このページの先頭ですサイトメニューここから
このページの本文へ移動
  • くらしの情報
  • 観光・文化・スポーツ
  • 事業者の方
サイトメニューここまで

本文ここから

令和4年1月

更新日:2022年1月14日

教育長ひと言

教育長が、教育に関する想いを「この月に想う」と題して綴ったコラムです。

「一月に想う」 残心、人の生き方も斯くありたい

 新年明けましておめでとうございます。故郷高松では、天候に恵まれ、穏やかなお正月を迎えました。コロナ禍が続く日々ですが、困難にめげることなく、今年も、健やかな子どもたちの成長を願って、その歩みをしっかりと進めていきたいと思います。
 年に一度きりですが、それだけに貴重な、賀状の言葉をもって叱咤激励がある恩師から、今年は「残心」という言葉をいただきました。時代小説に出てくるような言葉ですが、賀状の続きには、「弓道では、矢を放った後、たとえ的に命中してもしなくても、一喜一憂することなく、その姿勢を崩さず、後の所作を最後まできちんとする。これこそが残心であり、人の生き方も斯くありたい。」とありました。
 なるほどと合点し、詳しく調べてみました。やはり武道に通じる言葉であり、辞書には、「剣道などの相手のある場合においては卑怯でない、驕らない、高ぶらないことや、相手があることに感謝することであり、どのような相手でも、相手があって初めて技術の向上が出来ることや、相手から自身が学べたり、初心に返ったりすることなどであるという有難さを常に忘れない心の緊張でもある。」との説明がありました。その心の緊張が、後の所作に表れるのだと思いました。
 この「残心」にふさわしいと思い出したのは、子どもたちとの朝の挨拶のために外に出た時に出会う、前日の夕刻に行われた野球やサッカーのスポーツ少年団の子どもたちが、練習が終わった後、トンボできれいに均してくれた運動場の光景です。きれいに均され、掃き清められた庭園のように乱れのない運動場を見て、とても清々しい気持ちになったことが思い出されます。これも「残心」ではないでしょうか。また、確か、練習後には運動場に向かって整列して「ありがとうございました」と大きな声で感謝の気持ちを表し、その後、直立不動で数秒間、運動場を凝視し、一礼してから立ち去る姿を見たことがあります。
 また、放課後に行われていた陸上記録会の練習の始めには「よろしくお願いします」、終わりには「ありがとうございます」の声の後に、少しの間を空けていましたが、あれは練習を指導してくれた方々への挨拶と共に、運動場やハードルなどの練習用具にも感謝の心を伝えているように見えました。こうした行為のすべてが「残心」だと思います。このような心が子どもたちに人としての生き方となって身に付いていったならば、運動場や体育館の隅にポツンとボールが残されていたり、下校した後の教室が乱れていたりすることは無くなるように思います。そして、最後まで自分を見失わずに、心の緊張を保ち続ける強い心を持った人間に育つのではないでしょうか。
 そう思いながら毎朝、運動場に出てみると、きれいに均された跡までもが見え、それまで以上に背筋が伸びた記憶があります。遅くまで練習に励んだ後に、鉄製の重いトンボを引いて運動場を均すということは重労働だと思いますが、そうしたことを繰り返しながら、心も清められていくのだと思います。他にも、脱いだ靴や、物の片づけ、育てる花にも心の在り様が現れます。
 「残心」は、起こした行動をより確かにして、次の行動への弾みも生み出します。しかし、私は、忙しさやあわただしさのせいにして、この「残心」が十分ではないことに、恩師の賀状の言葉から気付かされました。「残心」、それは、心の乱れにめげず、正しく美しいことを続けるという強く清い気持ち、そして、相手を慮る優しい気持ちとして大切にしたい心です。

お問い合わせ

このページは教育局総務課が担当しています。
〒760-8571 高松市番町一丁目8番15号本庁舎10階
電話:087-839-2611
ファクス:087-839-2615

Eメール:kyoikusomu@city.takamatsu.lg.jp

本文ここまで


以下フッターです。

高松市

〒760-8571 香川県高松市番町一丁目8番15号
電話:087-839-2011(代表)
法人番号1000020372013
Copyright © Takamatsu City, All rights reserved.
フッターここまでページ上部へ