平成21年度高松市協働企画提案事業「日本語支援が必要な子どもたちへのサポート活動」

山本さん 

 協働企画提案事業は市民の発想をいかした事業提案を募集し、NPOと高松市が、よりよきパートナーとして、お互いの特性を発揮しながら、社会的・公益的な課題に共に取り組み、市民サービスの向上を目指す事業です。高松市役所の各部署からの課題テーマ部門とNPO法の17分野から、NPOが社会的課題の解決を目指す自由テーマ部門の2部門があります。

 本事業は、学校教育課の課題テーマ「日本語指導が必要な外国人児童生徒等への就学支援」を解決する事業です。
 写真の方は、学校教育課の係長で協働推進員の山本和代さんです。同課の窓口的な用務を担っていただきました。

協働のパートナー

市民側:協働している市民は、「日本語サークル「わ」の会」(以下、「わ」の会)です。

行政側:協働している行政は、学校教育課です。

協働の形態

協働の形態は「委託」です。

協働の形態「委託」とは

公開プレゼンの様子

協働の役割分担

NPO:日本語学習支援(日本語教育、日本語の習熟度に合わせた様々なサポート活動)

行 政:サポートする児童・生徒が通学する学校等への連絡等、円滑なサポート活動のための情報提供等)

写真は、平成21年1月に開催された、「わ」の会による公開プレゼンテーションの様子です。

要した経費

450,000円(高松市委託料450,000円)

教材 

事業の目的

 香川県には、平成17年末現在で約8千人の外国人が居住し、増加傾向にあります。その4割近くが高松市で生活しており、小・中学校に通う、日本語を母語としない子どもたちも増加しています。そんな子どもたちには、必要に応じて1回2時間、月2回程度、日本語指導者が派遣され、手を尽くした指導がなされていますが、それでも、子どもによっては、学校生活への適応が難しいケースや、長期にわたる幅広い支援が必要な場合があります。
 そこで、日本語指導等の専門知識やノウハウ、独自の人材を有し、柔軟な対応が可能なNPO等と協働し、日本語指導が必要な外国人児童・生徒への就学支援を実施するものです。

 写真は「わ」の会が使用している教材の一部です。

かがわ国際フェスタ

 外国から来て日本で就学する子どもたちへの支援は、日本語の学習の指導を始め、教科独特の用語の解説、学校生活でよく使われる言葉の説明、地域住民との意思疎通、学校での新しい環境に対するストレスへの対応など、多岐にわたっています。

 「わ」の会のメンバーだけでは、すべての子どもたちに対応することは困難ですが、一人でも多くの子どもたちをサポートすることによって、言葉の壁を越え、教科学習の理解が進み、学校の友達や先生とスムーズな意思疎通が図れることを願っています。
 
 「わ」の会は、様々な国際交流活動にも参加しています。写真は、平成21年11月1日に開催された「かがわ国際フェスタ」に出展したときの様子です。

事業の目標(可能な限り数値目標を記載する)

年間47回の日本語学習支援活動

A小学校でのサポート活動

 A小学校では、3人の子どもたちに、毎週月曜日の放課後、同校の会議室で、日本語サポートが行われました。3人の子どもたちの母国語は、いずれもタガログ語です。子どもたちの状況に合わせて、
?漢字の意味が分かって使えるようになること
?文章が書けるようになること
の2つを当面の目標として支援されました。
 また、日本の童話や民話の読み聞かせも行われ、算数は、問題の文章の意味や教科書用語の説明をすることから始められました。

B中学校でのサポート活動

 B中学校では、夏休み前と11月〜2月に週1回のペースでサポート活動が実施されました。中国語が母語の生徒で、本人の希望も聞いた上で、「読み書き」よりは「会話」の練習に時間をかけて行われました。会話の内容は、事前に用意した日本語文法や慣習に関すること、学校生活で疑問に思ったことや季節の行事などをテーマにして、自由に会話する方法で行われました。

