高松の方言  【か】の項


言  葉内       容

かぁらむし(昆虫)

ヤスデ(馬陸)。「瓦虫(かわらむし)」のなまり。つまり,こわれた瓦や石などの間を好んで棲息する意味だろう。

がい

幼児・赤ちゃん。乳のみ児の意味。

かいがい

こうたい(交代・更代・交替)。いれかわる,代替(だいがえ),または,「交互のたがいちがい」の略語であろう。

がいげ

恐ろしいげ。「害ありげな」という危ぶみから,それを恐ろしく感じるということだろう。よくわからない。

かいさま

逆さま。変えざま,事態を逆転する,ということでなかろうか。

かいしょ

分別(ふんべつ)。「甲斐性(かいしょう)」のなまりであろう。

かいていた

(かつ)いでください。「かいて」は「かついで」,「いた」は「ください」。

かいこと

交換。子ども用語。「替えごと」のなまり。

がいに

たいそう・ずいぶん・すばらしく・めずらしく・思いのほか。語源不明。一説には,「意外(いがい)」の「い」が省略されたものだろうといわれている。
例 「がいに大きい(すばらしく大きい)。」

かいのう

「そうですか」の「ですか」に相当する言葉。
例 「そう,かいのう」

かいほり(年中行事)

潮干狩(しおひがり)。「貝掘り」の意味である。

かきまぜ(主食物)

五目寿司(ごもくずし)・炊(た)きこみずし。味つけ食品をご飯の中にいれて,「かき混ぜる」ことから生まれた。

かけりあい

競走。子ども用語。「駆(か)けり合い」の意味。東京の「かけっこ」。

がさがさ

おとなしくない・粗暴な。「がさつ」の「がさ」を重ねたらしい。

かざむ

においを嗅(か)ぐ。「かざ」は「香」の意,それに「む」を加えて,動詞化したもの。

かじわら

「軽業(かるわざ)」のなまり。

かすかす

ぎりぎり・すれすれ。「微(かす)(かす)」,つまり,きわめて少ないということであろう。

かたから

始めから・まったく。東京で,「頭から信用しない」ということに対し,「肩から」というのではないかと説明するものもあるが,納得できない。

かたぐ

(にな)う・かつぐ。

かたっか

強情(ごうじょう)・片意地・偏屈(へんくつ)・がんこ。「頑(かたく)な」のなまり。

かたけ

全部・すべて・まとめて・いっしょに。「固(かた)めて」が変化したものであろう。

かたし(人体)

片足。そのなまり。

かたなげ(衣服)

肩あげ。そのなまり。なお,「肩あげ」は,子どもの和服の裄(ゆき)の長さを,適当に肩へぬいあげておくもの。

がち

くちいやしい。つまり,食い意地の張ったこと。仏教からきた言葉の「餓鬼(がき)」が語源であろう。

かった

借りた。関西一般の共通語。対語の「買った」は,「買(こ)うた」という。

かっちり

けち(吝)。一般俗語の「ちゃっかり」が,変化したものではなかろうか。

かなやま

魚の旬(しゅん)。今の坂出市金山(かなやま)沖の漁場は,昔,鯛(金山鯛)の産地として知られ,四〜五月が”魚じま”の最盛期で,それを「かなやま」といった。

かばち

むだぐち・おしゃべり・口達者。口の意称を「くばち」というので,そこからでた言葉と思われるが,はっきりしたことはわからない。

かぶろ

おかっぱ頭。少女の髪の形の名で,昔の,「禿(かむろ)」のなまり。

かまいなさんせ

おかまいくださるな。「なさんせ」は,「なさるな」ということ。

かまとこ(住居)

台所。「かま(竈)どころ」の略語。別に「釜場(かまば)」ともいう。

かまびしい

貧しい。「釜場(台所)寂しい」がつづまったものだろうという説もあるが,はっきりした語源はつかめない。

かみわけ

聞き分け・判断。ものごとの善し悪しを「噛(か)みわける」ということであろう。

かめん

食えない。「噛(か)めん」は「歯が立たないこと」。したがって「食えぬ」わけである。
例 「かめんやっちゃ(食えないやつだ)。」

かやす

「返えす」のなまり。
例 「借(か)ったものだからかやす(借りたものだから返す)。」

かやる

倒(たお)れる。「かえる」のなまり。関東では「ひっくりかえる」。

かやる

(たまごが)か(孵)える。そのなまり。

からかす

(植物を)枯らす。そのなまり。

がらくた(農地)

水のたまりぐあいの悪い水田。「がれきだ(瓦礫田)」が「がらくた」になったのだろう。

からけし(燃料)

消し炭。空(から)消しの意味。

がらたち(植物)

からたち(枳殻)。そのなまり。「からたち」は,唐橘(からたちばな)の略称で,別名さるとりいばら,わさんきらい(和山帰来)ともいわれる。

からつ(焼物)

陶磁器の総称。唐津物(からつもの)の略。有田焼の移出港,肥前唐津の地名が,焼き物の名に転じたもの。東京で陶磁器のことを「瀬戸物(尾張瀬戸の地名)」というのと同じ。

からに

〜ては。
例 「こないに,がいにもろうてからに(こんなに,たくさんいただいては)。」

からんぼつ

なにもない。「空(から)っぽ」ということ。

かりこうし(動物)

季節的(農繁期)に,阿波(徳島県)の山村から讃岐の農家が借りいれた「耕牛」。ふつう,「借耕牛(かりこうし)」とよんでいた。
もっとも,今日,「借耕牛」を使用する農家はなくなった。「こっというし」の項を見よ。

かわくろし

のどの乾くさま。女性用語「かわき,苦し」のつづまったのであろう。

かわして

合わせて。
例 「誘いかわせて」

がん

だけ・とこ・ぎり。
例 「百円がん,いた(百円だけ,ください)。」

かんご

癇癪(かんしゃく)持ち・理屈(りくつ)や。「かんご(癇子)」は怒りっぽい性質の子どものこと。

かんぎょう

丈夫(じょうぶ)・堅牢(けんろう)。「頑丈(がんじょう)」のなまり。

がんぎょう(住居)

家の構え。家の間取りや外形などを総称して,「間形(かんぎょう)」といったのか,単に「家形(かぎょう)」というのがなまったのか,よくわからない。

かんころ(加工野菜)

蒸して,切って,干したサツマイモ。「かんころいも(干枯露藷)」の略。

がんじき(農具)

熊手(くまで)。雁(がん)が,ななめ一文字になって飛ぶさまを「雁字」といい,その形になぞらえたことば「雁字器」だろうといわれている。

かんすず

燗徳利(かんどっくり)。錫(すず)製の酒かんを呼んだものであろう。

がんばつ

水の「泡立つ」さま。水田へ水を引き入れるとき,わずかの落差でも水が泡立つことがあり,そのような状態を「かんぶつ(灌沸)」といったのが,なまったのだろう。

かんまん

かまわぬ。その音便化。大阪では「かましまへん」という。

かんりやく

倹約(けんやく)。つつましやかなことを「簡略(かんりゃく)」というので,おそらくその意味であろう。



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第06項
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