更新日:2022年5月31日
5月末から、連日気温の高い夏日が続いていますが、中学校・高校3年生の皆さんは、中間試験も終わり、部活動の集大成となる総合体育大会や各種コンクールに向けて、毎日仲間と共に、額に汗しながら懸命に練習に励んでいる時期だと思います。特に、コロナ禍で1年生の時から思うように練習ができなかったり、楽しみにしていた試合が中止になったりで、これまで悔しい思いをしてきた3年生にとっては、本当に最後の思い出を残してほしい大会です。
(中学校の部活動の様子)
教員時代、私自身はバレーボール部の顧問・監督として子どもたちに、自分の意志で選んだ部活動だから、最後に「先生、とにかくやり切ったよ!」と言ってもらいたくて、夏の総体に向けて連日蒸し暑い体育館でボール出しやシートレシーブ練習をし、汗で重くなったTシャツを何枚も着替えていたことを思い出します。あれからもう何年も過ぎましたが、この季節になるといつも思い出される印象的な子どもたちの姿があります。ある一人の中学生の話です。
入部したての頃、小柄で初心者だったIさんは、小学校のジュニアチームで何年もバレーボールを経験してきた友達に交じって、誰よりもボール拾いを一生懸命にこなし、ボール出しをする私の傍らには、いつも彼女がいました。自ら率先して励むものですから、ボール渡しのスキルと言ったら、それまでのどの生徒よりも素早く、細心の注意が払われていました。練習にも誰よりも熱心に取り組むIさんでしたが、2年生の新人戦の頃になっても試合に出られることはなく、いつも私の傍らに・・・。3年生になって初めて、時々練習試合でピンチサーバーとしてコートに立っていました。
高松市の総体を一週間後に控えた、うだるような暑さの放課後の体育館で、いつものように彼女は集中してサーブ練習をしていました。「よし、Iさんなら大丈夫!」総体の決勝戦の最後は、これまでチームに貢献してきた彼女のサーブで締めくくろうと私は心に決めたのです。そのことをチームのメンバー全員に伝え、大会では途中苦戦もしながら目標どおり決勝まで勝ち進みました。いよいよ迎えた第3セット終盤、メンバーチェンジでコートに立ち、ボールを受け取ったIさんの表情は、真剣で落ち着いていました。相手コートをにらみ、彼女が連続して放った数本のサーブは、ネットすれすれで変化し相手コートにストンと落ちる見事なものでした。試合終了の長いホイッスルの音が鳴り響く中、駆け寄ったチームメイトに、もみくちゃにされながら満面に笑みをたたえた彼女の顔を今でも忘れることはありません。「練習で泣いて試合で笑え」の言葉がぴったりだと思いましたが、彼女は練習でも笑っていたことのほうが多かった気がします。
今年の夏は、高校総体の先行競技がすでに始まり、高松地区中学校総合体育大会が6月11日の陸上競技から始まります。折しも、今年は四国で、全国高等学校総合体育大会が7月23日から開催され、高松市では、体操、バスケットボール、フェンシング等の競技が行われます。また、中学校の全国体育大会は来年度、四国で開催され、県内開催競技のうち、水泳、バスケットボール、サッカーの3競技が高松市で行われます。さらに、令和7年度には、文化部の祭典である全国高等学校総合文化祭も香川県で開催されることになっています。
ここ高松の地で、中学生、高校生一人ひとりの、どのようなドラマが展開されるのか、今からとても楽しみです。