高松の方言  【い】の項


言葉内容

いいさがす

いいふらす。「さがす」は「騒(さわ)がす」で,「他人の悪口などをふれまわる」という意味であろう。

いいそむ

言いなれる。「いい染(そ)む」,「いい馴染(なじ)む」ことであろう。

いいもって

言いながら・話しながら。「言いもって」ということ。

いか(玩具)

(たこ)。別名「烏賊幟(いかのぼり)」の略。

いかき(家具)

台所用品の味噌漉(みそこし)・笊(ざる)。昔は,笊籬とかいて,「いかき」と読ませた。

いかない

「いけない」のなまり。「け」が「か」に転じたもの。

いかなご(魚類)

いかなごは近海産の小魚で,魚体は細長く,ごく小さなうちは白みがかっているが,大きくなると淡く青味をおびてくる。瀬戸内海が産地として知られている。

いがめる

曲げること。「いがみ」ともいう。おそらく,「歪(ゆが)み」のなまりであろう。

いがりごえ

(しわが)れ声。語源は,「怒(いか)り声」のなまりだろうといわれているが,よくわからない。

いかんぜ

いけませんよ。「いかん」の下の「ぜ」は,ダメ押しの接尾語らしい。

いかんのなぁ

い(行)きませんか。問いかけの言葉。「いかんで(ぜ)。」と,返ってきたら,「いきませんよ。」となる。

いぎ(農具)

竹で縮んだ,荒目の籠(かご)。野菜などの採集や,入れ物に用いる農具。

いきき

往復。「行き来(き)」のなまり。

いきしな

行きさがけ・出がけ。この言葉の中には,「そのついでに」「途中で」などの意味もふくまれている。

いきしもどり

行き帰り。「いきもどり」のなまり。「行く時も帰える時も」という表現である。

いきすぎ

生意気(なまいき)・出しゃばり・お先走り・伊達者(だてもの)・気どりや・おしゃれ。いろいろな意味をもっている。つまり,「意気過ぎ」たり,「粋(い)きすぎ」たりすると,とかく他人から非難されるというわけであろうか。

いきずむ

(いき)む。そのなまりであろうが,一説には,「息弾(いきはず)む」の略語だともいわれている。

いきません

いけません。「け」が「き」になまったもの。

いぐい

えぐい。味覚の言葉。なかには「いごい」というものもあり,関東の「えごい」と同義。

いくもんな

いけない。相手を軽くいましめるときに使うことば。大阪言葉の「あかんが」「あきまへんが」と同意。
例 「そんな無茶いうたら,いくもんな。」

いくんなあ

行くのですか。「おいでになりますか。」という質問語。

いけん,けん

行けないから。「いけん」は「行けない」,「けん」は「から」に通じさせているもの。
例 「いけん,けん,よういうて(行けないから,よろしく伝えて)。」

いごく

(うご)く。「う」が「い」になまったもの。

いこる

火が熾(おこ)る・火がおきる。そのなまりで,「おこす」という場合は,「いこす」といっている。

いずみ

井戸。地下からわき出す水というので,「泉(いずみ)」と呼んだものであろう。

いた

ください。子ども用語。「いただきます」をつづめたもの。東京では「頂戴(ちょうだい)」という。

いたい

熱い。火気や熱湯が直接肌にふれたとき,反射的に発する言葉で,普通なら「熱いっ」というところを,飛躍して「痛いっ」とさけぶ強調語であろう。

いたずり(植物)

いたどり。そのなまり。

いただきさん(職業)

鮮魚の行商人。昔,漁師の妻などが鮮魚を入れたはんぼ(たらいの形をしたもの,盤台)を頭の上にいただき,市中を売り歩いたことから生まれた愛称である。
今も,横付け自転車などに魚を乗せて,市中を行商している女性がいるが,「いただきさん」の呼び名は変わらない。

いちりんだま(菓子)

あめだま。昔,直径1.5センチ位のあめだま1個の値段が,1厘(1円の千分の一)であった。そこから,「一厘玉」のことばが生まれたものであろう。

いっきょる

行く・行きつつある。
例 「早(はよ)うこんか。」に答えて,「いま,いっきょる。」という。

いっけ(人称)