打ち合わせ面談

 サポート活動をスタートさせる前に、「わ」の会のメンバーがそれぞれの学校に赴き、担当の先生から、サポートする児童・生徒さんはどのような支援が必要なのか伺いました。支援の方向についてアドバイスをいただいたり、教室での様子を教えてもらったりしました。それを基に、支援のための教材や担当者を決め、個々のサポート計画を立てました。

支援内容検討会の様子

支援内容検討会

 本事業の活動ほとんどは、学校で行われましたが、学校現場ではサポート活動を振り返り、個々の学習内容について検討する時間がとれないことから、従来の「わ」の会の活動日に、話し合う場を設けることとし、月に一回程度、支援内容を検討する会が開催されました。各回のサポート記録を参考にして、今後のサポートの方向や教材の選定について、「わ」の会のメンバーが知恵を出し合いました。また、メンバーだけでは解決しない問題は、日本語教育の専門家(香川大学教育学部の先生)にアドバイスを求めました。

 写真は「支援内容検討会」の様子です。

合同検討会の様子

合同検討会

 本事業の協働の相手方は高松市教育委員会学校教育課です。協働事業は、協働に取り組む両者が、事業の企画段階から協議し、事業終了後は反省会を、そして、その事業実施の途中でのお互いの意思を確認するという3つの話し合いの場が必要です。
 しかし、実際の活動の現場はそれぞれの学校で、直接のサポート活動の対象は子どもたちですので、事業がスタートしてからは、協働の相手方は、事業の状況を把握しにくい状況となりました。そこで、本事業の関係者が一同に介し、これまでの活動内容や子どもたちの変化について、関係者が報告し合う場(合同検討会)を、平成21年11月に設けました。

 子どもたちの担任の先生や中学校の先生も出席され、サポート活動へのアドバイスや事業の継続実施を希望する旨の発言がありました。本会には、学校教育課の担当、関係2校の教頭、市が派遣する日本語指導者(英語対応)や市国際交流協会理事長、香川大学教育学部准教授、「わ」の会の子どもサポーター、香川大学教育学部学生サポーターなど24人が参加しました。

 写真は「合同検討会」の様子です。

多文化共生の部大賞

多文化共生の部大賞を受賞

 平成21年10月、香川県内の国際交流拠点として組織された県国際交流協会の設立20周年記念式典が、高松市番町1丁目のアイパル香川で開催されました。席上、県内の国際交流活動に尽力した7団体に表彰状が贈られましたが、日本語サークル「わ」の会は、多文化共生の部で大賞を受賞しました。
 他には、国際交流の部の大賞を仏生山国際交流会が、同部奨励賞を綾川国際交流会と香川国際文化協会と香川日独協会が、また、国際協力の部の大賞をセカンドハンドが、同部奨励賞を香川国際ボランティアセンターが受賞されました。

 写真は、多文化共生の部大賞の表彰状です。

日本語サポート活動報告会 

日本語サポート活動報告会

 平成22年2月、アイパル香川において、本事業の活動報告会が開催されました。行政と協働し、ボランティアが学校現場で日本語を支援するのは、県内では初の試みであることを始め、「わ」の会からは、日本語サポート活動の経緯や現状、課題などについての報告がなされました。
 香川大教育学部の山下直子准教授(日本語教育)は、県内に支援を必要としている子どもたちが29校56人(平成20年度)いるとする文部科学省の調査結果を紹介するとともに、「子どもたちをサポートすることが結果的に学校や地域全体の支援につながること、継続実施が何より必要であることなど」を講演されました。

 写真は「日本語サポート活動報告会」の様子です。

事業の成果(実施回数)

合計63回の支援活動を実施
内訳・「日本語サポートクラス」44回
(小学校30回・中学校14回)
・「支援内容検討会」:16回
・「合同検討会」:1回
・「打ち合わせ面談」:2回 (小・中学校各1回)

