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【高松アーティスト・イン・レジデンス2024 活動報告】  メランカオリ「まつとしきかば今はちあわせ」

更新日:2025年4月9日

メラン カオリ プロフィール

 1991年神奈川県生まれ。2017年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。同年より占いによる制作活動を開始。現在は、予備校で古文講師の仕事や工場で地球儀加工のアルバイトなどをしながら、「病院・刑務所・墓場に行き場がないものたちの管理人」の肩書で独自の占いによる制作・発表活動を行っている。
 近年参加した展示に2023年「Artist in FAS 2023 入選アーティストによる成果発表展」(藤沢市アートスペース、神奈川)や「Geist Enclosure」(Studio Ghost、東京)、2021年「紀の国トレイナート2021」(那智駅、和歌山)、2020年「Video Edition Box」(HIGURE 17-15 cas、東京)、2018年「明け方の計略」(駒込倉庫、東京)などがある。

メランカオリ《土星プロレス》2018 撮影:越間有紀子
メランカオリ《WELCOME TO MY HOME》2016 撮影:草苅健
メランカオリ《引っこ抜いた流れ星の尾で行く 2023年辻の旅》2023 撮影:熊野淳司

成果発表展「まつとしきかば今はちあわせ」

第1期

会期:2025年1月25日(土曜日)~2月2日(日曜日)
開廊時間:13時~21時
入場無料(1ドリンクオーダー制)
会場:CENTER/SANUKI(香川県高松市常磐町1-6-13)
   ことでん瓦町駅より徒歩約5分

第2期
会期:2025年2月15日(土曜日)~2月23日(日曜日)
開廊時間:13時~18時(2月15日(土曜日)のみ20時まで)
入場無料
会場:Syndcate(香川県高松市塩屋町9-9 2F西)
   ことでん瓦町駅より徒歩約5分

作家ステイトメント

「松・待つ・待ち・街」という掛詞をきかっけにして、高松で現代版の調伏と松の木立や盆栽のリサーチを行いました。
高松で起きた掛詞にまつわる不思議な出来事の因果によって作品が生まれるのを待ちながら、作品が育っていくような機会となる展覧会を企画しています。
流れ星みたく見えたらラッキーだが、見えないからといってアンラッキーというわけでもないような作品たち。
だからこそ、どんなことに触発されて作品が動き出すのか私もわかりません。
皆さまにお越しいただけるのを心よりお待ちしております!
(メランカオリ)

トークイベント

メランカオリの高松での制作活動や成果発表展の出品作品などについてお話します。
日時:2025年2月15日(土曜日)14時~15時
出演:メランカオリ、戸舘正史(港区立みなと芸術センター参与、高松AIR2024選考委員)
会場:Syndicate(香川県高松市塩屋町9-9 2F西)
予約不要(ただし、席数には限りがあります)
入場無料
イベント中は、一部の展示が見えづらくなります。ご了承ください。

占いワークショップ「水瓶座新月の日、重なり合うタロットカードを作って占ってみる!」

透明のカードにイメージを描き、集まった人たちで1つのタロットデッキを作ります。
重なり合うカードの複数の線越しに見えてくるイメージを読みながら、水瓶座新月の下、みんなで占ってみましょう!
日時:2025年1月29日(水曜日)18時~20時30分
場所:瓦町FLAG 8階 アートステーション クリエイティブルーム
参加費:無料
対象:どなたでも(未就学児は保護者同伴)
定員:8名(先着順)
申込:要オンライン申込

滞在日程

令和6年10月29日(火曜日)~11月7日(木曜日)
令和6年11月29日(金曜日)~12月9日(月曜日)
令和7年1月23日(木曜日)~2月4日(火曜日)
令和7年2月12日(水曜日)~2月17日(月曜日)
令和7年2月21日(金曜日)~2月24日(月曜日)
計44日間

活動報告

滞在制作について

プランニングの段階ではどういったことをするのか不確定だったため、高松を訪れて、占いや出会いを通してどんなことをするかを決めていった。「松」や「待つ」ことに関わる場所を訪れ、得た情報を写真やメモとして記録した。また、新月や満月の日、土星以遠の星が目立った移動をする日は高松港で占いを行い、どんなところへ行けばいいか、キーワードやキーアイテムを占った。滞在中の記録物、収集物を制作場所や展示場所の壁にマッピングすることで訪れた人から情報を得てさらにそこから情報の連鎖が生まれていった。
困ったときは街や島で出会った猫について行くなどした。

滞在中は、以下のように事が運んでいった。
●オートマティックにはじまる占いとそれに伴う出会いの数々
高松で好んで制作場所としていたのが高松港だった。1回目の滞在中の蠍座新月の日(2024年11月1日)に高松港で占いをした。港で見つけたソーラー照明のような円形のものが占星術で用いるホロスコープチャート(円を12分割にしたもの)に似ていたため、ここで志々島の貝殻とライオン通りにあるボタン屋さんでいただいた松葉色のボタンを用いてラッコ占いを行った。その結果、「松」に加えて「尻尾」がキーワードであることが分かった。翌日、大雨の中、国分寺の盆栽園を訪れ千本以上の盆栽を見たのち、偶然これらのキーワードを名前に持つMさんに出会った。Mさんは栗林公園のボランティアガイドをしているとのことで、栗林公園を案内していただきながら、松や庭のことを教えていただき、高松港での占い通り、ヒントをたくさん得ることとなった。

