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令和3年8月

更新日:2021年8月11日

教育長ひと言

教育長が、教育に関する想いを「この月に想う」と題して綴ったコラムです。

「八月に想う」 自転車専用ヘルメットが子どもの命を守る

 一昨年の春に、出張で愛媛県を訪れた時のことである。朝、国道に面したホテルを出た瞬間、高松では見慣れない光景に驚いた。ちょうど通学の時間帯であったが、自転車に乗る高校生がみんなヘルメットをかぶっているのである。そのヘルメットも、自転車専用のアーモンド型のものだ。よく見てみると、大人も、ヘルメットを着用している人がいる。ホテルのフロントの方に、その光景を話すと、「それは、愛媛県では当然のことです。」と胸を張って言われた。
 13才未満の児童または幼児の保護責任者は、児童等を自転車に乗車させるときは、乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならないと、道路交通法第63条の11には努力義務が規定されていることは知っていたが、その取組さえも本県では十分ではないのに、お隣の県では、自転車に乗るほとんどの高校生が、ヘルメットを着用して通学しているのである。
 愛媛県の自転車に関する条例を調べてみると、平成25年7月1日に、「愛媛県自転車の安全な利用の促進に関する条例」を施行し、道路交通法の規定に加えて、全ての年代の自転車利用者に対し、乗車用ヘルメットを着用することを励行事項としていた。その結果、ある団体が行ったヘルメット着用率調査では、全国平均が11.2%のところ、最も着用率が高かったのが、やはり愛媛県のそれでも29%であった。ちなみに香川県は、9%である。しかし、愛媛県の高校生の通学時の着用率は、着用義務化等によって、調査の主体は異なるが、90%を大きく超えている。
 こうした経験から、何とか本市の学校の、せめて毎日、通学に自転車を利用する中高生には、日常にも利用できるように、自転車専用ヘルメットを着用するようにできないものかと考え、まず中学校に働きかけたところ、本市のいくつかの学校で実現しつつあることに、僅かではあるが手応えを感じていた。しかし、ようやく進みだしたヘルメット着用の浸透も間に合わなく、事故が起きている。
 本県では、平成30年4月1日に「香川県自転車の安全利用に関する条例」が施行され、ヘルメットの着用が促進されており、施行までの過程で、着用の指導の困難さや費用負担等、様々な議論が展開されたようだが、義務化は見送られた。
 愛媛県の先進的な取組は、ある高校生の交通事故死がきっかけである。期末試験を終えて自転車で帰宅中、横断歩道を渡っていてトラックに衝突され、頭を強く打って亡くなった。交通事故は、一瞬のうちにかけがえのない尊い命や未来を奪い去り、家族や関係する人たちに大きな悲しみや苦しみをもたらすものであり、痛ましい交通事故を1件でも減らし犠牲者を一人でも少なくすることは、全ての人々の切実な願いである。
 私が見た、新しい年度が始まって間もない日の朝、頭に黒や濃紺や白などのヘルメットをかぶり、自転車に乗ってそれぞれの高校に向かう生徒たちの、何気ない松山市での日常の風景には、子どもを温かい心で見守る愛媛県の大人の格別な思いが込められている。そこに至るまでに、愛媛県は、ヘルメットメーカーと力を合わせて生徒や教員に向けた説明会を開催したり、啓発ポスターを生徒主体で製作させたり、相応の意識付けを行ったそうである。そして、義務化に際しては、高校生にヘルメットを無料配布したとも聞いた。
 困難な要件の羅列に終わらず、その一つ一つを駆逐し、子どもたちの命を交通事故被害から守ろうとする大人の真の優しさを感じる。

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