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2007年8月2日 造形集団 海洋堂の軌跡展

2007年8月3日 「フィギュアづくりに挑戦!」 取材記

「造形集団 海洋堂の軌跡展」の関連行事として8月2・3日の2日間にわたって開催した「子どものアトリエ~フィギュアづくりに挑戦!~」。
ちょうど、美術館の博物館実習に参加していた実習生の取材記から、その活動の様子を紹介します。

「フィギュア作りに挑戦!」取材記(小学校高学年~中学生コース)

フィギュアに関心のある19名の子どもたちが、続々と講座室に集まってきました。
また、保護者の方も3名、子どもさんと一緒に活動に参加してくださいました。
ワークショップはまず、田淵 力先生の自己紹介からスタートしました。
先生は、幼少のころからプラモデルの改造を始めたということで、そのフィギュア歴は相当長いようです。
机の上に並べられた作品の数々に、子どもたちも「すご~。」の一言でした。

勤務されている学校を退職される先生の姿を表した『ミニ銅像』シリーズは、人物の特徴をとらえた超リアルな、しかもユーモアたっぷりの作品です。

いよいよ、フィギュア作りの始まりです。
今回は、スカルピーというフィギュア製作用のプラスチック粘土を使います。
この粘土は、細かい表現ができ、長期間放置していても硬化したり変質したりしないという優れもので、プロの方たちも使用している最先端の素材です。
オーブンで焼成し、冷えると堅くなるので、その後、アクリル絵の具で彩色します。
また、一度焼いて堅くした後、さらに粘土を付け足していくということもできるということで、かなりの優れものです。
子どもたちにとっても、初めて出会う素材です。

製作が始まると、世界で一つだけのオリジナルフィギュアづくりにみんな熱中していました。
大好きなアニメのキャラクターを作る子ども。
自分で考えたキャラクター作りに挑戦している子ども。
自分のイメージどおりに立体に表すのはとても難しいようでしたが、田淵先生にアドバイスをいただきながら、問題を一つ一つ解決し、楽しく作品づくりをしていました

【「タヌキ」を作るK君親子】

家から描いてきたアイデアスケッチを前に置き、笑顔でフィギュア作りをしているK君。
「なぜタヌキを選んだの?」という問いかけに、「ボクがタヌキに似てるから・・・。」という明快な答え。
いったいどこが似ているのかと思えば、「おなかが出てるところ!」というかわいい返事。
思わずK君のおなかを見てしまいました。
さすがに作りたいものを決めて、準備もバッチリのK君。
どんどんタヌキを形作っていきます。
まずは、発泡スチロールの芯材に粘土(スカルピー)をつけて「頭部」と「胴体」を作ります。その後はパーツ作りです。
かわいい耳や尻尾、頭の上の木の葉などを一生懸命作っていました。

すてきだなあと感じたのは、お父さんの息子さんへの語りかけです。
「お父さんが手伝ったんではいかんので。自分が作るのがええんや。」じっと息子さんの作る様子を見守りながら、やさしくアドバイスをしていきます。
「人のを見るんが一番の勉強で。自分ひとりでできることは、しとるんやで。」と、人生の先輩としての言葉かけも、本当にすばらしいです。

頭に木の葉をのせ、舌をベロンと出したK君のタヌキ。
力先生のアドバイスで口を開けることで本当に「べ~!」としているような愛らしい表情になりました。
「思った以上にうまくできました。」と満足げな笑顔のK君。
時間が足らなくて、色を塗るのはお家に帰ってからの作業になりましたが、「ここは茶色で、ここは葉っぱだから緑色で・・・・。」と色塗りの計画も頭の中にしっかりできているようです。
「ありがとう。ありがとう。」と、力先生やお父さんに感謝する姿に、こちらまでうれしくなってきました。

【自分の表現を追求し続けるM君】

大切なレアもののカードを持参して、大好きなキャラクターの「宝玉獣 サファイヤ・ペガサス」を作るM君。
黙ってどんどん作っていき、ペガサスの胴体部分はカードそっくりにでき上がりました。
でも、ここで手が止まってしまいました。
大きく広げたペガサスの翼の部分をどう作っていけばいいのか・・・。どうも、うまくいかないのです。
柔らかな粘土だけでは、大きな翼の重みを支えることはできません。さあ、M君、どうする?

しばらく悩んでいたM君。
意を決して力先生のところに行き、自分から相談することができました。
力先生のアドバイスで、方針が決まりました。
まず、でき上がっているペガサスの胴体をオーブンで焼き固めます。
その間に、針金を芯にして大きな翼を作ります。
そして焼き固めた胴体に、しっかりと針金を指し込み、再びオーブンで焼けばでき上がりです。
見通しが立ったM君。
作業開始です。
残り時間は、もうわずかです。
M君の手が忙しく、しかし、正確に動き、どんどん作っていきます。
粘土べらを上手に使い、一枚一枚羽を作っていく集中力とこだわりは、子どもとは思えないほどです。
決して、手抜きや妥協をしないM君のがんばる様子を見ながら、「がんばれ、がんばれ!」と応援しました。


(博物館実習生のレポートから 高松市美術館学芸員 山本 英之 編集)

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