2008年3月31日 蒟醤 太田儔展を終えて
約4年の準備期間を経て実現した本展は、平成6年に国の重要無形文化財蒟醤(きんま)保持者(人間国宝)に認定された太田 儔(おおたひとし)の初期から現在に至る代表作66点の漆芸作品を紹介するもので、入場者も5,040人を記録し、出品作品の借用先も東京国立博物館や個人の方を含め全部で20件に及びました。会期中は様々な催しが行われましたがその幾つかをご紹介いたしましょう。
(写真1 中央の羽織袴の人物が太田先生 ⇒)
2月22日(金曜日)午前10時 2階展示ロビーにて
高松市在住の漆芸の人間国宝である磯井 正美(いそい まさみ)先生、大西市長をお招きしての約200名にも及ぶお客様をお招きしてのテープカット。
なかでも二番町小学校の皆さんには、太田先生ご本人による籃胎蒟醤(らんたいきんま)についてのレクチャーがありました。
(写真2 二番丁小学校の児童の皆さんに解説する太田先生 ⇒)
2月23日(土曜日)午後2時~ 企画展示室内にて
前日の疲れも見せず、太田先生は、解説ボランティアcivi(シヴィ)の質問にも懇切丁寧に応対。先生の作品解説に会場に居合わせたお客様も聞き入っていました。
(写真3 自らスケッチを描いて説明する太田先生 ⇒)
2月24日(日曜日)記念講演会「太田 儔の芸術」午後2時~ 美術館講堂にて
展覧会図録にも執筆をお願いした金子 賢治先生(東京国立近代美術館工芸課長)による記念講演会がおこなわれました。
我が国の伝統工芸の歴史や人間国宝の認定制度の説明や太田先生が編み出した布目彫り蒟醤(きんま)の秘密など、画像などを使用しての盛りだくさんの内容による1時間30分の講演に85人の聴衆は聞き入っていました。
(写真4 金子 賢治先生の講演会の様子 ⇒)
3月2日(日曜日)陳列品解説 太田 儔先生 午後2時~ 企画展示室内にて
「午後2時からご本人による列品解説が行われます。」とのアナウンスに集まったお客様は何と200人。
会場に集まったお客様のなかには、太田先生の教え子で人間国宝の小森 邦衛(こもり くにえ)先生や輪島漆芸美術館館長の柳橋 眞先生も。
太田先生はわざわざ自宅から籃胎の組見本や木型などの資料を持参され、終始にこやかに作品一点々丁寧にエピソードもおり込みながら、約1時間30分にわたって解説をおこないました。
(写真5 太田先生御自身による列品解説の様子 ⇒)
3月9日(日曜日) 陳列品解説 大谷 早人先生(香川県指定文化財)
午後2時~ 企画展示室内にて
漆芸家の大谷先生は、太田先生が男木島で教鞭を執られていた時の教え子であり、その後も先生の内弟子として籃胎蒟醤の技法を極められ活躍されています。
太田先生の初期の作品の制作秘話など、大谷先生しか知りえない数々のエピソードを披露され、大変内容の充実したお話をうかがうことができました。
(写真6 大谷 早人先生による列品解説の様子 ⇒)
3月15日(土曜日) 子どものアトリエ 「色を編んで遊ぼう」
講師 高橋 香葉先生(社団法人 日本工芸会正会員)午後2時から3階講座室にて小・中学生を対象に、数種類の短冊状の色紙を使用し、それを交互に編んでゆくことによ って、籃胎の編み方や、色面構成について楽しく学びました。
当初から参加者が多い本講座は、午前、午後2回とも数多くの参加者がありました。
(写真7 まずは、漆についてみんなで勉強 ⇒)
写真8 次に、「太田 儔展」を見学して籃胎について学習
写真9 色紙を短冊状に切り、井桁状に編んでゆくのですが、私にできるかな。
3月16日(日曜日) 陳列品解説 高橋香葉先生(社団法人 日本工芸会正会員)
午後2時~ 企画展示室内にて
前日に引き続いて、高橋先生の列品解説が行われました。先生は太田先生の3人目のお弟子さんであり、現在も修行中とのこと。
先生にとって特に印象の深い作品解説や、太田先生の人間像を交えたお話に、来館者は聞き入っていました。
(写真10 高橋 香葉先生による列品解説の様子 ⇒)