日本語支援フリークラスの様子

子どもたちの変化について
 サポートを始めた頃には、質問しても首をかしげる場面が多かった子どもたちですが、秋頃には、学校や家庭での出来事や学校行事について、サポーターに話すようになりました。単調になりがちな漢字の練習も、粘り強く取り組めるようになるとともに、普段の会話でも、随分語彙が増えました。3月まで、毎週1回のサポートクラスを開催しましたが、全員が休まずに参加してくれたことで、次回の教材を計画的に準備することができました。また、子どもたちが苦手なメニューはより丁寧に進めていくことができました。子どもたちの担任の先生からは、友だちとの会話に積極的に参加するようになり、スムーズに意思疎通ができている、という報告をいただきました。

 写真は、毎週土曜日の午後、高松市男女共同参画センターにて開催している在住外国人向け日本語支援のフリークラスの様子です。

協働の評価シートによる評価点数

設問 10
「わ」の会 38
学校教育課 39

多文化共生のまちづくり実践講座

協働のパートナーに聞く

日本語サークル「わ」の会
責任者:平田 百合子さん

 日本語サークル「わ」の会は、日本語支援のボランティア活動を始めて15年になります。活動の対象は、主に成人の在住外国人でしたが、彼らから、ここ数年、日本語のサポートが必要な子どもたちが増えているという情報を、何度も得ていました。また、一昨年から、フリークラスに小中学生が参加するようになりましたが、日本語の習熟度が様々な子どもたちが、教室での一斉授業を受けているという話を聞いて、日本語の分からない子どもはもちろんのこと、先生や周りの子どもたちも、いろんな難しい問題があるのではないかと想像していました。そんな時に、本事業の課題テーマが学校教育課から出されていることを知り、「わ」の会にとって願ってもない「子ども日本語サポート」ができるチャンスとばかりに事業提案をさせていただきました。
 グローバルな社会情勢を反映して、日本の多くの地域で定住外国人が増え、多様な文化背景をもつ子どもたちが学校に通うようになってきました。子どもたちの生活の中で、学校が大きなウエイトを占める「社会」であるとして、そこでの異文化理解や多文化教育の体験は、将来の「多文化社会」において、必ず何らかの有効な力となって発揮されると思います。
 その一端を担う草の根活動を、日本語支援ボランティアの私たちが関われるような「協働事業」の形としてスタートできたことに心より感謝いたします。日本語をサポートされる側も、する側も、共に成長できるような活動を、これからも継続したいと考えています。

 写真は、「子ども日本語サポート」に先立ち開催した研修会『多文化共生のまちづくり実践講座』(「わ」の会主催)の様子です(2009.4.11)。


学校教育課 課長補佐

 本事業については、外国人児童・生徒は年々増加しているものの、新年度にならなければ、その数が分からないことに加え、次の3つの問題がありました。まず、サポート活動を学校内で実施する際の実施場所の問題、そして、子どもたちの安全面確保の問題、最後に、指導する学習内容が適切であるかの問題です。
 しかし、学校現場からの報告や、平成21年11月に開催された合同検討会での報告などから、漢字の学習やまとまった文章の作り方、日本の文化などの学習、また、本人の希望に沿った学習内容がなされるなど、NPOらしい柔軟できめ細かな対応がなされており、市としてはありがたい状況です。
 今後は、「わ」の会と学校側の情報交換を密にする中で、常に情報を共有しながら、サポート活動を継続していただきたいと思います。

NPO情報

日本語サークル「わ」の会

目的
 本会は、日本語や生活情報の提供など、県内に住む外国人への支援を通して、草の根レベルでのボランティア活動(分野:多文化共生・異文化理解・国際交流など)を目的としています。
 私たちは、地域に暮らす外国人の皆さんと共に、日本語活動を通して、お互いの文化を理解しあい、多文化共生時代をよりよく生きたいと考えています。

代表者:堤 透(21年度)
電 話:090-4782-7920(平田)

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