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第2期常設展 こぼれる光のなかで/彫漆-魅惑の挑戦

常設展

2011年6月16日(木曜日)~2011年8月21日(日曜日)

【展示室1 こぼれる光のなかで】
今から60年ほど前の1953(昭和28)年のこと。高松出身の画家木村忠太は、オランダ船で横浜を出港し、2ヶ月かけてマルセイユに到着するとパリに居を定めました。以来亡くなる1987(昭和62)年までフランスに留まり、光を探求し続け制作に打ちこみました。木村のことばに「印象派は半分終わっただけである。大きな半分が残されて居る。それは魂の印象派である。魂の印象派はアブストラクトの後に必然に生まれて来るものである。世界の美術はアブストラクトまで来て混迷して居る。混迷を破るものそれは光の仕事である。私ははっきりと次の時代に進んだ。」(ギャラリーたからし個展パンフレット、1981年)とあります。こうした木村のこだわりは、抽象(アブストラクト)絵画の趨勢のなかにあって、時代錯誤に映ったかもしれません。しかし、「内なる光」を生み出した木村忠太の一生は今もって、絵画や光に対する深遠なる問いを発し続けているとも言えます。

さて、本展覧会で紹介する作家たちは、木村以外みな戦後生まれです。木村のように海を渡り活動の拠点を海外においたのは、イケムラレイコ(ドイツ)、杉本博司(ニューヨーク)、小林孝亘(バンコク)であり、押江千衣子は2年間ベルギーに留学していますが、その行き先も様々です。また世代的にも木村と接点のある者はいません。しかし、ご覧いただく作品それぞれに、木村の言う「混迷を破るもの」として美術のあり方や可能性を感じることができます。石田尚志の差し込む光に委ねた絵画行為の痕跡、ほのかな色彩が色めく西山美なコの立体、人工的な光に不気味な美しさを見い出す東恩納裕一など、現代を生きる作家たちの光をめぐる冒険があります。それらはまばゆい光というよりも、こぼれていくような有機的な光であり、揺らぐ映像のように私たちの身体感覚をゆるやかに満たしてくれるでしょう。
 
【展示室2 彫漆-魅惑の挑戦】
彫漆(ちょうしつ)は、漆を何十回、何百回と塗り重ねて厚い層をつくり、それに模様を彫っていく技法であり、百回塗ってやっと3ミリの厚さになるという、とても根気のいる作業です。中国の宋、元時代の堆朱、堆黒などに起源が求められるこの彫漆技法を研究し、特産品として完成させたのが、江戸時代末期、高松藩に仕えた玉楮象谷(たまかじぞうこく)でした。象谷は「讃岐漆芸の祖」と呼ばれますが、それは、蒔絵が主流の当時にあって、中国や南方の漆器物に着目し、彫漆ほか、蒟醤(きんま)と存清(ぞんせい)といった特色ある讃岐漆芸の技法を創造したからです。

その後、明治末頃には、讃岐漆器と讃岐彫の店「百花園(ひゃっかえん)」とその周辺で、石井磬堂(いしいけいどう)、高橋皖山(たかはしかんざん)、鎌田稼堂(かまだかどう)らが研鑽しあい、緻密で優れた意匠の彫漆作品を生み出しました。そして、磬堂の一番弟子となった音丸耕堂(おとまるこうどう)は豊かな色漆を駆使し、大胆なデザインの作品を制作しました。1955(昭和30)年に重要無形文化財「彫漆」保持者に指定された音丸には、後に中島光夫、北岡省三、石原雅員らが師事し、彼らに引き継がれた彫漆技法はその表現の可能性を広げています。また、音丸に続き、翌1956(昭和31)年に重要無形文化財「蒟醤」保持者に認定された磯井如真(いそいじょしん)は、1934(昭和9)年に「工会(たくみかい)」を結成しています。「用即美」を掲げたこのグループには、谷沢不二松(たにざわふじまつ)、岡田章人(おかだあきと)や横山操(よこやまみさお)らが参加しており、如真と共にアール・デコや構成主義の影響を受けたモダンな彫漆作品を、戦前に制作しました。

象谷が考案した彫漆の誕生からおよそ150年、讃岐漆芸における挑戦と魅惑の世界を14作家、34点の作品によりお楽しみください。

展覧会基本情報

会期:
2011年6月16日(木曜日)~2011年8月21日(日曜日)
会場:
高松市美術館
休館日:
月曜日(但し、7月18日(月曜日)は開館。7月19日(火曜日)は休館。)
開館時間:
9時30分~17時(ただし、特別展開催中の火曜日~土曜日・祝日は、19時まで)
※入室はいずれも閉館30分前まで
主催:
高松市美術館
※都合により展示内容を変更する場合があります。
観覧料:
【一般】200円(団体 160円)
【大学生】150円(団体 120円)
【高校生以下】無料
【65歳以上】無料(長寿手帳が必要)
※身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳所持者は入場無料
※共通定期観覧券についてはこちらから
お問い合わせ先:
高松市美術館
電話:087-823-1711
 

関連イベント

 

担当学芸員によるギャラリートーク

開催日時:
2011年7月2日(土曜日) 14時~
会場:
高松市美術館 常設展示室
講師:
当館学芸員
入場料:
無料(ただし展示室への入場料は必要です)
お申込み:
申込不要
 

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