親類。一族一家の「いっか」がなまったものであろう。

いっしゃ(職業)

石工・石屋。そのなまりであろう。

いったち(動物)

いたち。そのなまり。

いっぺんがい

交替・交代・交互。「一遍替(いっぺんが)え」とは,一度づつで代わり合うことであろう。

いっちょ

一番・一度・一遍(いっペん)。「いっちょ(一丁)」のなまり。

いつもよときも

たえず・始終(しじゅう)。「何時(いつ)も,夜刻(よとき)も」であろう。

いでる

(ゆで)る。そのなまり。

いといとと

丹念・丁寧。「いちいち」のなまり。「一つ一つ心をこめて」「たんねんに」「丁寧に」ということだろうといわれているが,はっきりわからない。

いとさん(人称)

お嬢さん。大阪言葉の「いとはん」と同義で,「いと」は「いとしご(愛娘)」の略,「さん」は敬称。高松では,姉娘を「いとさん」,妹娘を「こいさん」と呼んでいる。「こいとさん」の接頭語は,小さいという意味である。

いととる

臨終。「息(いき)を引きとる」がつづまったものと考えられる。

いとより(魚類)

「糸撚鯛(いとよりだい)」の略。この魚の別名は,「金糸魚」「紅魚」「いとうお」「いとくりうお」などとも呼ばれ,高松地方では,初夏の頃,この幼魚を焼いて酢にひたし,骨つきのまま食べる。

いとんなる

痛くなる。「いと(痛)うなる」がなまったものらしい。

いなされる

帰される。「い(去)なされる」である。

いなんのな

帰りませんか。「い(去)なん」は「帰ろう」,「のな」の接尾語は「か」の意志表示。

いにおる

帰っていく。「いに」は「去って」,「おる」は「行く」こと。「いにおった。」といえば「帰っていった。」となる。

いにしな

帰りがけ。「しな」は「際(きわ)」のこと。

いのう

帰ろう。「い(去)のう」である。

いぬ

帰ること。古語の「い(去)ぬ」を伝えたもの。だから地方語とはいえない。

いまき(衣服)

女性専用の湯巻(ゆまき)のなまり。関東では,「腰巻」という。

いむ

埋める。「いこむ」ともいう。「埋(う)む」の「う」が「い」になまったもの。「いこむ」は,「埋めこ(込)む」ことであろう。

いややわ

(いや)だわ。若い女性間に使われる否定語である。「やわ」は「だわ」の転語。

いよ(魚類)

(さかな)。古語の「いお」,標準語の「うお」のどれかがなまったもの。

いよいよか

ほんとう(真実)か。語源はよくわからないが,一説に「愈愈(いよいよ)か」と,念(ねん)を押すことだろうという。

いよりま

言っています。大阪言葉の「いいよりま」に同じ。「言いおります」の,接尾語が省かれたものである。

いらず

食油の総称。ゴマ,大豆,菜種などの油をいう。

いりあい

(や)り取り・贈ったりもらったりすること。「納(い)れあい」のなまりらしい。
例 「いりあいは,よしにしょう(やりとりは,やめよう)。」

いりいっとる

充実している・精通している・抜け目がない・勘定高い。すき間なく,入っていること。「容(い)り,いっとる」といったものではないかといわれている。

いりがぁら

焙烙(ほうろく)。「焙(い)り瓦(がわら)(土器)」という意味であろう。

いろう

もてあそぶ。ふれる・さわる・使う・用いるにも通じさせている。大阪では「いらう」,東京では「いじる」。

いんじゅ(職業)

お寺の住職。「院主」の意味であろう。

いんできよる

帰って来る。「いんで」は「家に帰って」,「きよる」は「来る」こと。

いんにょる

帰って行く。「いんに」は「い(去)に」,「よる」は「つつある」こと。その状態を現わした言葉である。

いんねん

由来・由緒(ゆいしょ)。「因縁(いんえん)」のなまりであろう。

いんま

(いま)。そのなまり。
例 「いんましがた(いましがた)」



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第02項
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