高松の方言  【な】の項


言  葉内       容

ながせ(気象)

入梅(にゅうばい)。昔から梅雨(つゆ)の走りを「卯の花くさ(腐)し」といい,五月雨(梅雨)を「さ乱(みだ)れ」というように,長く降りつづく憂鬱(ゆううつ)なつゆ空には,身も心もまったく暗くなる思いで,物みな「流れさる」といった感じが,この「流(なが)せ」の言葉を生んだのではなかろうかといわれている。讃岐には,なかなか風流人が多い。

ながたん

包丁(ほうちょう)。昔,調理用の刃物に「菜切り包丁」というのがあったが,それを略して「菜刀(ながたな)」といった。多分,そのなまりであろう。

ながふろう(野菜類)

じゅうろくささげ(十六大角豆)。「なが」は「長い」,「ふろ」は「豆」の意味。

なきじび

泣き虫。幼児対称語。泣く児の意。

なげいれ(風習)

見合いの後,男性の方から相手の女性側に,仲人(なこうど)を通じて,承諾の意志表示を行なうこと。それを「なげいれ」といい,内諾のしるしとして,金一封を贈るのがならわしであった。しかし,今では行なわれない。なお,これは結納金とは違う。

なさんせ

しなさい。「なさいませ」である。

なしんになる

紛失する・見えなくなる。「無しになる」のなまり。

なにいうか

なにを言うのか。相手を見下した粗暴な放言で,東京下町での,「なに,いってやぁがる」に当たる。

なにしい

とんでもない。大阪の「めっそうもない」「どうして,なかなか」などに通じている。

なにやい

なにかと。「なにや,かやと」のつづまり。

なにんせん

とにかく。「何(なに)にしても」の略語。

なもず(魚類)

「鯰(なまず)」のなまり。

ならいでか

物ごとの成否を問われたとき,もし自信があれば,「成(な)らいで,どうしましょう。」と,答えるだろう。そしてさらに,「きっと成功させてみせます。」という。そのように,自信のほどを裏書きする含みを持たせたのが,この言葉である。

ならし(家具)

衣紋掛(えもんかけ)・衣紋竹(えもんだけ)。洋服かけ(ハンガー)のようなもので,和服の着ぐせを直すために用いる。おそらく,「直(なお)し」のなまりであろう。

なりきもの(植物)

(み)のなる木。果樹類の総称。「なり木もの」といったものであろう。

なりてん(植物)

「南天(なんてん)」のなまり。

なんちゃ

何も・全く。後に否定語を伴う。
例 「なんちゃせんで,ええでぇ(何もしなくていいですよ)。」

なんな

「なんですか」の反問詞。何(なに)かなの意味。

なんば(植物)

無花果(いちじく)。原産地は,南蛮(なんばん)であろうという考え方から,「なんばん」の名が生まれ,その接尾語の「ん」が省略されたものであろう。

なんばきび(穀物)

とうもろこし(玉蜀黍)。「南蛮黍(なんばんきび)」のなまり。なお,東讃地方では,高麗黍(こうらいきび)とも呼んでいる。いずれも原産地が外国であるという意味であろう。



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第21項
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