歴史よろず庵   〜 平成15年4月掲載分

   本ページは平成15年4月15日発行の『広報たかまつ』に掲載したものです。


 

    だいもつのうらかいていのず
    大物之浦海底之図

作者の歌川国芳(うたがわくによし/1797〜1861)は,江戸後期の浮世絵師で,「武者絵の国芳」と呼ばれ,武者絵の他にも洋風の陰影法を取り入れたユーモアあふれる戯画(ぎが)・風刺画などの作品があり,豊かなアイディアとバイタリティーを持ち合わせた絵師でした。
この図に描かれている武者・平知盛(とももり)は,平清盛(きよもり)の子で武勇の将として有名です。
その最後は,江戸時代の謡曲(ようきょく)「碇潜(いかりずき)」や浄瑠璃「義経千本桜」によると,寿永4年(1185)3月の長門国壇の浦合戦において,大碇(おおいかり)を抱いて入水するという勇壮なものであったということです。
本図は,それを題材に取り上げ,海底を想定して描かれています。知盛のまわりには負傷した平氏の武士たちがひかえており,図中左には,甲羅に人面のある平家蟹が,平氏の無念をのせてどこまでも連なり,平氏の怨念のすざましさをみせています。平家蟹のほかにも,タコやエビ,フグなどその他の魚類が巧みに描かれており,国芳が多く制作した魚類の絵を,彷彿(ほうふつ)とさせるものがあります。

大物之浦海底之図

平成15年4月15日掲載


下記をクリックすれば前月か翌月に移れます。

前月の頁へ       翌月の頁へ