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令和6年12月

更新日:2024年12月1日

「十二月に想う」 あたたかな手

 木枯らしが吹く季節になりました。この季節に海を眺めると、山口誓子の俳句が頭に浮かびます。「海に出て  木枯(こがらし)帰る ところなし」。冬の寂しい風景を思い描いていた私は、のちに、この句が昭和19年11月の作で、特攻隊を悼んで作った句であり、帰ることを許されない特攻隊員が戦時の空に飛び立っていく姿を、帰るところのない木枯らしに重ねていると誓子が解説したということを知りました。淋しさと共に何とも言えない悲しみを感じ、今もこの世界のどこかで、戦禍に苦しんでいる子どもたちがいることに心が痛みます。
 
 さて、本格的に冬を迎え、手袋が欠かせない時期になりましたが、このような時期に皆さんはふと自分の手を眺めることはありませんか。以前、「人間の手で温められないものはない」という言葉を聞いたことがあります。子どもの頃、冬になると夕方にお腹が痛くなることがあった私に、亡き祖母はいつもお腹に手を当てて、何度もゆーっくりと撫でてくれました。手当という言葉がありますが、まさしくそのとおりです。
 
 ところで、小学校で1年間だけ勤務した際に、6年生の卒業文集にこのようなエッセイを載せていました。
 

 
 皆さんの周りには、あなたのあたたかな手を待っている子どもはいませんか?

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