高松の方言  【と】の項


言葉内容

といあけ(仏事)

七七忌(四十九日)の法事。死後四十九日の法事がすめば,葬儀はすべて終わったとみるのが常識とされている。そこで七七忌を,「忌明け(きあけ)」,または,「とむらい(葬)あけ」といっている。そのなまりであろう。

どいな

どんな・どういう。大阪では,「どないな。」という。
例 「どいな気持ちや(どういう気持ですか)。」

といやばり

番傘(ばんがさ)。粗製の雨がさ。「一夜張(ひとよば)り」のなまり。一説には,仕入れ先の問屋の印(しるし)の入った番がさを借りた者たちが,それを「問屋張り」と呼んだのを,なまって伝えたともいう。

とうかいや(職業)

便利屋・メッセンジャーボーイのような仕事を持つ人。語源は,江戸時代から明治の初めにかけて,まだ物資の交流が盛んでなかった頃,旅人や荷物を載せて,大阪・門司間(瀬戸内海)を往復した回船(かいせん)を「渡海造(とうかいづくり)」といい,俗に,「渡海屋(とうかいや)」と呼んだ。
この船は,高松など沿岸寄港地の便利な交通機関であり,また簡易な荷物の託送機関でもあった。それから生まれた言葉である。
ところが,いっぽう,陸地でも交通不便な僻(へき)地には,町や港へ買いものなどの用達(ようたし)に行くことを,一種の商売としている者があって,同じく「とうかいや」と呼ばれた。しかし,これは,海を渡って行くのでないから,呼び名は変らないが,実は,「遠使(とおつかい)」のなまりか,「遠買いや」であろうといわれている。

どうじわい

強情(ごうじょう)。「ど,じわ(強)い」のなまり。「どじわい」は,いちじるしくしぶといという意味。

どうぞや

どうぞ。接尾語の「や」は,意味をもたない。

どうやぶり

祭の行事が終わって催す慰労会。「どう」は「労」のなまり,「破(やぶ)り」は「発散させる」という意味。「ろうやぶり」ともいう。

とおさんばう(遊戯)

通行止め。子どもたちの遊びの一種。別に「とおさんばり」ともいう。東京では,「とおせんぼう」という。

とおる

浸透する。高松では,酒の燗(かん)が「透(とお)る」という。東京では,お燗が「付(つ)く」という。

とかき(動物)

「とかげ」のなまり。

どきる

鋭利な刃物などの切っ先。「磨(と)ぎる」,または,「尖(とが)る」のなまりであろう。

どくれる

怒る・すねる。ムッとして,口も利かないということ。「怒(ど)くれる」であろう。東京では,「膨(ふく)れる」,または,「腫(ふく)れる」と,顔をふくらませた状態をいう。

どくろう(人体)

あたま。頭蓋骨(ずがいこつ)の別称「髑髏(どくろ)」のなまり。

どしたんかいな

どうしたのですか。「どしたん」は「どうしたの」という質問語,「かいな」は「ですか」と,重ねての確かめである。

どしょうぼね

性根(しょうね)・根性(こんじょう)・精神。「奴性骨(どしょうぼね)」のこと。大阪では「どしょうっぼね」と,強めていう。

どせる

落ちる。「どせた」といえば,落ちたこと。接頭語の「ど」は,どさり,どさん,どすん,どたりなど,物が落ちたり投げ出されたりするときの擬音語。その擬音語に「せる」「せた」をつけて,動詞化したものであろう。

どだい

もともと。「元来(がんらい)」「根本(こんぽん)」などの意味にも通わせている。「土台(どだい)」が語源であろうといわれていて,大阪からの移入語。

どたま(人体)

あたま。「あ」を「ど」に変化させた言葉。大阪言葉の移り。

どづく

(なぐ)る。大阪言葉の移り。「ど突く」,相手に激しく制裁を加える意。関東では「どやす」「どやしつける」。

どっかしゃん

「どこかしら」のなまり。

とっしょり(人称)

老人。「年寄り」のなまり。

どなんしても

「どうしても」のなまり。
例 「この勝負,どなんしても,勝ってみせる。」

とびすけ

落ちつきのない人。「飛び助」,つまり,あわて者のこと。

とびつ

米びつ。「唐櫃(とうびつ)」のなまりといわれている。

どびんこ(鳥類)

スズメの子。土瓶(どびん)の小さいのに,形も色もよく似ているので,この名が生まれたといわれるが,カエルやウサギの生まれたても同じ名で呼ぶ者がいる。

どぶづけ(食べ物)

糠漬(ぬかづ)け。「溝(どぶ)漬け」,つまり,状態から生まれた言葉。東京では,糠味噌(ぬかみそ)漬けという。

とぼす

「灯(とも)す」のなまり。

とぼすけ

ぼんやりしている人・知らぬ顔をする人・とぼけている人。「呆助(とぼすけ)」であろう。

とまこ(動物)

いたち(鼬)。道を魔もののように横切るので,俗に,「途魔子(とまこ)」という説がある。はっきりしない。

とろい

(のろ)い。そのなまり。関東では「のろま」「愚図(ぐず)」などという。

どんがん(爬類虫)

すっぽん。西讃では「どんがめ」という。すっぽんは,俗に,獲物に食いついたら雷(かみなり)の鳴るまで放さないといわれているほど,貪欲(どんよく)な動物で,そこから「どんらん」に通じる,「どんがん」が生まれたり,「貪亀(どんがめ)」の名がでたのではないかと思われる。

どんくそ

気が利かない・不器用。「鈍(どん)くそ」は,それをさげすんだ言葉である。東京での「のろま」。

どんけつ

最終・最後・殿(しんが)り・ビリ。「どん」も,「けつ」も,一番あとのこと。東京では「どん尻(じり)」という。

どんじょう(魚類)

「どじょう」のなまり。

どんど

川の水ぎわ・滝つぼ。水の流れるさま,落ちる音の形容。

どんどろさん(気象)

(かみなり)。幼児語。雷鳴のとどろくさまを形容して,「どんどろ」と呼んだものであろう。

どんならん

困った・仕方がない。どうにもならないということ。そこから生まれた諦(あきら)めの言葉。

どんぶくろ

衣服の隠(かく)しポケット。「丼袋(どんぶりぶくろ)」のつづまり。関東では,腹掛(はらがけ)のかくしを「どんぶり」といっている。

とんぼ

駈落(かけお)ち・夜逃げ。「逃亡(とうぼう)」のなまり。

とんまえる

捕える。「とらまえる」のなまり。

とんりやげ

整頓(せいとん)・片付ける。別に「とりあげ」ともいっており,散らばっているものを,「とりあげる」ということであろう。



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第20項
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