高松の方言  【あ】の項


言  葉内       容

あいさ

間。 暇ができたときを「合間(あいま)」というので,その接尾語の「ま」が「さ」に変化したものと思われる。
例 「次の仕事までちょっとあいさがあるけん,一休みしよう。」

あいだこ

(あいだ)。「こ」は接尾語で,意味がない。

あおとん(植物)

青唐辛子(あおとうがらし)。「あお」はその色,「とん」は「とんがらし(俗語)」の省略語。

おおぬく

仰向(あおむ))く。「む」が「ぬ」になったものである。

あかい

「明(あか))るい」のなまり。
例 「夏の朝は,四時でも,もうあかい。」

あがりたて(住居)

家のあがりぐち・あがりばな(端)。「あがり始め」という意味であろう。

あくたむ

当惑する・こまる・苦労する。「飽(あ)き」「痛(いた)む」の二語連用がなまったものという説もあるが,はっきりしたことはわからない。
例 「毎日,おなじことを繰りかえしていると,あくたむする。」

あげと(人体)

(あご)。あごの別名「あぎと」がなまったものらしい。

あげもの(副食物)

高松でいう揚げものは,ふつう,魚や野菜類に小麦粉をとかしてまぶし,それを食油であげたものを指す。東京では野菜のあげたものを「精進揚(しょうじんあ)げ」,魚のあげたものを「天麩羅(てんぷら)」といって,それぞれ区別している。なお,高松のてんぷらは,東京では薩摩揚(さつまあ)げという。

あさじ(仏事)

浄土真宗でいう「晨朝勤行(しんちょごんぎょ)」を,一般信徒は「あさじ」とよんでいる。朝のおつとめなので,「朝事(あさじ)」または「朝仕(あさじ)」であろう。

あさぢゃ(食事)

農家の朝ご飯。朝茶飯(あさぢゃめし)の略。茶飯は「茶漬け」のこと。朝早く野良仕事にでる農民たちには,朝が忙(いそが)しいので,できるだけ食事を簡略にするのが習慣となっていた。

あざな

あだな。ニックネームのこと。「だ」が「ざ」になまったもの。ふつう「字(あざな)」といえば,中国ふうにならってつけた,実名以外の名(多くは音読みにする)である。

あさぶら

「麻裏草履(あさうらぞうり)」の略語。「う」が「ぶ」になまったもの。このぞうりは,い草で作った表(おもて)のうらに,平編みの麻(あさ)ひもをぬいつけ,かかとには板金が打ち付けてある。歩くと,チャラチャラ音がした。江戸から明治時代の流行品。

あざま

粗雑・ていねいでない。みにくいさまの「悪態(あしざま)」か,あらっぽいさまの「荒態(あらざま)」かがなまったものと思われるが,はっきりしない。

あしらう

ご養生・ご静養・ご大切・お大事。もてなすことの「遇(あし)らう」が語源と考える。

あじわるげ

あと味が悪い・気味が悪い。「味悪気(あじわるげ)」の意味でなかろうか。

あずきのごはん(主食品)

普通の米にあずきを混ぜてたいたもの。高松付近では「赤飯(せきはん)」ともよんでいる。なお,もち米を用いたものは,「こわめし(強飯)」という。東京では,「赤飯」といえば「こわめし」のこと。「あずきごはん」は「あかのご飯」という。

あずない

幼稚な。「あどけない」がつづまったものであろう。

あずる

困る・悩む・もてあます。「てこずると」と同義だが,語源は明らかでない。

あせじっぽり

汗にぬれた状態。「汗しっぽり」,「汗しっとり」の意味であろう。

あぜまめ(植物)

大豆(だいず)。田の「畦(あぜ)に植えてできた豆」という意味であろう。

あちゃ

「あちら(彼方)」のなまり。関東では「あっち」といっている。

あちゃこちゃ

反対。「あちらがこちらになり,こちらがあちらになる」ということ。関東の「あべこべ」に同じ。別に「へなごにゃ」ともいう。

あつかまし

やかましい・うるさい。「暑(あつ)(かま)しい」に語源をもとめるものがあるが,はっきりしない。

あっちゃ

驚いたときにいう言葉。非常に強い意味の表現でなく,女性が用いる,「あらっ」といった程度のものである。

あつけ(病気)