●掛詞を巡る不思議な出来事
「松・待つ」「待ち・街」のキーワードからリサーチを始めたところ、高松に滞在する中で、掛詞に関連する不思議なことに遭遇した。
(1)シシ&ボタン(栗林公園にある牡丹と見返り獅子の石・志々島の貝とライオン通りのボタン)
私が定期的にしていたラッコ占いで用いている志々島の貝とライオン通りでもらったボタンについて。栗林公園にある「見返り獅子と牡丹の岩」についてMさんが話してくださったとき、太古から獅子身中の虫は牡丹の夜露で死ぬという言い伝えがあり、そのため獅子にとって牡丹の下は安寧の地を意味することを知った。偶然にも、「志々島のシシとライオン通りのボタン」が掛かっていることに気づいた。私の行っていたラッコ占いのラッコの要素と獅子と牡丹が繋がった瞬間だった。

(2)ハチアワセ(盆栽用語の鉢合わせ・88・偶然の出会いとしてのはちあわせ)
偶然、松に蜂が止まっていたのが気になって訪れた盆栽園。鉢合わせという言葉をここの盆栽園の庭師さん(この方のお名前にも尾が入っていた!)に教えていただいた。蜂はたまたまいただけとのこと。高松市役所へいくと会議室の前に118番のポスターが貼ってあった。そのポスターをきっかけに、私と担当のTさんの誕生日が同じ数字で構成されていたことを知った。8の縁だなと思っていたところ、サンポートのお土産屋さんの名前が「88 shop」で、四国霊場八十八ヶ所と鉢合わせが掛かり始めた。また、ワークショップの会場であるアートステーションがあったのも8階、その建物に入っているゲームセンターでとった馬のぬいぐるみが、調べたところシャフリヤールという馬で、88代目ダービー馬だった。そして、商店街で知り合いにはちあわせたり、野良猫同士のはちあわせに遭遇したことも印象的だった。

(3)リュウセイ(流星群、競馬用語で馬の額の模様で白斑が流れること等)
滞在中に経験した流星群と制作補助をしてくれた方の名前。そして、先述した瓦町のゲームセンターで偶然とれた88代目ダービー馬のぬいぐるみを展示会場に飾っていたところ、訪れた人から、この馬の額は猫の模様をしていて(ぬいぐるみはマスク被っていたので気づかなかった)、こういった馬の鼻に流れる白い模様を競馬用語で「リュウセイ」ということを教えてもらったのだった。
他、掛詞だと後から気づいたが、「ドライブ(自動車で遠出をするdrive、記憶媒体などの駆動装置のdrive)」を演出した映像作品の展示設計をしたり、「イシ(島で拾った石と意志)」で書いた手紙風のドローイングなども制作していた。

●更に展覧会を訪れてくれた人たちによる読み解き
滞在中に撮り溜めた写真を壁に脈絡なく貼っていると、訪れた人たちがその写真を見て思い出したことや、知っていることを教えてくれた。その情報によって、訪れた人たちと会話をする中で脈絡のないイメージ同士の連絡通路がひらけていくようだった。

ワークショップについて

透明のカードにイメージを描き、集まった人たちで1つのタロットデッキを作った。
重なり合うカードの複数の線越しに見えてくるイメージを読みながら、水瓶座新月の下、みんなで2025年のアートシーンなどについて占った。飛び入り参加の天秤座の方が縦横無尽に場に旋風を起こし水瓶座新月らしいワークショップが始まった。クジによる役決めで山羊座の方がDevil、Death、Starのカードを担当するというミラクル(タロットの中でもヘビーなカードを、水瓶座の前の星座であり、ここ数年アップデートのための試練を土星以遠の星から与えられていた山羊座が担当するというミラクル)が起きた上に、占いをする中で、山羊座の180°向かい側に位置する蟹座の2人が山羊座の方が描いたDevilとDeathを連続で引くという、そしてそれを封じる形で蟹座のリアルお友達である蠍座の方が山羊座の描いた安倍晴明の五芒星と冠纓神社を彷彿させる鳥居が描かれたStarのカードを重ねて引くという不思議なことが起こった。そんな中、屋島愛に溢れた天秤座の方による屋島流の読み解きと冷静さと事が起きるのを待っていた水瓶座の人によって場が整った。この日の水瓶座新月らしい、濃厚でありつつも風穴が空きまくりな占いの場となった。

展覧会と作品について

●第1期 会場:CENTER/SANUKI
フィールドワークで収集したものを持ち込み、公開制作や訪れた人と即興で占いを行った。
お茶を飲みながら訪れた方と作品を横目に即興で占いをしたり、ゆっくりとお話をしたり、一緒に作業をしたりして、ギャラリーとお茶スタンドが併設しているという環境ならではの公開制作を行った。

●第2期 会場:Syndicate
制作物のお世話をするイメージでインスタレーション作品として展開した。
サンドピクチャーの砂粒のように壁に貼られた写真もいっときの形や並びを表しているように見える、次の瞬間には配置が変わってしまいそうに見えるという感想や印象派の筆先みたいな写真の貼り方というコメントをいただき、ハッとした。
(撮影:田中美句登)

●サンドピクチャー
滞在中に拾ったり貰ったりした松、砂、貝、藻、塩、ボタン、スノーフレーク、シーグラス、お寺でもらった灰などを用いて制作した。
何度か試作を作り試行錯誤してオリジナルの制作方法を見つけたのだった。フレームも自身で高松をイメージした(銘菓おいりやサンポート高松で見かけたイスのような)日を浴びつづけて目に優しくなったような色味を目指して塗装した。会期中、訪れた人がサンドピクチャーを気ままに逆さまにすることで模様が変わり、予想のつかないイメージに変化していった。見る人によって、「これは屋島」「これは連なっているから徳島の山「これは丸いから香川の山」「木の下に集まる鳥」「海に降る隕石」「瀬戸内の島々」など色々な風景や地形を重ねている様子が印象的だった。
(撮影:田中美句登)

お問い合わせ

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