タイトル
屋島

那須与一扇図

那須与一扇図
資料データ
筆者不詳 一幅
紙本墨画淡彩
縦18.3 横58.9(cm)
江戸時代中期

 本図は,『平家物語』第11巻に記された源平の屋島合戦中,もっとも有名なエピソードのひとつである「弓流」に題材をとっている。その内容は以下のとおり。
 勝ちにのっていた源氏勢は,船に逃げた平氏の軍兵たちを追って,馬の太腹が水につかるほどに海中に乗り入れて攻め戦っていた。そんな中で,義経はどうしたことか,自分の弓を平氏勢の熊手にかけられて落としてしまう。周りの臣下たちが「弓よりも,お命の方が大切です。お捨てなさい。」と口々に言うが,義経は何とかむちで弓をかき寄せて,拾うのに成功した。このことで,あとで家臣たちになじられられた義経は「弓が惜しくて拾ったのではない。もし私の弓が二,三人でなければ張れないほどの強弓であったなら,わざとでも落とすのだが,私のひ弱な弓を敵が取って,『これが源氏の大将九郎義経の弓だ』といって,ばかにするのが残念だから,命がけで取ったのだ」と語り,すべての人がその心意気に感心した。
 彩色はかなり落ちているが,描線は緻密で人物の顔の表現などに熟練した腕を感じさせる。
 落款・印章がなく筆者は不詳だが,迷いがなく的確な描線,扇面における構図のとり方の見事さから,狩野派の手なれた人物の筆と推定される。



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