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令和4年2月

更新日:2022年2月15日

教育長ひと言

教育長が、教育に関する想いを「この月に想う」と題して綴ったコラムです。

「二月に想う」 高松で育ち、高松で学び、高松で暮らして良かったと思う教育

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、故郷香川でも感染者が最多となった日が次々と更新されました。東京や大阪では、一日の感染者が2万人前後の日もあり、大都会とは言え、途方もない数字になっています。我が家では、息子がそうした所に住んでいますので心配をして連絡をすると、「年齢を考えると、そちらの方が心配です。」と返され、きっと多くの家庭でも、離れて暮らす近しい者が、互いの消息を気に掛けながらの毎日ではないかと思います。
 最近、よく「シビックプライド」という言葉を耳にします。19世紀にイギリスで都市の規範として扱われていた言葉だそうですが、「シビック」(市民の、都市の)に「プライド」(誇り)を合わせたもので、「都市に対する愛着や誇り」といった意味です。日本には「郷土愛」という言葉がありますが、「シビックプライド」は、思いだけにとどまらず、「郷土をよりよくするために自分自身が関わっている」「自分が郷土の未来を創っている」という地域の持続的な発展に当事者になり、貢献しようとする心情までも含んでいるのが特徴です。
 羨ましいほどに「シビックプライド」という言葉がぴったりの生き方をしている旧知の友がいます。彼は、大学進学の際に県外に出る予定でしたが、両親のたっての願いで、地元の大学に進学しました。彼から聞いた、当時のある日の出来事ですが、東京の大学への進学を決めていた彼は、親の勧めで受験した地元の大学の合格発表を見てから、東京へ下宿探しに行く切符を購入して帰る予定でした。親に「合格していたよ、切符を買って帰るから。」と連絡を入れると、「とにかく帰って来なさい。」「切符を買わずに帰って来なさい。」と言われ、しぶしぶ帰宅すると、待っていた彼の両親から開口一番、「香川の大学に行ってください。高松に下宿をしていいから、香川の大学に行ってください。」と言われ、数日間の押し問答の末、彼が折れ、地元の大学へ進むことになりました。そして、半世紀を経た現在、自治会や子供会のお世話を率先して行ったり、氏神様の神輿を担いだり、近所の葬祭の手伝いをしたり、地域の皆さんにとっては無くてはならない存在になっています。「結果論だが、親の言うことを聞いていて良かった。親はもちろんのこと、親類縁者に囲まれ、地元のみんなと一緒に温かい故郷に暮らすことに満足している。」と屈託なく微笑む彼を見ていると、「故郷を温かくしているのは、君だ。」と私も嬉しく思います。
 私は、教員を経験した者として、教え子たちには、将来の夢を叶えてほしい、日本や世界で活躍する人間になってほしい、それには・・・、という思いが私の言動の大部分を占めていたように思います。そして、多くの若者が、夢を叶えようと都会に出ていきました。それはそれで素晴らしいことだということはもちろん認めます。その結果、親は、地方でせっせと額に汗し働き、稼いだお金を都会に住む子どもに送り、都会は潤いました。我が家もそうでした。しかし、その子どもの多くは故郷には帰ってきません。地方で暮らす親は、そのうち一人暮らしになり、結果、誰も住まない家ができ、地方は衰えます。
 こうした現実を見ると、「シビックプライド」まで至らずとも、郷土で暮らしたいと思う心を培う程の、ささやかな願望を持てるような教育も、ぜひ必要だと、今になって思います。
 コロナ禍の中、様々な意味で近しい者が、互いに顔を合わせ、言葉を直接に交わし、思い合いながら過ごす持続可能な地域社会を、今、私は求めます。

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