日射病。「暑気(あつけ)あたり」の意味。関東では「霍乱(かくらん)」という。

あったけ

全部・みんな。「有丈(ありだ)け」のなまり。共通的には「あるだけ」。関東では「あるったけ」という。

あっさり

淡白(たんぱく)・さっぱり。
例 「あの人はあっさり≠オとる。」

あっぱがお

あっけにとられた顔つき。「あっけがお」がなまったものらしい。

あとには

この間は・先日は・先ごろは・その節は。過ぎ去った後(あと)を指して,「あのときには」というが,その略語であろう。

あとへん

手遅れ・後手(ごて)・あとでは間にあわぬ。「跡(あと)」「おえん」がつづまったものらしい。「おえん」は,らちがあかないこと。

あななん

あのようなもの。全国共通語の「あんなもの」と同義。関連語として,「そななん(そのようなもの)」「こななん(このようなもの)」「どななん(どのようなもの)」などがあげられる。

あなに

あのように。大阪言葉の「あないに」,東京言葉の「あんなに」と共通するものである。

あんなにしょる

あのようなことをしている。関東の「あんなことを,してやぁがる」に通じる。

あなんぽつ

穴。「ん」は「あな」の助詞,「ぽつ」はそれを形容した言葉といわれている。関東では,「あなぽこ」という。

あのこ(対人語)

あの人・あの方。自分と同じ年頃から年長者に対してまで,「あのこ」と呼んでいる。女性の間で多く使われる言葉である。

あばかん

こぼれる・あふれる。「あばける」ともいう。「溢(あふ)れる」のなまりであろう。
例 「容れ物がいっぱいで,あばける。」

あぶせる

浴びせる。そのなまり。

あぶりこ

餅網(もちあみ)。「焙(あぶ)り」は「火にあぶる」という意味。「こ」は接尾語。

あほくらい

ばかもの。「お前はバカか」の反語。「あほうかい」がなまったものか,「あほう食らえ(バカをいうな)」がつづまったものか,よくわからない。

あほげ

ばからしい。「あほうげ」の略語であろう。

あほたれ

ばかやろう(野郎)。「あほう垂(た)れ」のなまり。

あまえな

ふざけるな。「甘(あま)くみるな」のつづまったものであろう。

あまちこい

しつこすぎる甘さ。「あましつこい」のなまりらしい。

あまんじゃこ

へそまがり・わざと反対する者・自分勝手。「あまのざこ(天邪鬼)」のなまり。東京では「あまんじゃく」という。 

あらしこ

重労働。「荒仕事」のなまり。

ありまち

ありあわせ。身近なもので間にあわせるということ。「ありあわせ」「持ちあわせ」の二語を重ねて,略したものといわれる。

ありますんじゃ

あるのです。接尾語の「んじゃ」は,「あります」を強調したもの。

ありゃ

軽い驚きの言葉。女性用語の「あらっ」に対照されている。

ありよる

やっている・行なっている。別語の「やりよる」と同義。
例 「いま,会議がありよる。」

あるっきょる

歩いている。「歩き居(お)る」のなまり。

あれもくる

荒れくるう。「荒れ巻(ま))くる」のなまり。

あわてもくる

あわてふためく・大あわてにあわてる。「慌(あわ)てまくる」のなまり。

あんき

気楽(きらく)。「安気(あんき)」の意味。

あんきぁまり

気楽な人・財産家。「あんきまる」ともいう。つまり,「安気さが余る」という意味であろうか。

あんじょ

具合・工合(ぐあい)よく・適当に。「安定(あんじょう)」のなまりとされ,大阪言葉に同じ。

あんだいな

気がかりな・不安な・自信がない。ものごとを「案(あん)じる」という気持ちの表現だが,はっきりした語源はつかめない。

あんた(対人語)

貴方(あなた)。妻が夫に対していう場合は全国共通語となるが,高松周辺では,おもに未婚の女性の間で使われている。

あんたく

あんたのお宅。「あんた」は「あなた」,「く」は「宅(たく)」の略である。

あんだら

むだ・無益。「あんだらぐち」といえばむだ口のこと。語源は明らかでない。

あんにゃん(人称)

兄さん。大阪言葉の「あにやん」のなまったものであろう。

あんばい

加減(かげん)・病気の容体・調子(ちょうし)。語源は「塩梅(あんばい)」で,全国共通語。



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第01項
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