンスや音楽パフォーマンスなどさまざまな表現活動が市内の障がい者施設で行われています。昨年度は、コロナ禍の中、多くのイベントや行事を中止せざるを得なくなる状況であったにもかかわらず、過去最多となる14カ所の事業所等へ10組のアーティストが出向き、活動の分散等工夫をしながら創作活動を共に行いました。その成果物の一つが「はらにきゃべつ」のCDです。
 「アートリンク」には、芸術を介して繋がろうと言う意味が込められていますが、そもそもこの事業自体が不思議な縁による結び付き(リンク)で生まれたものです。発端は2010年に行われた最初の瀬戸内国際芸術祭。高松市の姉妹都市であるアメリカフロリダ州セント・ピーターズバーグ市の障がい者や子供たちのアート活動を支援しているNPO法人「クリエイティブクレイ」と交流をしている岡山県のNPO法人「ハートアートリンク」が芸術祭関連事業として本市に持ちかけて来たのが始まりです。
 「ハートアートリンク」代表の田野さんは、「UNLIMITED」と題された昨年度の報告書に「障がいのある人のある意味制約された表現をする人とアーティストのコラボレーションは、常に新しい概念を生み出して」、その「分野を横断したソーシャル・インパクト(価値の共創)こそが、コロナ禍の今、必要不可欠である」、とこの事業の今日的意義を記されています。「障がい者×アーティスト」から生み出される多様で型にはまらない世界は、まさに「無制限」に広がっていく可能性を秘めているものだと感じています。

エイプリルフールと情報の免疫力(4月号掲載分)

 4月1日はエイプリルフールです。「この日は嘘をついても許される」とされる風習で、古くから世界中にあるようです。しかし、近年、その存在感が薄れてきている気がします。インターネットが発達した現代の高度情報社会においては、虚偽ない交ぜ、真偽不明の大量の情報が毎日世間に流布されており、言わば一年365日がエイプリルフールの様相を呈しているからです。
 しかも、往々にして嘘の情報ほど伝播力が強いようで、大手報道機関が嘘の情報を信じてそのまま真面目にニュースとして流すと言った事件も起こっています。英国の元首相ウィンストン・チャーチルが言ったように、「嘘が地球を半周したころ、真実はまだズボンを履こうとしている」状態はよくあるのです。
 現在、世界中で猛威をふるっている新型コロナウイルス感染症に関しても、間違った情報や誤解を招く情報が多々出回っています。総務省の「新型コロナウイルス感染症に関する情報流通調査」(2020年6月)によると、多くの人が新型コロナウイルス感染症に関するデマやフェイクニュース(虚偽報道)を見聞きしており、情報の真偽を判断出来なかった傾向がみられるそうです。そして、間違った情報や誤解を招く情報を見聞きした場合に共有・拡散したことがある人の割合は35・5%だったとの結果が出ています。
 根拠の乏しい情報の流通、拡散は、取り返しのつかない風評被害や差別、偏見を生みかねません。そうならないためには感染防止対策と同様、個々人の自覚と節度ある行動が大切です。データの加工が恣意(しい)的かどうかを自分で考えるなどの癖をつけ、情報の真偽を判断する力を養う、いわば「情報の免疫力」を付けることが重要であると識者(山口真一・国際大学准教授)は指摘しています。集団免疫獲得をめざすワクチンの住民接種も本格的に始まります。新型コロナウイルスを「正しく恐れて」対処することが必要です。
 せめて、今年のエイプリルフールは軽く笑い飛ばせるようなユーモアあふれる楽しい嘘で、世の中を少しでも明るくしたいものですね。

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