タイトル
屋島

弓流し図屏風

[弓流し図屏風]
資料データ
筆者不詳
八曲一隻
紙本金地著色
縦91.7 横360.0(cm)
江戸時代後期

 本図は,『平家物語』第11巻に記された源平の屋島合戦中,もっとも有名なエピソードのひとつである「弓流」に題材をとっている。その内容は以下のとおり。
 勝ちにのっていた源氏勢は,船に逃げた平氏の軍兵たちを追って,馬の太腹が水につかるほどに海中に乗り入れて攻め戦っていた。そんな中で,義経はどうしたことか,自分の弓を平氏勢の熊手にかけられて落としてしまう。周りの臣下たちが「弓よりも,お命の方が大切です。お捨てなさい。」と口々に言うが,義経は何とかむちで弓をかき寄せて,拾うのに成功した。このことで,あとで家臣たちになじられられた義経は「弓が惜しくて拾ったのではない。もし私の弓が二,三人でなければ張れないほどの強弓であったなら,わざとでも落とすのだが,私のひ弱な弓を敵が取って,『これが源氏の大将九郎義経の弓だ』といって,ばかにするのが残念だから,命がけで取ったのだ」と語り,すべての人がその心意気に感心した。
 本図は「弓流」を八曲一隻という大画面を生かして比較的大きい人物を配して描いており,非常に珍しい構図となっている。いささか金の方が強いような印象を受けるが,金地金雲の金と海の濃紺とが見事にお互いを引き立て合って,画面をひきしめている。また,それ以外の色彩の豊かさも目につく作品で,武将たちの衣装や甲,乗っている馬など,色鮮やかに描き分けられている。
 第八扇が殆んど一面金箔であるという構図の不自然さから,もとは八曲一双の屏風であった可能性が高い。



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