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第5期常設展 幻影の身体―新収蔵作品を中心に/工芸に見る初春

常設展

2011年1月8日(土曜日)~2011年3月27日(日曜日)

【展示室1 幻影の身体―新収蔵作品を中心に】
今回は「身体」をテーマに作品を紹介します。
ここに表現された身体はどれも捉えどころのない、言わば亡霊のようにも思えるものですが、実像と虚像のはざまに揺れ動く現代人にとってきわめてリアルな身体とも言えるでしょう。私たちは等しく死に至るまで、自らの身体から逃れえないものです。この最も身近で重要な自然としての身体は、時代や地域に関わらず、作り手たちにとって汲み尽せないテーマであり続けました。複雑化した現代社会にあってはなおのこと。現代アートにおいては、身体をモチーフに、次々に人間存在の曖昧な姿を問う作家たちが様々に表現を試みています。

たとえば、西村記人が即興的に描いた身体は、パフォーマンス行為を行う自らの残像でもあり、また石原友明本人の裸体像は、不確かな身体をつなぎとめるための刻印とも言えます。マン・レイの写真やレンブラントの名画の中にセルフポートレイトを紛れ込ませた森村泰昌は、身体を使って美術史やテキストの読み換えを行っています。桑久保徹や風能奈々の身体を配した幻想的絵画には得体の知れない情動が醸し出されており、町田久美のそれはシンプルな画面構成ではあるものの、爪という局部の身体と月の満ち影を重ね、バランスを欠いた感情を表現しています。小林孝亘や曽谷朝絵の絵画には身体の実体が全くないものの、食事や入浴の行為から味覚やぬくもりを彷彿させられることでしょう。また、ただ一人物故作家である若林奮の初期デッサン集に見られる、人とモノとのあわいに、哲学的な思索を見る人もいることと思います。
 
【展示室2 工芸に見る初春】
「一年の計は元旦にあり」と言いうように、新年を迎えた1月は厳粛な想いと同時に喜びに包まれます。今年2011年の干支は「兎」。年初めに干支の置物を飾る習慣は、私たち日本人にとって、今以ってポピュラーなことと言えます。

当館では、金工家の香取秀真と北原千鹿による「兎」を所蔵しています。香取のそれは、古来より日本に伝わる伝説「月に住み、餅つきをしている兎」のモダンな造形であり、北原の兎は、代表作《鹿文金彩花瓶》の側面で、草花の中を躍動的に駆けています。この一年が、ファンタスティックで飛躍の年となりますように、と願いを込めて2作品の兎をお届けします。

この時期は暦の上では「春」ではあるものの、まだまだ寒さが厳しい季節です。しかし、2月になると、梅のつぼみがほころび始め、春の気配を感じます。漆芸作品の中にも、自然の美の造形に迫りながら、そうした華やぎの予感が秘められています。

磯井如真の蒟醤技法による端正な梅は、息子の磯井正美では狂おしい芳香を発散させており、また現代工芸の明石朴景の手にかかるとリズムを持った梅文様が春を待ち望むようでもあります。水仙もこの季節のもの。彫漆の技が光る音丸耕堂の水仙は、松尾芭蕉「其のにほひ 桃より白し 水仙花」を思い出すほどに、白漆が巧みに使われています。そして、椿が咲き誇る3月にはいよいよ春の到来を知ることでしょう。芽吹き間近の「落ち椿」に死や儚さを重ね、そこに散り際の美を見い出し、椿を慈しむように造形化しています。兄、音丸に師事した山下楊哉の血肉のように彩られた椿に生命力を感じます。ほかにも太田儔の繊細な仕事に認められるように、柔らかな日差しに満ち溢れた春へと季節が移行する情趣が楽しめます。

展覧会基本情報

会期:
2011年1月8日(土曜日)~2011年3月27日(日曜日)
会場:
高松市美術館
休館日:
月曜日(但し、1月10日(月曜日・祝日)、3月21日(月曜日・祝日)は開館し、1月11日(火曜日)、3月22日(火曜日)が休館)
※2月8日(火曜日)~2月10日(木曜日)の3日間はトイレ工事のため休室です。
開館時間:
9時30分~17時(ただし、特別展開催中の火曜日~土曜日・祝日は、19時まで)
※入室はいずれも閉館30分前まで
主催:
高松市美術館
観覧料:
【一般】200円(団体 160円)
【大学生】150円(団体 120円)
【高校生以下】無料
【65歳以上】無料(長寿手帳が必要)
※身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳所持者は入場無料
※共通定期観覧券についてはこちらから
お問い合わせ先:
高松市美術館
電話:087-823-1711
 

関連イベント

 

担当学芸員によるギャラリートーク

開催日時:
2011年3月5日(土曜日) 14時~
会場:
高松市美術館 2階展示室
入場料:
無料(ただし展示室への入場料は必要です)
お申込み:
申込不要
 

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