歴史よろず庵   〜 平成13年9月掲載分

   本ページは平成13年9月1日・15日発行の『広報たかまつ』に掲載したものです。


 

       魚尽くし図 〜さかな・魚・サカナ〜

 鯛にイワシに伊勢エビにイカにカニに・・・。数えあげれば、実に約40種の海の生物が描かれています。ギュウギュウとひしめきあって、見るからに窮屈そうです。
 ひとつひとつの魚介類に注目していくと、鯛やシャコ、アイナメやカサゴなど、おなじみの顔ぶれと、独特の甲羅をもつ平家ガニの姿も見え、その多くは瀬戸内海に生息する生物たちであることがわかってきます。  しかし、さらに画面を観察すると、明らかに瀬戸内海には、いるはずのない生物たちも描かれています。アユや鯉などの淡水魚や、ホッケや鮭などの北方に生息する魚たちです。なんの違和感もなく、漫画チックな眼をクリクリさせて紛れこんでいるのがなんともユニークです。
 本図のように、ひとつのモチーフを多種類とりまぜて、まるで群れをなしているかのように描くことは、江戸時代にひとつの絵画表現として定着しました。蝶や馬、鶏など多くの作例があります。本図もこの趣向に基づくもので、魚介類の様々な姿態に画人の絵心がくすぐられたのでしょう。
 作者は、大西雪渓(せっけい/1813〜1890)で、高松藩領那珂郡郡家村(現在の丸亀市郡家町)に生まれ、京都で絵を学びました。本図のほかにも、熊や狐などを描いた屏風や、白象が主題の掛軸などを残しています。

 
 
魚尽くし図(全体および部分)

平成13年9月1日掲載



 

       高松張り子・嫁入り人形 〜デコさん、いたァ〜

 みなさん、高松張り子をご存知ですか。「もちろん、知ってるよ」とおっしゃる人も多いでしょう。しかしながら郷土玩具界において、四国の代表選手ともいえる位置にいる玩具だということまではご存知ないのではないでしょうか。
 高松張り子の中でも全国的に有名なものに、オマキ伝説にちなんほうこうさん」がありますが、今回はそれとは別に「嫁入り人形」と呼ばれる縁起物の人形たちを紹介したいと思います。
 高松市では、古くから嫁入りの際にあいさつを兼ねて、近所に人形を配るという風習がありました。当時はあちこちで「デコさん、いたァ(人形をちょうだい)」という子どもたちの姿が見られたそうです。このときに配られた人形が「嫁入り人形」です。
 もともとは土人形で、京都の伏見人形に影響を受けたといわれています。白い犬が鯛を持った狆鯛(ちんたい)は、犬の子だくさんにちなんでおり、子孫繁栄を願う心が込められています。
 現在では、このような婚礼の習慣は途絶えてしまいましたが、この嫁入り人形は、手づくりの素朴な味わいに、昔ながらの伝統が息づいており、当時の高松の人たちの暮らしを今に伝える貴重な資料です。

デコ人形達

平成13年9月15日掲載


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